台風10号の今後の進路は“迷走”か 週末にかけ各地で大雨・土砂災害に警戒【Nスタ解説】

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2024-08-29 20:56

台風10号の影響で大分県では河川が氾濫し、緊急安全確保が発表されました。宮崎県では竜巻とみられる突風が発生し、大きな被害が出ています。今後の進路はどうなっていくのでしょうか。

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台風10号 九州に上陸して北上 交通や物流に影響も

井上貴博キャスター:
被害状況を見ていきます。

29日朝、台風10号が九州に上陸しました。29日未明に鹿児島県枕崎市で最大瞬間風速51.5mを観測しました。

鹿児島県を中心に午後4時半時点で約22万戸で停電。鹿児島・宮崎の一部で午後1時時点で固定電話が一時利用不可の状況でした。

交通への影響です。

▼九州新幹線(博多~鹿児島中央間)
29日(木)と30日(金)に終日運転見合わせ

▼西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)
29日(木)終日運転を見合わせ
30日(金)始発から運転見合わせ

▼山陽新幹線(広島~博多間)
29日(木)午後5時以降に運転取りやめ
30日(金)始発~午前10時ごろをめどに運休
31日(土)新大阪~博多間で運休の可能性

▼東海道新幹線
30日(金)三島~名古屋間で終日運転取りやめ
31日(土)と9月1日(日)は全線もしくは一部区間で運休の可能性

空の便の影響です。

▼日本航空(午後4時時点)
29日(木)国内線271便が欠航
30日(金)国内線280便が欠航

▼全日空(午後3時時点)
29日(木)国内線223便が欠航
30日(金)国内線346便、国際線4便が欠航
31日(土)国内線33便が欠航

物流の影響です。

▼ヤマト運輸
九州のほぼ全域と高知県の一部で集荷・配達などの業務を29日まで中止

▼佐川急便
九州ほぼ全域で集荷・配達を停止

▼日本郵便
鹿児島・熊本・長崎・宮崎で全ての業務を休止
福岡・佐賀・大分で集荷・配達を休止

動きが遅く、今後の進路は“迷走”する可能性 

井上キャスター:
今回の台風は本当に動きが遅いです。

國本気象予報士:
午後5時すぎ、台風10号の中心気圧は980hPaと強い勢力ではなくなっていますが、依然として暴風域を伴っていて、九州北部を中心に広く入っています。

今後、進路が東寄りになる見通しですが、依然として動きは遅く、30日午後3時になっても瀬戸内海にまだあるという状況になりそうです。そして、さらにその後も動きが一段と遅くなる見通しが出てきました。

どうして台風の動きが遅いのかというと、まず30日、9月1日にかけて近畿地方の手前辺りまでは東側の高気圧に押されて東寄りに進んでいきます。

予報円が重なっているところがありますが、これは停滞する、あるいは北や南へ行って、台風が迷走する可能性があります。

この予報円の中に中心が存在する可能性が70%ほどという見方です。むしろ、その翌日は予報円は広がるので、予報円が広いということは、どこへ行くか定まっていないということを表しています。

今後の進路を見ると、さらに予報円が大きくなり、日本列島がすっぽり入るような大きさになります。

ホラン千秋キャスター:
台風という形をとったまま停滞しそうという予想でいいんですか?

國本気象予報士:
非常に微妙なところなんですが、おそらく台風としての構造は相当崩れてきています。ただ、雨は降り続くという状態は続きそうです。

これはやはり台風を流す風が弱いからです。上空の偏西風に乗れば北上する傾向なんですが、偏西風までは遠く、南の太平洋高気圧の縁に乗れば東へ進んでいくんですが、それも届かないような状況です。

風の流れがない状況で台風がしばらく停滞してしまうという可能性が出てきています。

井上キャスター:
偏西風が遠いというのは、それだけ季節の進みが遅いということも言えるんですか?

國本気象予報士:
元々、北日本に偏西風はあるんですが、2024年は少し上振れしていて遠いです。しかも、東日本は高い山があるエリアなので、台風がどっちへ進むかより迷いやすいんです。

山があると、そこで中心が割れるようなこともあります。その割れた台風の勢力が強い方が解析されて、台風の中心として見ていくことになると思います。たとえ台風が崩れても、これまで雨がたくさん降ってきたように、周辺の非常に湿った空気は凄まじいもので、猛烈な雨というのを降らせることに変わりありません。

これまでにも太平洋側を中心に80ミリの雨が降るなど、局地的にも猛烈な雨が降っています。

週末にかけて各地大雨に警戒 東海地方や四国地方では降水量1000ミリの予測

國本気象予報士:
この後の予想ですが、台風の動きがかなり遅いということもあって、九州、それから30日の日中に四国と中国地方に活発な雨雲がかかってきます。

30日夜になっても、まだ四国などの辺りに台風があります。

31日になっても雨雲の中心は近畿地方や東海地方、北陸地方にありそうです。おそらく近畿地方の辺りまでは何とか進む見通しですが、この後、停滞する恐れがあり、同じような地域で雨が繰り返されるという恐れがあります。

中でも雨量が増えるのが、関東から西の太平洋側です。これから向こう3日間ほどで、東海地方や四国地方で1000ミリほど降るという予測も出てきています。特に四国地方と紀伊半島、静岡県付近は土砂災害に厳重な警戒をお願いします。

井上キャスター:
結構東北地方でも降り続くんですね。

國本気象予報士:
台風の動き次第にはなりますが、太平洋側は注意が必要です。

井上キャスター:
まだ進路が変わっていく可能性があると考えた方がいいですね。

國本気象予報士:
そういう意味で31日、9月1日は警戒を続けていただきたいと思います。

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<プロフィール>

気象予報士 國本未華さん
北海道室蘭生まれ、東京育ち
大学生で気象予報士、のちに防災士の資格も取得

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