昆虫は庭や公園、道端など、探せばすぐに見ることができる生き物ですね。
それほど身近な昆虫ですが、生きていくために必要な心臓はどこにあるのか、そして血液はどうなっているのか、みなさんはご存知ですか?
今回は、昆虫の心臓と血液について解説いたします。懐かしい理科の授業を思い出しながら読んでみてくださいね!
昆虫とは?
昆虫とはどんな生物を指すのでしょう?
昆虫の定義
昆虫とは体が頭、胸、腹の3つに区別されていて、頭部には触覚、胸部には節のある脚が3対6本生えている節足動物のことをいいます。
現在、知られている昆虫は約100万種いますが、その他にも未発見の昆虫が多くいると推測されています。昆虫の中でも体の特徴はさまざまで、30目のグループに分類されています。
こちらは、特に種類数が多い7目です。
・甲虫目(鞘翅目) - カブトムシ、ゴミムシなどの仲間、35万種
・チョウ目(鱗翅目) - チョウ、ガの仲間、17万種
・ハエ目(双翅目) - ハエ・カ・アブなどの仲間、15万種
・ハチ目(膜翅目) - ハチ、アリの仲間、11万種
・カメムシ目(半翅目) - セミ、カメムシなどの仲間、8万2千種
・バッタ目(直翅目) - バッタ、コオロギなどの仲間、2万種
・トンボ目(蜻蛉目) - トンボの仲間、5千種
出典:Wikipedia
虫=昆虫ではない
虫と昆虫は同じ意味ではありません。
「虫」の定義は曖昧で、広義に使われている慣習的な言葉なんです。昆虫や、軟体動物であるカタツムリも虫と呼ばれることがありますし、かつては蛇(ヘビ)や蝦(エビ)、蛸(タコ)のことも虫と呼んでいたそうですよ。そういえば全て虫偏の漢字ですね。
目下のところ虫が何かと説明するならば、「陸上もしくは水中に存在する哺乳類、鳥類、魚類以外の小さな生物」ということになるでしょう。
昆虫の心臓
出典:Wikipedia
昆虫と人間の心臓は、場所も形も違います。
昆虫の心臓は背脈管
上の図14の赤い線が、心臓の役割をしている「背脈管」と呼ばれている管です。昆虫の心臓は細い管の形をしていて、体の後ろの方の背中にあります。そこから血液を送り出しているのです。
昆虫の血管
昆虫に血管はあるのでしょうか?
昆虫に人のような血管はない
昆虫には、人間のように体中に血液を循環させるための血管がありません。血管の役割をしているのは、上の図8の気管です。
血液は体全体に染み込む
血液は心臓から気管へ送り出されます。気管には体の隅々まで血液を染みわたらせる働きがあるのです。スポンジへ水を垂らしたようにジュワーッと、気管から体中に染み込みます。
興味深い構造ですが、昆虫の血液は透明なので、通常見ることは難しいですね。
昆虫の血の色
昆虫の血を見たことがありますか?
昆虫の血は基本赤くない
昆虫の血は透明なので、見ても分かりにくいと思います。
昆虫の血にはヘモグロビンがないため赤くありません。人間の血液にあるヘモグロビンは赤血球の中にあり、酸素を運ぶ役割の鉄分です。血が赤い理由は、ヘモグロビンが赤いからなのです。
血が緑色なのは葉っぱの色
昆虫の血の色が、緑色や薄い黄色のことがあります。これは食べた葉っぱの色が透明の血に溶け出しているからです。
昆虫は酸素を血液で全身に送っていない
人間の血液は酸素を全身に運ぶ役割がありますが、昆虫の血液は違います。
気門から酸素を取り込む
私たちの口や鼻から吸い込んだ酸素は、血液の流れに乗って全身に行き渡ります。
しかし昆虫は、体の横に開いている気門という穴から酸素を取り込み気管へ送り出し、気管から全身へ行き渡らせているのです。
昆虫の気管は、血液と酸素を体中に送り出す役割があるんですね。
まとめ
昆虫の心臓は背中にあり、血液は気管から全身へ染み渡らせていることが分かりました。これも、長い歴史の中で進化を繰り返し確立した、昆虫の生態なんですね。
地球上には、未発見の昆虫がまだまだたくさん存在しています。これからどんな昆虫が発見されるのか、少し楽しみでもありますね。
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