飼い主さんにとって、愛犬はどのような存在でしょうか。恋人やパートナー、それともお子さんのような存在でしょうか。人それぞれですし、同じ飼い主さんと愛犬の組み合わせでも、日や状況が変わると、印象も変わるかもしれません。では、犬にとっての飼い主さんはどのような存在なのでしょうか。より良い関係性を築くためにも、一度考えてみましょう。
飼い主さんにとっての愛犬の存在
飼い主さんにとって、愛犬の存在はとても大きいものです。しかし、どのように感じているのかは、人によっても異なるでしょう。多頭飼育をしている場合は、この子はパートナー、この子は恋人、この子は我が子など、犬によっても変わってきます。
どう感じていようと、飼い主さんは愛犬の保護者です。飼い主さんがいなければ、愛犬は生きていくことができません。そして、人間社会の中で安心して暮らせるように環境を整えたり、ルールを教えたりするのも飼い主さんの役目です。
こうした関係性の上で成り立つのが、愛犬との暮らしです。では、犬の側から見た場合、飼い主さんはどのような存在として犬の目に映っているのでしょうか。じっくりと考えてみると、より良い関係性を築くための気付きがみつかるかもしれません。
愛犬にとっての飼い主さんの存在
1.世話をしてくれる母親
生まれたばかりの子犬にとって、母親はなくてはならない存在です。母乳を飲ませてくれるのはもちろんのこと、丁寧に身体を舐めては清潔にしてくれ、お尻を舐めては排泄を促してくれ、ひとりだけ離れてしまった時は優しく連れ戻してくれます。
ここまでではないものの、人と一緒に暮らしている犬にとって、食事を与えてくれて、ブラッシングやシャンプーで清潔にしてくれて、危険なことから守ってくれる飼い主さんは、母親のような存在に映っていることでしょう。
2.教育担当の父親
犬の親子関係を考える時、子育てをするのは母親だけのように思いがちですが、実は父親もしっかりと子育てに参加しています。子犬が社会化期に入り、犬として生きていくためのさまざまなルールを教えてくれるのが、父親の役割なのです。
犬が人間社会の中で安全で快適に暮らしていくためには、覚えなければならないルールがたくさんあります。それを教えるのが飼い主さんの役目であり、しつけです。そんな飼い主さんは、父親のような存在に映っていることでしょう。
3.一緒にいると楽しい兄妹
犬は、1度の出産で1〜十数頭の子犬を産みます。そのため、子犬は生まれた直後から兄妹たちと常に一緒です。出の良い乳首を争いながら並んで乳を飲み、走り回ったり取っ組み合ったりしながら力加減やコミュニケーション方法を身につけていきます。
飼い犬にとって、一緒に遊ぶ相手は飼い主さんやそのご家族です。毎日の散歩、休日の遠出や運動は、愛犬にとってとても楽しい時間です。いつも一緒に遊んでくれる飼い主さんは、一緒にいて楽しい兄妹のような存在に映っているかもしれません。
4.怖い人、うるさい人
あまり犬のことについて知らないまま飼い主になってしまい、何をしても褒めない、それどころかいつも叱ってばかりいるという飼い主さんだったらどうでしょうか。
おそらく飼い主さんは、犬への伝え方を知らないまま「しつけをしなければ」という気持ちだけで叱っているでしょう。そんな叱り方では、犬はなぜ叱られているのかも分からないことがあります。
飼い主さんに対して「いつも怒っている怖い人、何をしてもガミガミとうるさい人」という印象しかなくても、おかしくはありません。
守ってあげないといけない弱い存在
犬はとても保守的な動物なので、さまざまな事件が次々と起こるような刺激的な毎日よりも、安心して穏やかに暮らせる毎日を望んでいます。そのため、いつでも自分を守ってくれて、安心できる頼れる飼い主さんが大好きです。
ところが、言動に一貫性がない、すぐに怖がったりパニックになったりするなど、「頼りない」と感じる飼い主さんに対しては、「同じ家族の自分が守ってあげなければ!」と考えてしまいます。
来客や散歩中にすれ違う見知らぬ人や犬に対して、唸ったり威嚇したり飛びかかろうとしたりする犬には、飼い主さんが頼りない仲間(家族)に映っているのかもしれません。
どんな飼い主さんを目指すのかで接し方も変わってくる
飼い主さんが一人暮らしの場合、愛犬から見た飼い主さんは、状況次第で母親や父親、兄妹のように映っていることでしょう。複数のご家族で暮らしている場合は、「この人はお母さん、この人はお父さん、この人は兄妹」などと、それぞれの役割分担によって印象が異なっているかもしれません。
いずれにしろ、「いつも怖くてうるさい人」や「頼りなくて守ってあげないといけない人」と思われたい飼い主さんはいないはずです。
もしも思い当たる節があるようなら、安心して自分の身を任せていられる母親や父親、そしていつも一緒にいたい楽しい兄妹のように思ってもらえるように、改めてコミュニケーションの取り方を変えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
愛犬は「家族の一員」と考える方が増えてきています。そして犬も、母親や父親、そして仲の良い兄妹のような存在を求めていると考えられます。お互いの想いが一致しているので双方幸せかというと、そこまで簡単ではないようです。
飼い主さんの行動によっては、犬からあまり歓迎されない印象を持たれたり、「守ってあげなければいけない」と追い詰めて、問題行動を引き出してしまう可能性もあるためです。
お互いに安心しながら穏やかに暮らしていくためには、飼い主さんが犬のことをしっかりと学び、理解することが大切です。その上で、堂々と一貫した態度でコミュニケーションを重ねていけば、お互いに良き家族として暮らしていけることでしょう。
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