犬を迎える際にどんなことを知っておきたい?必要な準備やお迎え後にすべきこととは【現役獣医が解説】

2025-03-19 17:20

暖かくなってくるといろいろな活動もしやすくなり、家族が増えても良いのではと楽しい計画を立てるご家族も増えてくるのではないでしょうか。新しい家族が増えることはワクワクドキドキして嬉しいこともたくさんですが、これからのわんちゃんの一生を背負うことで緊張もある飼い主さんもいるでしょう。わんちゃんを迎える際に、どんなことを知っておくと良いか知っていますか?

飼い主さん側の準備

かごに入る子犬

まず、飼い主さん側が準備をする必要があることがたくさんあります。

おうちに来てからでも良いのでは?という意見もあると思いますが、いざおうちに来てみると予想外のトラブルなどでバタバタしてしまい、あの時に準備をしておけば!という後悔につながることもあります。

事前にどんなことが必要かだけでも知っておくと安心です。

住んでいる場所はわんちゃんと生活できる?

お家が戸建ての飼い主さん、マンションの飼い主さんなど様々なパターンがあるでしょう。

今住んでいるお家はわんちゃんとの生活が可能な場所ですか?戸建てのおうちであれば問題が無いことが多いです。

マンションのお家の場合、一緒に生活できるかどうかだけでなく、お家にお迎えしたら登録などの手続きが必要な場合もあります。

どんな手続きが必要なのかを事前に把握しておくと、何の資料が必要なのか、お迎え後にそろえやすい可能性があります。

また、マンション内などで生活する場合はわんちゃんのルールがあることもあるため、事前に把握しておくと優先すべきしつけや注意すべきライフスタイルが見えてくるかもしれません。

自治体への登録

狂犬病の注射が義務付けられていることはよく知られていると思いますが、同時に自治体への登録も必要です。

地域によって保健所や愛護センターのような場所へ行く必要がある場合、区役所の衛生課などで手続きが可能な場合など様々です。

お住まいの地域がどのようなスタイルなのか、事前に把握しておくとお迎えした後にスムーズな可能性が高いです。

生活圏の中でわんちゃんに関連する施設のリサーチ

お迎えするわんちゃんの犬種などにもよりますが、少なくともお付き合いが必要になるのが動物病院です。

他にも犬種によってトリミングサロンや広いドッグランなどわんちゃんをお迎えして定期的に通うことになる場合もあるでしょう。

よく通る場所などにある場合は既に知っているかもしれませんが、少し行動範囲を広げたり普段は通らないような場所にもおすすめの場所が隠れているかもしれません。

お迎えする際のペットショップやブリーダーさんがお近くの場合は、お迎えする際に聞いてみてみると安心です。

ペットショップに隣接している動物病院やトリミングサロン、ブリーダーさんは定期的な健康診断やワクチン接種をしてもらっている動物病院やブリーダーさん自身がトリミングを行なっている場合などもあります。

他の子犬ちゃんたちはどうしているかということを聞いてみると良いでしょう。

わんちゃんの情報の把握

ブリーダーと子犬

小さいころから育ててきたペットショップのスタッフさんやブリーダーさん、保護犬さんであっても施設のスタッフさんなどはその子の情報をたくさん持っていることが多いです。

お家にお迎えする前に知っておくとこれからの生活がイメージしやすくなります。

どんな生活環境で育てられてきたのか

まずはどんな生活環境で育てられてきたのかということはこれからの生活をする上でとても大切です。

広い場所でたくさん遊びながら育ってきたのか、他のわんちゃんたちと触れ合いながら育ってきたのかなどがわかるとお家でどんなことを教えてあげた方が良いのか、どんな性格の子の可能性が高いかなどが推測できます。

また、そのときにお家でどんな風に過ごさせてあげて欲しいかというペットショップや施設のスタッフさんやブリーダーさんの思いも確認することができるでしょう。

まったく他のわんちゃんと触れ合ったことのない子であれば、他のわんちゃんとの初めてのふれあいの際は、わんちゃん同士のルールを教えてあげることや怖がる気持ちの解消などを配慮する必要がある場合もあります。

生まれ持った体の特徴は?

私たち人間でも、腰を痛めやすい人、おなかが痛くなりやすい人など様々な特性のある人が存在します。わんちゃんも同様でいろいろな特性を持った子が存在します。

中にはその特性が今後医療的なトラブルにつながり、治療が必要になる場合もあります。

例えば子犬ちゃんたちの体の特徴でよく知られているのが

  • 膝蓋骨亜脱臼の有無
  • 臍ヘルニアの有無
  • 鼠径ヘルニアの有無
  • 頭蓋骨の大泉門開存の有無

などです。

膝蓋骨とは膝関節に存在する小さな骨で、関節の健康な動きに関連します。

筋肉で膝関節の骨の溝の部分に固定されているのですが、骨格のつくりや筋肉の状態によってずれてしまう場合があり、程度が悪化すると上手に足を地面に着けることが難しくなったり、痛みや違和感につながる場合があります。

臍ヘルニアはおへその部分で鼠径ヘルニアは後肢の付け根の部分になりますが、組織同士が正常に閉じずに穴状になってしまう状態を示します。

脂肪などの組織が腹腔内からはみ出てしまう場合や、程度が悪化すると腸などの器官がはみ出してしまったり、はみ出した状態でヘルニア部分が閉じてしまったりなどのトラブルにつながる場合もあります。穴の大きさなどを評価する場合が多いです。

頭蓋骨は脳などの器官を守るためにとても大切な役割を果たします。

産まれてくる際は狭い産道を通るために、部分ごとに分かれた頭蓋骨が存在していて、最終的に結合して1枚の頭蓋骨を形成します。

若齢であったり犬種の骨格によって大泉門と呼ばれる頭頂部に隙間が空いている場合がありますが、成長とともに大泉門の隙間は小さくなることが多いです。

隙間の部分が大きいと脳などの器官への衝撃などで気を付けなければならない場合があります。

大きさがどのくらいか、大泉門の開存があるかどうかを評価することが一般的です。

どんな性格?

どんな性格かということも、ペットショップや施設のスタッフさんやブリーダーさんだからこそわかることだと言えるでしょう。

普段触れている人以外の人が来ると嬉しくなってテンションが上がったり、警戒心もあっておとなしくなってしまったりすることがあります。

普段の様子を日常的にお世話をしている人に聞いてみましょう。もしかすると想像しているその子のイメージと異なるかもしれません。

普段の様子を動画などで撮影して見せてもらえる場合もあるでしょう。おうちに来る前にその子との生活のイメージがつけやすくなり、楽しみが増える可能性が高いです。

これからのわんちゃんの生活について

診察を受ける犬

お家に迎えたら、わんちゃんの飼い主さんとして背負うべきわんちゃんの責任もたくさんあります。知らないことだらけでどうしようか不安もたくさんという飼い主さんも多いでしょう。

そんな不安を少しでも解消できるよう、事前に知っておくとあんしんできることもたくさんあります。

飼い主さんがすべき予防

お家に迎えたら、行うべき病気の予防がたくさんあります。

わんちゃんを感染症から守るために欠かせない混合ワクチンや、法律で義務化されている狂犬病ワクチン、そして健康に過ごすために欠かせない寄生虫予防など様々な種類があり、特にワクチンは免疫力をつけるためにも計画的に摂取する必要があります。

月齢によってペットショップや施設、ブリーダーさんの所ですでに何回かワクチン接種を行なっていたり、寄生虫予防も行われている場合が多く、お迎えする前にどのような予定で予防を行なっているか確認しておくと安心です。

予定が確認できると、お家に迎えてすぐにワクチン接種をする必要があるのか、ワクチン接種の日を終えてからお迎えをするのかなどお迎え後の飼い主さんがすべき行動もイメージしやすくなるでしょう。

最近ではお迎え前でも相談をすることができる動物病院もあります。わんちゃんがすでにしている予防やお家に迎えた後にすべき予防などがわかったら、事前にかかりつけにしようと思っている動物病院さんに相談してみても良いかもしれません。

トラブルが起こった時は?

わんちゃんと生活すると起こりやすいトラブルもたくさんあります。

ご家族以外の人やわんちゃんなどを咬んでしまったら?
うっかりして迷子になってしまったら?
食べてはいけないものを食べてしまったら?

まずわんちゃんが家族以外の人を咬んでしまった場合に、飼い主さんは保健所への手続きが必要となることが一般的です。

お住まいの地域ではどのような手続きが必要なのか、お迎えする前に確認をしておけると安心です。

また、ペットショップや施設のスタッフさんやブリーダーさんに怖がりな性格であったり警戒心が強い性格であったりすることが確認できた場合は、他のわんちゃんや人への距離感に気を付けながら過ごすこともトラブル予防の一つの方法になるかもしれません。

迷子になってしまった場合に役に立つのは迷子札やマイクロチップの挿入です。

保健所や警察などではマイクロチップリーダーを所持されていることが多く、まずは迷い犬が見つかるとマイクロチップの挿入の有無を確認することが一般的とされています。

また、マイクロチップで読み取ることの数字の羅列には、わんちゃんがどこの国の子か、飼い主さんがどこの誰なのかということが登録を完了することで情報を紐づけることができます。

すでにマイクロチップの挿入がされている場合にはお迎え時に説明をされる場合が多いです。忘れずに登録をしましょう。

迷子札もマイクロチップリーダーがなくても飼い犬であることがわかり、動物病院などの施設へ保護してもらえたり、警察へ届けてもらえる可能性が高まります。できれば併せて用意をすると安心です。

食べてはいけないものを食べてしまうと、食べてしまったものや状態によっては死につながる危険性があり、すぐに受診が必要となるケースが多いです。

まずはお家に迎える前にわんちゃんの手の届くところに危険なものを置かないよう、生活空間を見直しましょう。どんなものが危険かということを事前に知っておくこともとても大切です。

成長とともに起こる変化

わんちゃんも徐々に成長します。まず、成長とともにどのような大きさの変化が現れるかということを知っておくことはとても大切です。

わかりづらい場合、専門家にその犬種であればどのくらいのスピードでどのように大きくなるかということを相談してみましょう。

特に最近よく見かけるミックス犬などはそれぞれの犬種の特性を受け継ぐことがあるため、どのくらい大きくなるのか判断しづらい可能性があります。

予定していたスペースではわんちゃんが快適に過ごせなくなる可能性もあるため、狭くなってしまったときの対策なども考えておけると安心です。

そして子犬ちゃんとしてお家に迎えた場合、まだまだ先のことかもしれませんが、加齢とともに体の機能の低下や行動の変化が見られる場合があります。

また、加齢とともに機能が低下してきたときのライフスタイルの見直しや対策なども徐々に考えていけると良いでしょう。

わんちゃんの成長に伴う体格や性格の変化に応じて問題が生じた場合、環境の見直しは欠かせません。

どんな環境変化が起こり得るかということもある程度予測できると不安が軽減されると思います。

まとめ

家族と子犬

わんちゃんをお迎えすることは嬉しいことでもありますが、これから背負うべき責任に不安を感じたり、都度起こるトラブルに頭を悩ませることもあるかもしれません。

そんな時は少しでもペットショップや施設のスタッフさんや動物病院の先生などの専門家の方たちを頼ってみてください。

知らなかったことを知るだけで、不安に思っていたよりも大きな問題でなかったことがわかったり、対策方法がすぐに見つかる場合もあります。

一人で抱えてしまうと、楽しいはずのわんちゃんとの生活が、悩んでいた思い出で埋め尽くされてしまうこともあるでしょう。
特にお迎え前は大切な準備期間でもあります。

たくさんスタッフさんやブリーダーさんと信頼関係を築き、たくさんのことを聞いて、お迎えするわんちゃんについて、そしてわんちゃんという生き物について学ぶ時間を持てると、より充実した愛犬との生活のスタートが始められると思います。

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