愛犬の体に『できもの』を発見!種類や原因、飼い主がすべき対応まで【現役獣医が解説】

2025-04-26 17:20

現代の獣医療は日々進歩をしていて、人間の医療に近いレベルで治療を行うことが可能になりました。そんな現代でも死亡原因の上位に入るのが悪性の腫瘍です。できものに気づいた場合、飼い主さんはどのようなことをすべきでしょうか。

できもの発見!できものとは?

犬の肌にできたできもの

スキンシップの時間などに体に触れていて、できものに気づくという経験をする飼い主さんは多いでしょう。

腫瘍と聞くと悪いイメージに結び付くことも多くひやりとしてしまうケースも多いのではないでしょうか。できものには実はいろいろなタイプがあります。

できものの種類

まずできものにも様々なタイプがあります。

  • 過形成
  • 炎症による肉芽
  • 良性の腫瘍
  • 悪性の腫瘍

物理的な刺激などで、局所の細胞が増えたり、器官が肥厚するなどの変化が見られることを過形成と呼びます。

一見できもののように見えますが、実際に細胞を採取してみると区別をつけることが可能です。
害のあるものではないケースも多く、物理的な問題が起こらないようであればそのまま様子を見ることも多いです。

炎症が起こると、一般的には腫れの中には血液や漿液などの液体成分、膿などが見られることが多いですが、そのまま慢性的な経過をたどると血液や膿などで空洞になった部分を肉芽と呼ばれる新生組織が埋める場合があります。

過形成と同様、体に大きな害を与えるものではありませんが、物理的な問題になる場合は切除や投薬によって小さくする方法をとることがあります。

良性の腫瘍はあくまでも腫瘍であり、細胞の増加によってできるものですが、スピードや周囲の細胞の侵襲度は悪性のものと比較するとゆっくりで侵襲度も低いケースが多いです。

良性の腫瘍であることがわかれば、ほかの器官への問題が起こるケースは少ないですが、大きくなりすぎてしまって問題となるのであれば切除等の治療を検討することもあります。

一番問題であるのが悪性の腫瘍です。大きくなるスピードも速く、転移や周囲の細胞への侵襲の程度も大きいことが多いです。わんちゃんの全身状態や転移の状態などを総合的に評価して治療方針を立てる場合が一般的です。

腫瘍でない場合

腫れやできものだからと言って必ずしも腫瘍とは限りません。細菌感染やひどい炎症が起こっていることで腫れてしまったり、物理的な刺激が常にあることなどが原因で過形成を起こしている場合もあります。

腫瘍か違うものかということをどのように判断するかというと、できものやできものの内容物を採取して、染色をしたうえで標本を作りどのような細胞から成っているのかということを検査する方法をすることが一般的です。

針で細胞や組織液を採取することもありますが、麻酔をかけて摘出することを先に行う場合もあります。炎症や感染が原因で起こっている場合、抗生剤や消炎剤を使用することで、できものが小さくなったり消失したりこともあり得ます。

どのような対処をする?

腫瘍によって治療方針も異なるため、まずは動物病院を受診しましょう。腫瘍によってできやすい部位などはありますが、外見だけではどんな腫瘍なのかということを判断することはできません。

一般的には、検査を行うことで腫瘍かそうでないのか、どんな腫瘍なのかということを明確にし、適した治療方針を計画します。

腫瘍の種類によって、悪性であれば外科的に切除をすべきなのか、化学療法で治療をすべきなのか、放射線治療が可能となるのかなど方法は様々です。

また、悪性の場合は転移の可能性も生じるため、追加検査をしたうえで余命なども考慮する必要があります。

まず気づいたら何をしたらいい?

愛犬の健康チェック

できものができたら慌ててしまいがちですが、まずは落ち着いて診療時に情報を的確に提供できるよう、家での観察を始めましょう。

どこの場所にあるのかを記録する

小さなできものであればあるほど、どこにあるのかわからなくなりがちです。どの場所にあるのか、飼い主さんが実際に触ったうえで、写真を撮影するなどしてわかりやすいように情報を整理しましょう。

家族間で情報を共有する際にも、どの場所かということをわからなくならないようにするために目安になる周囲の器官なども併せて把握しておくと理想的です。

動物病院の受診の際も、診察の際にどこだったかわからなくなってしまったというアクシデントはありがちです。スムーズな受診とより正確に観察するために、場所は記録しておくことをおすすめします。

どの程度大きくなっているかを記録をする

良性の腫瘍であるか、悪性の腫瘍であるかということの判断基準の一つとして大きくなるスピードが挙げられます。

まず発見時にどのくらいの大きさであるかということを記録しましょう。
可能であれば大きさがわかるよう、近くにものさしや硬貨などを並べて写真を撮影するとわかりやすいです。

一人のご家族が継続して観察していくだけでなく、家族全員で共有して大きくなるスピードを観察していく場合、どうしても観察する人の主観で大きさを感じてしまいがちです。

客観的に大きさを見るために、何か目安になるものを一緒に撮影していくとどのくらいのスピードでどのくらい大きくなっているかということが把握しやすいため、観察がスムーズになる可能性が高いです。

体調変化に気を付ける

悪性腫瘍の場合であれば、転移や周囲の細胞の侵襲により体調変化が合わせて見られる可能性が高いです。
注意すべき変化として以下のような変化が挙げられます。

  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 呼吸の異常
  • 排泄の変化

食欲不振や体重の急激な減少などがあった場合、腫瘍以外の問題にも気を付ける必要がありますが、おうちのわんちゃんに起こっている何らかの問題の可能性があるため、受診を検討する必要があります。

悪性腫瘍のできる場所や転移する場所にもよりますが、肺や胸腔内に存在する場合は呼吸器の変化が、膀胱や尿道付近に存在する場合は排尿や尿の性状の変化が、消化器に存在する場合は下痢や嘔吐などの消化器症状が見られることがあります。合わせて変化が見られる場合、受診時に伝えられると診察がスムーズな可能性が高いです。

飼い主さんとかかりつけの先生で行うべきこと

獣医師に相談する飼い主

家庭での観察と併せてかかりつけの動物病院の先生との連携をとりながら治療を行っていくことはとても大切です。

どんなことに気を付け、どのような流れで診療が進むのでしょうか。

受診をする

動物病院が苦手なわんちゃんも多く、つい様子見になりがちですが、飼い主さんの自己判断はとても危険です。

腫瘍がどんなものの可能性があるのか、どんな検査や治療をすべきと考えるのかをきちんと受診のうえかかりつけの先生から聞きましょう。

受診時に

  • いつから
  • どこに
  • どのような腫瘍を見つけたか
  • 大きくなるスピードなどどのような変化が見られているか

などの情報をまとめておくと診察がスムーズである可能性が高いです。

記録していた情報だけでなく、体調変化や日常生活の様子なども併せて確認する可能性があります。わんちゃんのことがわかるご家族が一緒に連れていくことをおすすめします。

腫瘍の種類を調べる

専門家である獣医師の先生でも、外見や腫瘍のできた場所だけで腫瘍の種類を把握することはできません。

腫瘍の大きさやできた場所によって採取する方法は異なりますが、腫瘍の細胞や組織を採取をして検査をすることが一般的です。

場合によっては鎮静や麻酔が必要となる場合もあるでしょう。全身状態を合わせて把握することもわんちゃんの体に大きな負担をかけないようにするために大切です。

また、目に見える表面的な腫瘍だけでなく、体内にできてしまった腫瘍の大きさや状態を把握するために、超音波検査やレントゲン検査、器官によってはCTやMRIなどの検査が必要となる場合もあります。

その後の治療について考える

腫瘍の種類がわかり、悪性だった場合は余命も考慮したうえでその後の治療方針を考えます。

かかりつけの先生に今後も治療をしてもらう場合や、大学病院などの二次診療施設で腫瘍の専門家の先生に診察及び治療をお願いする場合など様々な選択肢があります。

二次診療施設の場合、メリットとして症例数を多くみている腫瘍の専門家の先生の意見が聞けること、施設の機器なども一般的な動物病院と異なるため、腫瘍の切除の手術が難しいケースや放射線治療などのより高度な治療も積極的に行える可能性が高いことが挙げられるでしょう。

一方、費用が高額になる可能性があることや、普段通っている動物病院と比較すると気軽に相談しにくい可能性がある点などがデメリットとして挙げられます。

おうちのわんちゃんに悪性腫瘍の可能性が疑われる場合、どのような治療を望むかということもご家族で話し合っておくと安心です。

まとめ

飼い主と犬

おうちのわんちゃんに健康に長生きしてもらうことはどの飼い主さんも願っていることと思います。
しかし、悪性腫瘍になることはどんなわんちゃんでも予防することはできません。

どんなわんちゃんでも起こり得るできものの発見に慌ててしまうことのないよう、この記事が少しでも役に立つのであればうれしいです。

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