発酵は“食薬”! 「第1回 発酵アワード」で見えた“ととのう”食品の新潮流

2025-08-05 17:30
発酵は“食薬”! 「第1回 発酵アワード」で見えた“ととのう”食品の新潮流

腸内環境や免疫、肌、心のバランスにまで影響を与える“発酵食品”の健康価値が、いまあらためて注目されている。そんな中、8月5日の「発酵の日」を前に、薬剤師で漢方カウンセラーの大久保愛氏が主催する「食薬✕発酵で、からだととのう」イベントが都内にて開催された。

同イベントでは、発酵食品が“食薬”の原点となった背景や、心身をととのえるヒントなどが語られたほか、このたび創設された「第1回 発酵アワード」も発表。イベント参加者には受賞商品を使った“発酵かき氷”の試食もふるまわれた。発酵を“おいしい”だけで終わらせない。私たちの毎日に寄り添う「食薬」という考え方に、今こそ目を向けたい。

「第1回 発酵アワード」発表

薬剤師・漢方カウンセラー 大久保愛氏

発酵食品の価値を“食薬”の視点から見つめ直すきっかけとして、薬剤師で漢方カウンセラーの大久保愛氏が東京農業大学・前橋健二教授の協力のもとに創設した「発酵アワード」。記念すべき第1回目では4つの各部門から大賞が発表され、その中でも特に高い評価を受けた発酵食品がグランプリに選出された。

グランプリ
『酢酸菌 にごり酢』(各地の酢蔵元)

技術の発達により、現代はろ過された透明な酢が一般的となっているが、江戸時代の酢に含まれていた“酢酸菌”の価値がいま再注目されている。製造にはコストや手間もかかる中、酢蔵元同士の協力と企業努力によって、伝統製法の復興と発酵文化の継承に取り組む姿勢が高く評価された。

グランプリを受賞した『にごり酢』は、〈食卓に発酵部門〉大賞から選出された。そのほかの部門でも、それぞれの視点から優れた発酵食品が選ばれている。

〈発酵ドリンク部門〉大賞
河内菌本舗『フォース 麹エナジードリンク(甘酒)』

クエン酸の増加をうながす白麹の使用により、本来の甘酒より甘さ控えめの味わいを実現。毎日続けやすい飲みやすさと「エナジードリンク」というブランドコンセプトの両立が高く評価された。

〈発酵おつまみ部門〉大賞
T-FARM『沼山大根 いぶりがっこ』

一度は衰退した伝統野菜・沼山大根の復活に取り組み、自然栽培と無添加製法を貫く作り手の哲学が評価された。未来へつなぐ食農の精神を体現した、現代の“食の発酵文化財”として高く認められた。

〈発酵コスメ部門〉大賞
FAS『FAS ザ ブラック エッセンス』

780種類の成分を含む黒米の発酵液を使用した“水不使用”の美容液。伝統素材と最新科学の融合により、スキンケア商品の新たな概念を築き、発酵のポテンシャルを極限まで引き出した機能と感性の最高傑作として高く評価された。

〈特別賞〉
Hedgehog『ヘッジホッグ コンブチャ培養キット』

家庭でスコビー(共生発酵菌)の変化を観察しながら“自分だけのコンブチャ”を育てる喜びと発酵の神秘を体感できる、優れた食育ツールとして評価された。

発表を終えた大久保氏は、アワード創設の背景についてこう語った。

「発酵文化は、長期保存技術や化学調味料の進化と引き換えに、“あってもなくてもいいもの”と思われがちな存在になりつつあります。一方で、近年は腸活や美容、クラフトブーム、発酵イベントなどを通じて“未来を支える知恵”が見直される動きも。これを“一時的なブーム”で終わらせず未来へとつないでいくことが、いま私たちができることだと考えています」

発酵の価値を正しく伝え、生活に根づかせていくには、“おいしさ”だけでなく、「体と心にどう働くか」という視点が不可欠。その思いをふまえ、各部門の大賞は「健康に良い」「続けやすい」「作り手の想いを届けているか」といった観点から選ばれた。

「発酵かき氷」の試食体験

ここで、グランプリ受賞の『にごり酢』を使った「発酵かき氷」がふるまわれた。

にごり酢10~20%の濃度で作られたこのかき氷は、酢酸菌やアミノ酸など、発酵由来の成分が豊富に含まれ、整腸や免疫力増進などの効果が期待されるという。

まず、そのまま一口食べてみる。にごり酢のほんのりした酸味と氷の冷たさが相まって、さっぱりした口あたり。どこかところてんを思わせるような風味も感じられた。当日は猛暑日だったのもあり、夢中になって食べ進めていくうちに、酸味で多少むせてしまう場面も。

ここに、大久保氏が推奨する飲む高麗人参「ブレンドロッソ」を組み合わせてみる。味の変化はさほどなかったものの、「高麗人参」というワードに“なんか効きそう”と思いがめぐる。意識しすぎずに発酵食品を取り入れられる気軽さもまた、新しい発見だった。

大久保氏が語る「発酵×食薬の可能性」

幼少期からアトピー性皮膚炎に悩んでいた大久保氏は、実家・秋田の自然の中で薬草や薬膳に親しみながら育った。薬剤師として漢方相談に携わるうち、3ヶ月のキャベツ生活で体調が改善。“食の力”を実感し、「食薬」という独自の習慣を築いていく。

「食事は“即効性のある薬”ではないので、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月と長いスパンで習慣化させるのが重要。その間はモチベーション低下も起こり得ます。だからこそ、身体に不調を感じた時がスタートのチャンス。“生活習慣を見直したい”という気持ちがそのまま継続の力になると考えています」

そうした考えのもと、大久保氏は“おいしく”“楽しく”“手軽に”始められる習慣として、日常に発酵食品を取り入れる“食薬”スタイルを提唱している。

「発酵食品は“伝統の知恵”と“最新の知見”をつなぎ、心と身体を整える『台所の文化財』。醤油や味噌、酢など、くらしの中に自然と根付いている発酵食品が、どういう過程で食卓に届いているのか……作り手のストーリーや思いを意識してみるだけでも、新しい価値が見えてくるかもしれません」

こうした視点を通して、大久保氏は「発酵×食薬」の可能性を、これからの食と健康のあり方として投げかけた。

グランプリを受賞した全国の「にごり酢」が期間限定販売中

東京「誠品生活日本橋」では、2025年8月4日~31日まで期間限定ポップアップを開催中。アワード受賞商品のほか、大久保氏の著書も購入可能。

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