第一生命、京都の大型物流施設に148億円のエクイティ投資 パナの9拠点集約を支援
第一生命保険は、京都府京田辺市で稼働した大型物流施設「ロジスクエア京田辺A」に対し、総額約148億円のエクイティ投資(持分投資)を実行した。同施設は、パナソニックグループが関西圏に分散していた9つの物流拠点を集約する戦略的中核拠点として活用される。物流業界で深刻化する「2024年問題」や施設老朽化といった課題に対し、機関投資家としてリスクマネーを供給することで、物流網の再編とBCP(事業継続計画)の強化を後押しする。

3つの高速道路が交差する「物流の要衝」
投資対象となった「ロジスクエア京田辺A」は、物流不動産開発大手のシーアールイー(CRE)が開発を手掛け、同社子会社のストラテジック・パートナーズがアセットマネジメントを行う不動産ファンドを通じて投資が実行された。第一生命は本ファンドの主要投資家として参画している。
施設の最大の強みはその立地にある。京都府南部の京田辺市に位置し、新名神高速道路、京奈和自動車道、第二京阪道路という3つの広域幹線道路のジャンクションやインターチェンジに近接する。人口集積地である大阪北摂エリアや京都中心部へのアクセスが良好なだけでなく、新名神の全線開通を見据えた関西全域、さらには中部・関東圏までを見据えた広域配送の要衝として、極めて高いポテンシャルを有している。
施設スペックも最新鋭だ。地上4階建て、延べ面積は約15.6万平方メートルに及ぶ。2階から4階へ大型車両が直接乗り入れ可能な計4基のランプウェイを備え、各階の両面にトラックバースを配置した。これにより、200台以上のトラックが同時に積み下ろし作業を行える設計となっており、荷捌きや積み替え作業の劇的な効率化を実現している。
パナソニックが9拠点を統合、生産性26%向上
本施設の主要テナントとして、パナソニックグループの物流・シェアードサービスを担うパナソニックオペレーショナルエクセレンス(PEX)が2025年9月より入居を開始した。これまで四条畷物流センターなど、関西エリアに点在していた住宅向け商品等の物流拠点9カ所を本施設に集約統合した。
拠点集約による効果は極めて大きい。PEXの発表によれば、拠点統合と配送ルートの最適化により、走行距離を約10%削減。さらに、自動移動棚の導入によって保管効率を27%向上させた。加えて、複数商材の庫内業務プロセスの標準化や、PDA(携帯型情報端末)を用いたペーパーレス化を徹底したことで、業務生産性は26%も改善したという。老朽化した既存施設の課題を解消し、最新鋭のインフラにロボットなどの自動化技術を組み合わせることで、労働環境の改善とグループ全体の競争力強化を同時に達成した形だ。
資産運用の「収益性」と「課題解決」の両立
第一生命が物流施設へのエクイティ投資を加速させる背景には、Eコマース市場の拡大やサプライチェーン再編に伴う、高機能施設への根強い需要がある。同社は顧客から預かった保険料を運用するにあたり、長期・安定的な収益が見込める不動産ポートフォリオの構築を急いでいる。特に物流施設は、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブな資産として、オフィスや住宅と並ぶ主要な投資アセットとして定着している。今回のような優良物件への投資は、ポートフォリオの用途分散とリスク耐性の向上に寄与する。
国内物流業界では、拠点の分散による非効率性や、災害時の供給網寸断リスクが長年の課題となっている。第一生命は今回の投資について、「投資収益の確保と、物流業界が抱える課題解決の両立に取り組む」と強調する。
シーアールイーグループも、自社開発物件を運用ファンドに組み入れることで、管理・運用による安定的なストック収益の拡大を図る方針だ。金融、不動産開発、荷主企業という三者の利害が「物流効率化」という社会課題の解決に向けて一致した、象徴的な事例といえる。今回の投資額148億円という規模は、同エリアの物流不動産取引としても存在感を示しており、今後も機関投資家による高機能物流施設への資金流入は続く見通しだ。