【獣医師執筆】「認知症」は長生きの証拠!実はおうちの子も認知症の傾向があるのかも?
高齢になると避けて通れないのが認知症です。認知症は長生きをしてくれている証拠でもありますが、飼い主さんの生活にも大きく影響を与える問題です。気付かないうちに認知症は始まっているかもしれません。おうちのわんちゃんはいかがでしょうか?
認知症によって起こる変化

認知症と一言でいうと、脳の変化というイメージはできますが、具体的にどんな変化が起こるのかと聞かれると、答えるのが難しいという飼い主さんも多いのではないでしょうか。
人間のように食事の満腹感などのコントロールの難しさや徘徊などは結びつけやすいですが、犬の場合どのような変化が起こるか知っていますか?
実は最近見られるようになった行動変化は、認知症の特有の行動かもしれません。
空間認知能力の変化
認知能力の低下が認知症の大きな変化の一つですが、様々な認知能力の中で空間認知能力の変化が挙げられます。
例えば、普段はスムーズに移動できていた室内での行動が、壁に突き当たってしまい、身動きが取れなくなったり、狭い空間に入り込んで出られなくなるなどの行動変化が特徴的とされています。
同じ方向にぐるぐると円を描くように歩くなどの変化もみられる場合があります。
ぼーっと壁に向かってじっとしているなども見られることがあり、「何か感じ取っているの!?」と疑う飼い主さんのお話もよく聞きますが、認知症の症状が現れ始めているのかもしれません。
わんちゃん自身が出られなくなったり、身動きが取れなくて、吠えて助けを呼ぶようであればサポートしてあげてください。
生活の変化
一番飼い主さんに大きく影響を与える変化ともいえるでしょう。
昼夜逆転は認知症でみられる変化の中で気づきやすい変化です。
今までは夜にぐっすり眠っていたのに、眠らずに吠えたり、飼い主さんを起こしてずっとうろうろと動き回るなどの変化がみられる場合があります。
夜静かな環境の中で、おうちのわんちゃんの鳴く声が気になって家族が眠れなくなったり、近所の方とのトラブルに発展してしまうなどの問題につながる場合があるため、飼い主さんが困ってしまうケースが多いです。
わんちゃんはその分昼間に眠っていることも多く、大きく体力を削ってしまうことは少ないですが、わんちゃんの体調に影響がある場合や、あまりにも環境に大きく影響を与える場合はお薬を使用する場合もあります。
感情の変化
若いころと比較して、感情や感情に関連する行動の変化がみられる場合もあります。
飼い主さんに対して喜ぶなどの感情の変化が乏しくなったり、今まで攻撃的だったわんちゃんが穏やかになったり、逆に攻撃性が増すわんちゃんもいます。
認知症による変化だけでなく、聴覚や視覚、嗅覚などの五感が衰えたことも関係している場合もありますが、他の変化と併せて、全身状態を把握したうえで判断することをおすすめします。
認知症の対策として有意義なもの

認知症は脳の変化によるものであり、脳の変化が不可逆であるため、完全な治療方法はありません。
進行を遅らせたり、少しでも健康な状態に維持できるよう有意義なことを行うことや、認知症の変化によって、おうちのわんちゃんが負担に感じないような対策をとることが必要となります。
ではどんなことを行えばよいのでしょうか。
脳への有効成分の摂取
脳の加齢による変化が認知症の起こる原因です。
一度変性してしまった脳の組織を、健康な状態に戻すことはできません。
さらに変性することを防ぐことや、健康な脳の部分を維持できるよう、有意義とされる成分を摂取することは大切です。
成分として有意義なものは以下のようなものが挙げられます。
- DHA
- EPA
- ビタミンEなどの抗酸化作用を持つ成分
DHAはドコサヘキサエン酸、EPAはエイコサペンタエン酸と呼ばれる必須脂肪酸です。
特にDHAは脳で大切な役割をするとされていて、摂取することで認知機能などの維持や向上につながるとされています。
ビタミンEなど抗酸化作用と呼ばれる、器官や細胞を若々しく維持するための成分を摂取することで、脳の老化などに対して健康を維持するサポートをしてくれることが期待できます。
シニアのわんちゃん用のごはんに多く含まれている場合もありますが、サプリメントなどもあり、摂取方法は選択ができるでしょう。
お家のわんちゃんに適した方法を選択してあげてください。
生活環境の見直し
認知症かな?と思ったら、生活環境の見直しもわんちゃんの負担の軽減のために必要な場合があります。
夜に不安が原因で鳴いている場合であれば、今までわんちゃんだけで寝ていた場所が、家族と離れている場所や真っ暗などであれば、薄明りを付けることや、人の気配がする場所で寝ることで、改善される場合もあります。
また、徘徊をする場合、留守番中に自由にできるようにしていると、狭い空間に入り込んでしまうことで身動きが取れず、体力が消耗してしまったり、けがをしてしまう危険性があるため注意が必要です。
留守番が必要になった際に、短時間でも預けられる場所の確保や、けがをせず安心して落ち着ける空間を要してあげるなどの対策をとることをおすすめします。
一日の生活サイクルの見直し
認知症で飼い主さんが問題と感じるのが、昼夜逆転であることが多いです。
早い時間に深く眠ってしまうことで、体力を持て余して深夜に活発になってしまうなどの場合もあり、飼い主さんも眠る時間帯に合わせてわんちゃんも眠れるようなお散歩やごはんの配分を行うことが大切です。
どうしても難しい場合は、飼い主さんの生活サイクルをわんちゃんに合わせてわんちゃんが起きる傾向がある時間帯に合わせて起きてあげるということも、一つの選択肢になり得ます。
認知症に困ったら?

わんちゃんの生活や健康も大切ですが、飼い主さんの生活が問題なく送れることが最も大切です。
認知症の程度や症状によって、日常生活を送ることが難しくなったらどうしたら良いのでしょうか。
かかりつけの先生とのより密な協力体制を
最も頼れるのは普段からわんちゃんを見てきたかかりつけの先生です。
認知症の場合、緩和することが難しい場合もありますが、体の変化や違和感によって認知症のような変化が見られている場合もあります。
わんちゃんの様子に変化が見られた場合、細かく連絡や相談をしながら、受診すべきタイミングや治療を行うべきタイミング、家庭でのケアの見直しなどを都度対応することで、飼い主さんの困っていた行動や変化が改善されることもあります。
今まで病気をあまりせず、かかりつけの先生を作っていないというわんちゃんもいるかもしれませんが、高齢になるほど体の器官や行動など様々な面で変化が見られるため、健康な頃からわんちゃんのことをよく知るかかりつけの先生はとても心強い協力者となり得るでしょう。
デイケアや老犬ホームなどの利用
どうしても飼い主さんがずっとつきっきりで、わんちゃんにとって健康で安全な生活を保障してあげることが難しい場合、どうしても難しい期間のみ、一日預かりや老犬ホームなどで見てもらうという選択肢もあります。
ペットホテルやペットシッターさんなどとの違いは、シニア犬の介護に特化していて、獣医師との連携がとれていたり、認知症が見られる場合でも負担があまりないように生活できるような環境が整っていることなどが挙げられます。
認知症や介護が必要になった段階で、事前に近くの施設などの情報を集めておくと、いざというときに安心です。
お薬の服用も検討する
完全な解決策になるわけではありませんが、お薬の服用によって、脳の運動を調節することができることで、少し状態が改善される場合もあります。
ただし、使用にあたってはわんちゃんの全身状態をきちんと把握することもとても大切です。
飼い主さんの判断ではなく、かかりつけの獣医師の先生との相談や指示が必要になります。
どうしても困っている場合はかかりつけの先生に相談し、先生からも提案がある場合はお薬の服用も検討しても良いでしょう。
まとめ

わんちゃんの認知症は、飼い主さんの生活にも影響を与え、大変な思いをするというマイナスなイメージがつきまとうかもしれません。
しかし、わんちゃんが長生きしてくれている証でもあります。
飼い主さんが一人で抱え込んでしまうと、困難な点がたくさんあるでしょう。
かかりつけの先生や、周りの老犬の専門家の方と協力しながら、飼い主さんの生活スタイルに適した対策方法を見つけることが大切です。
わんちゃんの状況を正しく理解して、向き合ってあげてくださいね。
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