理系の未来をもっと身近に 山田進太郎D&I財団のGirls Meet STEM春ツアー

2026-05-12 08:00

「理系」と聞くと、研究室や難しい数式をイメージする人もいるかもしれません。ですが実際には、AIやゲーム、鉄道、日用品など、私たちの身近な暮らしの中にも“理系の仕事”はたくさんあります。

それでも中高生の頃は、「自分に向いているのかわからない」「どんな仕事につながるのか想像しにくい」と感じることも少なくありません。

そんな中、この春に開催された「Girls Meet STEM」2026 春ツアーでは、全国の中高生女子たちが、実際の企業や研究現場を訪れながら、理系の仕事や学びに触れる機会を体験しました。参加した企業は、NHKや日本マイクロソフト、日立製作所、JR西日本、花王など幅広く、AIやプログラミング、研究開発、鉄道インフラまで、普段なかなか見ることのできない“働く現場”が広がっていたそうです。

印象的なのは、単なる企業見学では終わっていないことです。女性研究者や社員との交流を通じて、「理系に進む未来」を少し身近に感じられるような空気がつくられていた点に、この取り組みの大きな意味を感じました。

“理系が得意な人だけの世界”ではなく、“まだ知らない未来の入口”として理系に触れられる――。そんな時間が、このツアーには詰まっていたのかもしれません。

「Girls Meet STEM」とは? “理系の未来”をもっと身近にするプロジェクト

「Girls Meet STEM」は、中高生女子が企業のオフィスや研究所を訪れながら、理系分野の仕事や学びを体験できるツアー型プログラムです。2026年春ツアーでは全国41件の企業ツアーが行われ、約1,100人が参加しました。

理系という言葉を聞くと、「難しそう」「自分には向いていないかもしれない」と感じる人も少なくありません。特に中高生の時期は、“知らないから選択肢に入らない”ということも多いはずです。

だからこそ、この取り組みで印象的なのは、“まず体験してみる”ことを大切にしている点です。

実際のオフィスや研究所を訪れ、AIやものづくり、放送技術、鉄道インフラなど、さまざまな仕事に触れることで、「理系って意外と身近なんだ」と感じられる内容になっていました。

また、女性社員や研究者との交流が行われている点も、このツアーの大きな特徴です。

進路選択の悩みや、理系を選んだ理由、仕事のやりがいなど、実際にその道を歩いてきた人たちのリアルな話を聞ける機会は、中高生にとって大きな刺激になります。

「自分にもできるかもしれない」。

そんな感覚を持てるだけでも、将来の見え方は少し変わるのかもしれません。

この活動を行っているのが、公益財団法人山田進太郎D&I財団です。

メルカリCEOとして知られる山田進太郎氏が設立した財団で、STEM分野におけるジェンダーギャップ解消をテーマに、中高生女子の進学やキャリア選択を支援しています。

“理系を特別な世界にしない”。

Girls Meet STEMには、そんな想いが込められているように感じました。

NHKやマイクロソフトも参加 女子中高生が触れた“理系の仕事”のリアル

今回の春ツアーでは、NHKや日本マイクロソフト、エイチームホールディングスなど、メディア・IT分野を代表する企業も参加していました。

“理系の仕事”というと研究や実験をイメージしがちですが、今回のツアーでは、放送、AI、ゲーム、プログラミングなど、普段の生活に身近な分野にも多くの理系技術が使われていることを体感できる内容になっていました。

NHKでは、大河ドラマの撮影現場を特別に見学したほか、放送技術研究所の女性研究員によるAI活用事例の紹介も実施。番組制作の裏側には、映像技術やAI、環境への取り組みなど、さまざまな技術が関わっていることを学べる機会になっていたようです。

また、女性職員との座談会も行われ、それぞれの仕事やキャリアについてリアルな話が交わされました。

日本マイクロソフトでは、micro:bit(マイクロビット)を使ったプログラミング体験ワークショップを開催。初めてプログラミングに触れる参加者も多かったそうですが、実際に手を動かしながら学ぶことで、“難しい”だけではない面白さも感じられる時間になっていたようです。

さらに、女性社員によるトークセッションやオフィスツアーも行われ、IT業界で働く姿をより身近に感じられる内容も用意されていました。

エイチームホールディングスでは、ゲームプランナーやデザイナーによる仕事紹介を実施。参加者からは「進路の決め方」や「プログラミングの必要性」など、将来を意識した質問も多く出ていたとのことです。

AI、ゲーム、映像、IT――。

普段当たり前のように触れているものの裏側に、どんな仕事や技術があるのかを知ることで、“理系の世界”を少し近く感じられるツアーになっていたのかもしれません。

花王や日立、JR西日本も参加 “社会を支える理系”に触れる体験も

今回の「Girls Meet STEM」では、ITやメディア業界だけでなく、メーカーやインフラ分野の企業も参加していました。

花王では、「花王エコラボミュージアム」を見学しながら、製品づくりに活用されているエコ技術を体験形式で学べる機会を実施。毎日の暮らしの中にある日用品も、研究や環境技術によって支えられていることを感じられる内容になっていました。

また、研究員との交流会では、文理選択や研究の進め方についての質問も多く寄せられたそうです。

三菱マテリアルでは、「お宝がなくなった」というストーリー仕立ての謎解きワークショップを開催。楽しみながら事業内容を学べる工夫がされており、“理系を学ぶ”というより、“自然と興味を持てる”ような時間になっていたことが伝わってきます。

さらに、理系出身の女性社員との座談会では、仕事のやりがいや進路についてリアルな話も交わされました。

日立製作所では、卓上型電子顕微鏡を使ったタンポポの花粉観察を体験。さらに、ハスの葉の構造をヒントにした撥水素材の開発事例なども紹介され、自然の仕組みを技術へ応用する考え方について学ぶ機会も設けられました。

また、AIや鉄道、原子力など幅広い分野で活躍する女性社員との交流も行われ、技術が社会でどう役立っているのかを知る時間にもなっていたようです。

JR西日本では、うめきた地下駅や周辺のまちづくりについて学べるツアーを開催。普段は見ることのできない設備や止水鉄扉の見学も行われ、鉄道インフラの裏側に触れられる内容になっていました。

毎日使っている駅や電車も、多くの技術や安全対策によって支えられていることを実感できる機会だったのではないでしょうか。

“理系の仕事”というと、研究室の中だけをイメージする人もいるかもしれません。

しかし今回のツアーでは、暮らし、環境、交通、ものづくりなど、社会のあらゆる場所で理系の力が活かされていることが伝わってきました。

女性社員との交流が“未来の選択肢”を広げるきっかけに

今回のGirls Meet STEMで特に印象的なのが、企業見学だけで終わらず、実際に働く女性社員や研究者との交流の時間が数多く設けられていたことです。

東京地下鉄では、土木や建築など異なる部署で働く女性社員によるパネルディスカッションを実施。「周りは気にせず好きなことを選んでいい」「いろいろなものを見て体験してほしい」といった言葉が参加者へ送られました。

また、ニデックでは、望遠鏡づくりのワークショップに加え、理系女性社員との座談会も開催。「なぜ理系を選んだのか」「大学生活はどんな感じだったのか」など、中高生にとって気になるテーマについて、リラックスした雰囲気の中で会話が行われたそうです。

理系という進路に興味があっても、「自分に向いているのかわからない」と不安を感じる人は少なくありません。

だからこそ、“実際にその道を歩いている人”の言葉に触れられることは、とても大きな意味があるように感じます。

参加者からも、「再生医療について詳しく知ることができて将来に影響を与えるほど興味を持てた」「将来こんな車に乗ってみたいと思った」といった声が寄せられていました。

何か特別な才能がある人だけではなく、“まず知ること”から未来の選択肢は広がっていく――。

Girls Meet STEMは、そんなきっかけをつくる取り組みなのかもしれません。

Girls Meet STEMが広げる“これからの未来”

今回の「Girls Meet STEM」2026 春ツアーでは、全国41件の企業ツアーに約1,100人の中高生女子が参加し、AI、放送技術、ものづくり、研究開発、鉄道インフラなど、幅広い理系の世界に触れる機会が生まれました。

印象的なのは、“理系を特別なものとして見せていない”ことです。

難しい知識を学ぶ前に、まずは現場を見て、実際に働く人の話を聞いてみる。そんな体験を通じて、「こんな仕事もあるんだ」「ちょっと面白そうかも」と感じられる空気が、このプロジェクト全体には流れているように感じました。

進路を決める時期は、期待と同時に不安も多いものです。

特に理系分野は、「難しそう」「自分には遠いかもしれない」と感じてしまうことも少なくありません。だからこそ、Girls Meet STEMのように、“未来の選択肢”を自然に広げてくれる取り組みには大きな意味があるのではないでしょうか。

Girls Meet STEMは、この夏にも全国各地で企業・キャンパスツアーを予定しているとのこと。さらに現在は、取り組みに参画する企業や大学、高専も募集しています。

理系を目指すかどうかを決める前に、“まず知ること”。

その小さなきっかけが、数年後の未来につながっていくのかもしれません。


公益財団法人山田進太郎D&I財団 概要

公益財団法人山田進太郎D&I財団は、メルカリCEOの山田進太郎氏によって2021年に設立された財団です。
D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進を通じて、誰もが能力を発揮できる社会を目指し、特にSTEM分野におけるジェンダーギャップ解消に取り組んでいます。
中高生女子向けプログラム「Girls Meet STEM」などを通じて、理系分野への進学やキャリア選択を支援しています。

公式サイト:https://shinfdn.org/

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