スミツキハナダイ属の魚類、メスからオスへの性転換を初確認

2026-06-04 04:33

近畿大学などの研究グループが、これまで繁殖様式が不明だったハナダイ科スミツキハナダイ属の魚類が、メスからオスへと性転換することを初めて明らかにしました。

概要

近畿大学大学院農学研究科などの研究グループは、採集が困難で繁殖様式が不明だったハナダイ科スミツキハナダイ属の魚類が、メスからオスへと性転換することを初めて明らかにしました。本研究成果は、令和8年(2026年)4月30日に日本魚類学会の国際誌“Ichthyological Research”にオンライン掲載されました。

概要:

発見:メスからオスへの雌性先熟型の性転換をスミツキハナダイ属で初めて確認

特徴:スミツキハナダイとキイハナダイにおいて、色、鰭の長さ、体長などの外的特徴に雌雄差があることを確認

意義:市場に流通しづらい魚種の繁殖様式に関する理解を深め、魚類分類学や魚類生態学への貢献が期待される

論文掲載:Ichthyological Research 2026年4月30日オンライン掲載

URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s10228-026-01070-1

深海魚スミツキハナダイ属の繁殖様式を解明

魚類の一部には、成長に伴って性別が変化する「性転換」を行う種が存在し、特にハタ科やハナダイ科などでは、メスとして成熟した後にオスへ変化する「雌性先熟型」の性転換が知られています。しかし、これまで性転換の研究は、食用として流通する種や浅い海域に生息する種に偏っており、水深100~300mの深海に生息するスミツキハナダイ属のような低利用種については、その繁殖様式を含む生態の知見が不足していました。

スミツキハナダイ属は、日本近海ではスミツキハナダイとキイハナダイの2種が確認されています。これらの魚は美しい外見から観賞魚としての価値も高いとされていますが、採集事例が少なく、特にキイハナダイは国内での報告例がわずか2例にとどまっていました。そのため、体色の違いが雌雄差によるものなのか、種間の差なのか、また繁殖様式についても科学的な検証が十分ではありませんでした。

船釣りによる標本収集と詳細な解析

研究グループは、相模湾、紀伊半島、沖縄島周辺海域などで船釣りを行い、多くのスミツキハナダイとキイハナダイの標本を収集しました。これらの標本について、外部形態、生殖腺組織、DNA解析を実施し、性差と性転換について詳細な検証を行いました。

その結果、スミツキハナダイでは、オスは臀鰭に黒色斑、頭部に黄色斑、真珠色の鱗を持つ一方、メスは前鰓蓋骨と主鰓蓋骨が白く縁どられているなど、色彩に明瞭な違いがあることを確認しました。また、体長や腹鰭、臀鰭、尾鰭の糸状に伸長した軟条はオスの方が長いことも明らかになりました。さらに、卵巣組織と精巣組織を併せ持つ両性生殖腺を持つ個体も確認され、本種がメスからオスへと性転換を行う「雌性先熟型」であることが初めて示されました。

キイハナダイについても同様の解析を行い、スミツキハナダイと共通する雌雄差があることが明らかになりました。両性生殖腺を持つ個体は確認されませんでしたが、雌性先熟の性転換を行うことが示唆されました。

遺伝子解析の結果、体色や形態の違いは「別種」ではなく「雌雄差」であることが裏付けられました。これらの成果は、深海に適応したハナダイ科魚類の配偶システムの理解を深め、魚類分類学や魚類生態学の発展に貢献するものと期待されます。

まとめ

近畿大学などの研究グループは、船釣りによって採集したスミツキハナダイ属の魚類を詳細に解析し、スミツキハナダイとキイハナダイがメスからオスへと性転換する「雌性先熟型」であることを世界で初めて明らかにしました。この発見は、これまで知られていなかった深海魚の繁殖様式の理解を深める重要な成果です。

関連リンク

https://www.kindai.ac.jp/meikan/2734-miyazaki-yuusuke.html

https://www.kindai.ac.jp/meikan/1436-kobayashi-yasuhisa.html

https://www.kindai.ac.jp/agriculture/

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