【獣医師執筆】犬の外耳炎|原因や症状から治療法まで解説

2026-06-12 20:09

愛犬と過ごす時間の中で、耳を気にするしぐさや耳から発するにおいは身近な飼い主さんであれば気になるものでしょう。よく見られる耳のトラブルとして外耳炎が挙げられます。外耳炎はどのような変化が犬に起こるのでしょうか。

犬の外耳炎はなぜ起こる?

正面をうかがい見る片耳だけ立っている犬

犬の耳道は鼓膜から外側に向けてL字型で徐々に外側に近い方が広くなるようなラッパ状の構造をしています。

耳の中の汚れは、自然に外側に押し出される構造をしているため、自然と汚れが外側へ押し出される仕組みになっています。

しかし、耳道は皮膚の延長であり、それぞれの犬によって性質が異なり、耳道の狭さなども個体差があります。

外耳炎はどんな犬でも起こり得るトラブルですが、犬の性質や耳道の構造によっては起こしやすい場合もあるため注意が必要です。

まず、外耳炎を起こす原因を知りましょう。

感染性

ミミダニと呼ばれる外部寄生虫やマラセチアと呼ばれる酵母菌、細菌などが関係する外耳炎は感染性の外耳炎になります。

ミミダニは他の感染動物や環境から感染をして外耳炎を引き起こします。

特に免疫力の低い幼若な個体や高齢の個体などは状態が悪化しやすい傾向があり、注意が必要です。

マラセチアや細菌性の外耳炎などは、本来犬の皮膚に存在する細菌が、耳道内の環境の悪化や免疫力の不安定さなどにより増殖して炎症につながる場合があります。

アレルギー性

耳道は皮膚の延長であるため、アレルギーを引き起こすと炎症につながり、アレルギー性の外耳炎となる場合があります。

シャンプーなどのアレルゲンとなるものが関連する場合と、明確なアレルゲンがわかりづらいアトピーが関連するものが存在し、どちらも慢性的な外耳炎になりやすいです。

アレルギー性の外耳炎の場合、耳道だけでなく眼周りや口周りなど皮膚にも炎症が見られる場合があります。

脂漏症

皮膚で皮脂の分泌が過多になってしまうことで炎症を起こし、脂漏症になることがあります。

耳でも同様に皮脂の分泌過多によって外耳炎につながることがあります。

皮脂は感染性の外耳炎の原因にもなるマラセチアの栄養源になり、マラセチアが増える原因にもなります。

皮脂の分泌が過多になる原因として甲状腺疾患などが背景にある場合もあるため、慎重に検査をする必要があるでしょう。

外耳炎に気づいたらどんな診察をするの?

獣医師に耳を診察してもらう犬

愛犬が耳を気にするそぶりをよくするようになったり、近くにいて耳のにおいが気になったりするなどの変化がきっかけで、受診をするケースが多いです。

受診をするとどのような流れで診察は進むのでしょうか。

耳道の状態の確認

まずは耳道の状態を確認します。

炎症の程度や、耳道の狭さなどの形状の変化、通気を悪くするようなできものの有無などを確認することが一般的です。

オトスコープと呼ばれる機器で観察しづらい耳道の奥の方まで確認します。

通気を悪くする原因となり得る耳道の狭窄や腫瘍の存在が発覚した場合、外科的な処置が必要となるケースもあるでしょう。

耳垢などの検査

感染性の外耳炎である場合、どんな感染源が潜んでいるかということを確認するために、耳垢などを採取して検査をすることが一般的です。

顕微鏡で観察をすることで、ミミダニなどの外部寄生虫を確認することが可能であり、染色して塗抹標本を作成するとマラセチアや細菌などの微生物も確認することができます。

適切な抗生剤を選択するために、耳垢を採取して培養検査をしたり薬剤耐性検査を行う場合もあります。

背景にある疾患の検査

脂漏症が関連する外耳炎や感染の起こりやすさなどには背景に他の疾患が関連している場合も考えられるため、耳に関連する検査だけでは解決しない場合もあります。

感染のしやすさは免疫力の低下や易感染性などが考えられ、クッシング症候群や糖尿病など、脂質の分泌過多は甲状腺機能低下症などの疾患が背景に潜んでいる可能性があります。

外耳炎が治りにくく慢性化している場合や、投薬をしていても改善があまり見られない場合などは、特にこれらの背景にある疾患の有無を確認する必要がある可能性が高いです。

治療

獣医師に点耳されている犬

かゆみや違和感は致命的な問題にはなりにくいですが、食欲不振や深い眠りにつくことを妨げ、体力の消耗につながる場合があります。

負担を軽減すべく、早期の治療が望ましいです。

感染源である細菌や寄生虫の駆除

まず、感染性の外耳炎である場合、感染源の駆除が必要です。

多くの処方される点耳薬には、抗菌剤や抗真菌剤、消炎剤が含まれていることが多く、細菌性やマラセチア性の外耳炎の場合、点耳薬や内服薬で治療を行う場合が多いです。

毎日の点耳が難しい場合、長期間効果が持続するタイプの点耳薬も存在するため、かかりつけの先生と方針について相談することをおすすめします。

その他、原因に応じた駆虫薬などを併用しながら治療を行います。

背景にある疾患の解決

慢性的な脂漏性の外耳炎やアレルギーが関連する外耳炎の場合、消炎剤を使用して炎症を軽減しながら、アレルゲンの除去や内分泌疾患の是正などを合わせて行う必要があります。

甲状腺機能低下症やクッシング症候群などは毎日投薬することで、状態を安定させることが可能です。

再発や慢性化を防ぐために、かかりつけの先生と治療方針を相談しながら持続的な治療計画を立てることになるでしょう。

耳道の環境の改善

慢性的な外耳炎などが原因で、耳道が狭窄している場合や閉塞してしまっている場合、点耳薬や内服薬では治療効果が見られないことがあります。

その場合、外科的な処置として耳道の切除などを行うこともあります。

重度で慢性的な場合や、炎症の波及が広範囲である場合であり、軽度の外耳炎ではあまり見られない治療ですが、外科的な手技も選択肢の一つとして挙げられます。

ただし、行うことによるメリットやデメリットがあること、専門性の高い医療技術が求められる可能性が高く、二次診療施設などに照会が必要な可能性があることなどから、まずはよく相談をして治療方針を決める必要があるでしょう。

まとめ

穏やかな表情でソファに伏せる立ち耳の犬

致命的な問題にはなりにくい外耳炎ですが、慢性化してしまうと愛犬にとって大きな精神的負担になったり、体力の消耗などにつながる危険性もあります。

外科的手技を必要とする治療が必要になるケースもあるため、早期に発見をして早期に治療できるように受診をする習慣をつけましょう。

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