「これ、どこの国の言葉?」唐津Farm&Foodが届けた離島の環境学習

2026-06-19 08:00

高島の海岸で、ごみを拾う子どもたち。その中の一人が、漂着したボトルを手に取りながら「これ、どこの国の言葉?」と声を上げました。

海のごみ問題というと、難しい環境課題のように感じるかもしれません。しかし、その日子どもたちが見つけたのは、ごみそのものではなく、海の向こう側と自分たちの暮らしがつながっているという事実でした。

2026年6月5日の「環境の日」、佐賀県唐津市の離島・高島では、高島小学校の全校児童13人が参加する海ごみ学習とビーチクリーンが行われました。活動には唐津南高校の生徒やプロバスケットボールチーム・佐賀バルーナーズ、そして環境教育に取り組むNPO法人唐津Farm&Foodも協力。世代や立場を超えた学びの場が島に広がりました。

また、この取り組みは単発の清掃活動ではありません。回収したペットボトルキャップは後日、高島の形をしたキーホルダーへと生まれ変わる予定です。拾って終わりではなく、その先の「考えること」や「未来につなげること」まで見据えた活動が続けられています。

今回は、高島で行われたビーチクリーンの様子とともに、離島を舞台に環境教育を続ける唐津Farm&Foodの取り組みについて紹介します。

離島・高島で全校児童13人が参加 環境の日のビーチクリーン

佐賀県唐津市の離島・高島で6月5日、「環境の日」にあわせた海ごみ学習とビーチクリーンが行われました。参加したのは高島小学校の全校児童13人。島の子どもたち全員が参加する特別な一日となりました。

活動は午前と午後の二部構成で実施され、午前中は海洋ごみについて学ぶ講習会を開催。海にはなぜごみが流れ着くのか、遠くの海で捨てられたものがなぜ離島の海岸まで運ばれてくるのかなど、子どもたちは身近な海を通して環境問題について学びました。

午後になると、舞台は教室から海岸へ移ります。岩場や浜辺には、ペットボトルや発泡スチロール、漁具の浮き球など、さまざまな漂着ごみが残されていました。子どもたちは一つひとつ丁寧に回収しながら、ごみの種類や数についても記録していきます。

この日集まったごみは、ごみ袋8袋分に加え、漁具のブイやタンクなどリヤカー2台分にもなりました。一見すると美しく見える離島の海岸にも、多くの漂着ごみが存在していることが分かる結果となりました。

ただ海岸をきれいにするだけではなく、実際に自分の手で拾い、記録し、考える。高島で行われたビーチクリーンは、子どもたちにとって海の現状を知る貴重な学びの機会となったようです。

「これ、どこの国の言葉?」子どもたちが海に国境がないことを知った日

海岸でのごみ拾いは、ただごみを集める作業ではありませんでした。
子どもたちは岩場や海岸線を歩きながら、流れ着いたペットボトルや発泡スチロール、漁具などを次々と回収していきます。その中には、見慣れない文字が書かれたボトルもありました。

海に流れ出たごみは、潮の流れや風の影響を受けながら国や地域を越えて移動します。普段の生活ではなかなか実感しにくいことですが、実際に漂着ごみを目の前にすることで、子どもたちは海が世界とつながっていることを自然に理解していきました。
教室で学ぶ知識も大切ですが、自分の目で見て、自分の手で触れた体験は強く記憶に残ります。海に国境はないという言葉を何度聞くよりも、一つのボトルとの出会いが子どもたちに大きな気づきを与えたのかもしれません。

海岸には、波によって白くすり減ったサッカーボールや浮き球なども残されていました。長い時間をかけて海を漂ってきたことを感じさせるそれらのごみは、海洋ごみ問題の現実を静かに伝えていたようです。

環境問題というと難しく聞こえることもありますが、高島での活動は「海の向こうで起きていることが、自分たちの島にもつながっている」ということを、子どもたちが自ら発見する時間になりました。だからこそ、この日の学びは単なるビーチクリーンにとどまらない価値を持っていたのではないでしょうか。

高校生・プロスポーツ・NPOがつないだ学びのバトン

唐津南高校の生徒たちは、自分たちが続けている環境活動について発表。年齢の近い高校生が実際に行動している姿は、小学生たちにとって身近な目標として映ったのではないでしょうか。学校の授業だけではなかなか得られない学びが、同じ地域で暮らす先輩たちから直接届けられました。また、プロバスケットボールチームの佐賀バルーナーズも参加し、スポーツチームならではの環境への取り組みを紹介しました。競技や試合だけではなく、地域社会の一員として環境問題にも向き合う姿勢は、子どもたちにとって新しい発見になったことと思います。

そして、環境教育やアップサイクル活動に取り組むNPO法人唐津Farm&Foodは、海ごみがなぜ離島まで流れ着くのか、その背景について解説しました。海洋ごみ問題は決して一つの地域だけの問題ではなく、私たちの暮らしともつながっていることを伝えています。

今回の活動には、高島小学校、唐津南高校、佐賀バルーナーズ、佐賀県、そして唐津Farm&Foodが参加しました。それぞれが異なる立場を持ちながらも、「子どもたちに環境について考えるきっかけを届けたい」という思いのもとで協力しています。世代も立場も異なる人たちが一つの場所に集まり、知識や経験を次の世代へつないでいく。高島で行われた取り組みには、海ごみ問題を学ぶだけではない、地域全体で子どもたちを育てるような温かさも感じられます。

拾うことはゴールじゃない 高島の形のキーホルダーに込められた思い

海岸でごみを拾う活動というと、きれいになった景色を見て終わりというイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、高島で行われた取り組みは、その先まで見据えたものでした。

会場では佐賀県が進める「プラスマLifeさが」のメッセージとして、「えらんで、減らして、リサイクル」が掲げられていました。ごみを拾うことはもちろん大切ですが、本当に大切なのは「なぜこんなにごみが流れ着くのだろう」と考えること。そして、ごみを減らすために自分たちに何ができるのかを知ることです。

今回回収されたペットボトルキャップは、後日子どもたちの手によって高島の形をしたキーホルダーへと生まれ変わる予定です。捨てられるはずだったプラスチックが、新しい価値を持つものへと姿を変えるアップサイクルの体験も、この活動の大切な学びの一つになっています。

環境問題は、どうしても難しく感じられがちです。しかし、自分で拾ったキャップが島の形をしたキーホルダーになると考えると、その距離はぐっと近くなります。ただ海岸をきれいにするだけではなく、「資源として活かす」という次のステップまで体験できることは、子どもたちにとっても印象深い経験になることでしょう。

海岸に落ちていた小さなキャップが、地域を象徴する形として手元に残る。高島での取り組みには、環境を守ることと地域への愛着を育むこと、その両方の思いが込められているように感じられます。

唐津の離島を一島ずつ 唐津Farm&Foodが続ける環境教育プロジェクト

高島で行われた今回の活動は、単発のイベントではありません。唐津Farm&Foodが続けている「離島環境教育プロジェクト」の一環として実施されたものです。

このプロジェクトでは、唐津市の離島を子どもたちと一島ずつ巡りながら、海洋ごみや環境について学ぶ機会をつくっています。これまでに小川島、加唐島、馬渡島で活動が行われており、高島は4年目の舞台となりました。

離島は美しい自然に囲まれている一方で、海流の影響を受けて多くの漂着ごみが流れ着く場所でもあります。だからこそ、実際の現場で学ぶことには大きな意味があります。教室だけでは伝わりにくい海洋ごみ問題を、自分の目で見て、自分の手で触れながら理解していく。この活動には、そんな実体験を大切にする思いが込められています。

唐津Farm&Foodでは、生物多様性の保全や環境教育、サーキュラーエコノミーの推進などにも取り組んでいます。特に、海岸で回収したプラスチックを新しい製品へ生まれ変わらせるアップサイクル活動は、環境問題をより身近に感じてもらうための特徴的な取り組みの一つです。

今回の高島での活動でも、子どもたちはごみを拾うだけではなく、その背景にある問題や資源として再活用する考え方まで学びました。「海に国境がないこと」や「ごみを減らすことの大切さ」は、言葉だけで伝えるよりも実際の体験を通じて心に残るものです。

高島の海岸で子どもたちが見つけたのは、ごみだけではありません。その一つひとつの漂着物の向こう側にある人や地域、そして世界とのつながりでした。離島を舞台に続けられているこの活動は、未来を担う子どもたちにとって、環境について考える大切なきっかけを届け続けています。

高島の海で生まれた小さな気づき

海岸に落ちているごみを拾うことは、その日だけなら誰にでもできるかもしれません。しかし、「なぜ流れ着いたのか」「どうすれば減らせるのか」まで考えることは簡単ではありません。

今回、高島で行われた環境教育プロジェクトでは、子どもたちは海岸清掃を通じて海洋ごみ問題に触れ、海外から流れ着いた漂着物やアップサイクル体験を通して、海と自分たちの暮らしがつながっていることを学びました。環境問題を知識として学ぶだけではなく、自ら体験し、考える機会になったことは大きな意味があったのではないでしょうか。

地域の学校、高校生、スポーツチーム、行政、そしてNPOが協力しながら子どもたちの学びを支えている姿からは、環境を守る活動が一部の人だけのものではなく、地域全体で未来を育てる取り組みであることも伝わってきます。

高島の海岸で交わされた「これ、どこの国の言葉?」という素朴な一言。その小さな気づきこそが、未来の海を守る第一歩になるのかもしれません。


NPO法人 唐津Farm&Food 概要

NPO法人 唐津Farm&Foodは、佐賀県唐津市を拠点に活動する環境団体です。生物多様性の保全や環境教育、サーキュラーエコノミーの推進などに取り組み、海岸で回収したプラスチックを新たな製品へ生まれ変わらせるアップサイクル事業「Precious Plastic 唐津」も展開しています。地域の自然や資源と向き合いながら、次世代へ学びをつなぐ活動を続けています。

公式サイト:https://karatsu-f-f.com

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