東京都で128年ぶりにボルボックス「サガミボルボックス」が新種として正式記載

法政大学などの研究グループが、東京都の市ケ谷キャンパス外濠で128年ぶりに発見された緑藻ボルボックス「サガミボルボックス」を、生物学的に独立した種であるVolvox sagami sp. nov. として正式に新種記載しました。
概要
法政大学、大阪工業大学などの研究グループは、東京都の市ケ谷キャンパス外濠で発見された緑藻ボルボックス「サガミボルボックス」が、近縁種であるフェリスボルボックスとは生物学的に独立した種であることをDNA解析などにより確認し、Volvox sagami sp. nov. として正式に新種記載しました。この研究成果は2026年6月17日に国際藻類学会誌『Phycologia』に掲載されました。
発表元:法政大学、大阪工業大学
発見場所:法政大学市ケ谷キャンパス近隣の外濠(東京都)
発見された生物:緑藻ボルボックス「サガミボルボックス」(日本固有種)
新種記載名:Volvox sagami sp. nov.
論文掲載日:2026年6月17日
掲載誌:Phycologia
128年ぶりの発見、新種記載への道のり
ボルボックスは「緑の真珠」とも呼ばれ、多細胞化や性進化などの研究モデル生物として注目されています。世界で約26種、日本では11種が報告されており、そのうち4種が日本固有種と考えられています。研究グループは2024年、法政大学市ケ谷キャンパス近くの外濠でボルボックスを確認し、東京都からは明治時代以来128年ぶりの発見として「サガミボルボックス」(Volvox sp. Sagami)と同定しました。しかし、サガミボルボックスは近縁種であるフェリスボルボックス(Volvox ferrisii)とDNA配列が非常に似ていたため、正式な新種としては記載されていませんでした。
今回、本州の14地点から得られたサガミボルボックス10株とフェリスボルボックス10株を対象に、接合子の形態観察と複数の核ゲノム領域解析を実施しました。その結果、接合子の数や大きさ、棘の構造、そして5つの単コピー核遺伝子および核ITS領域のDNA配列解析において、サガミボルボックスとフェリスボルボックスは明確に区別されることが判明しました。これらの証拠に基づき、サガミボルボックスはフェリスボルボックスとは生殖的に隔離された独立種であると結論づけられ、Volvox sagami sp. nov. として正式に新種記載されました。
身近な水辺から新種発見、今後のボルボックス類研究への期待
本研究により、これまでVolvox sp. Sagamiと呼ばれてきた日本固有のサガミボルボックスの分類学的位置づけが明確になりました。外濠で見つかった株を含む各地の株を比較することで、身近な水辺から得られた微細藻類が新種記載につながる重要な研究材料となることが示されました。また、サガミボルボックスとフェリスボルボックスが琵琶湖の同じ水域から見つかっており、近接した環境に生育しながらも遺伝的に区別されることが明らかになりました。
今後、湖沼、水田、都市部の水域などをさらに調査することで、ボルボックス類の分布、生態、種分化の過程についての理解が進むことが期待されます。
まとめ
法政大学などの研究グループは、東京都の市ケ谷キャンパス外濠で128年ぶりに発見されたボルボックス「サガミボルボックス」について、形態とDNA解析の結果からフェリスボルボックスとは独立した新種Volvox sagami sp. nov. であると正式に記載しました。