5児の母・辻希美が直面した「受診の迷い」 アトピー治療とアレルギーマーチの現在地
7月1日(水)、東京・時事通信ホールにて「小児アトピー性皮膚炎セミナー」が開催された。サノフィ株式会社が主催した本イベントには、5人の子どもを育てるタレントの辻希美が「ママ代表」として登壇。国立病院機構三重病院 小児科 臨床研究部長の長尾みづほ先生を迎え、成長の節目における治療の見直しや、劇的に進化する治療環境について対談が行われた。

対談序盤にて、辻は5児の母としてのリアルな実感を語った。「私自身やっぱり肌が弱かったりもしますし、子どもが5人いると、やっぱり肌質とかも全然違う。今日は色々学んで帰れたらいいなと思っています」と挨拶。
特に受診のタイミングについては、「一人目とかは結構すぐに病院に行こうっていう風に思ってたんですけど、やっぱり三人目、四人目、五人目ともなると『まだ大丈夫かな』っていう風にちょっと思ってしまいがちだった」と、多忙な育児の中での迷いを正直に明かした。

長尾先生は、乳幼児期の湿疹が食物アレルギーや喘息へと連鎖していく「アレルギーマーチ」に注意を向ける必要性を指摘。調査では約7割の保護者がこの言葉を知らないという結果が出ているが、辻も「私自身は初めて聞きました」と衝撃を受けた様子だ。長尾先生から「将来の健康に関わるため、軽いうちから適切なケアをすることが大切」と説明を受けると、辻は「今だけじゃなく将来を見ないといけないんだなっていうことをすごく勉強になりました」と、長期的な視点での治療の重要性を再認識していた。

本セミナーの大きなテーマは、生活環境が変わる「3歳・6歳・12歳」という節目での治療の見直し。幼稚園、小学校、中学校への進学は、子どもの肌にとって刺激が増えるだけでなく、親の目が届きにくくなるタイミングでもある。辻はこの提案に対し、「入学だったり卒業だったり、親にとっても生活がガラリと変わる。そのタイミングで一度、子どもの体を見直すとか、アレルギー検査に行ってみるとか、治療をどうするみたいなこととかもやっぱり、一旦見直すっていうことが大事なんだなって改めて思いました」と深く共感した。

さらに、アトピー性皮膚炎における「劇的な治療の進化」についても議論が及んだ。かつてはステロイド外用薬などによる外用治療が中心だったが、2018年以降は生物学的製剤や分子標的薬といった新しい選択肢も広がっている。現在は、症状がない、またはあっても軽微で日常生活への支障が少ない「寛解」に近い状態を、長期的に維持することも目指せるようになっている。
長尾先生が、最新治療によって厳しい食事制限から解放された11歳の少女の事例を紹介すると、辻は「知ってるのか知らないのかで全然選択肢がガラッと変わってくる。一人でも多くのパパだったりママだったり、保護者の方にこのお話が届いたらいいな」と情報の周知を願った。

一方で、日々のケアを担う保護者の精神的負担も深刻だ。約6割の保護者がケアによるストレスを感じている現実に対し、辻は「『痒い』って一番難しい。夜中もポンポンしたり冷やしたりして痒いのを紛らわせたりとか、結構それで親御さんも寝不足になっちゃう」と自身の経験を重ねた。
長尾先生が「お母さん自身を労ってあげる言葉がけが大切」と述べると、辻は「めっちゃ勉強になりますし、逆の立場で自分もそうしてもらえたらすごいなんか『頑張ろう』とも思えるし、なんか自分だけじゃないんだっていうふうに思える。すごく勉強になって、グサッと刺さりました」と感慨深げに語った。

そんな辻の家庭でのリフレッシュ法は「おうちカラオケ」だという。「私自身のリフレッシュ法は、最近は家でカラオケをすること。家でできるカラオケの機械を使って、歌って踊ったりしながら、下の子を寝かせるっていう(笑)。家族と一緒に食事をしたり、たわいもない時間を過ごせてることが当たり前じゃないってやっぱり思った。その時間を過ごしてることが一番『あ、幸せだな』って思えるから、すごいストレスもなくなっていく」と、家族との絆が治療を支える力になっていることを明かした。
最後に辻は、「これから将来アレルギーになるリスクが誰にでもあるっていうこともすごい勉強になった。今現在アトピー性皮膚炎じゃない子どものママさんだったりパパさんにとっても、これから決して他人事じゃないんだよっていうことを、みんな知っておくべきなんだなって思いました」と締めくくった。進歩した治療の選択肢を知り、成長の節目ごとに医師と対話することが、家族全員の笑顔を守る鍵となる。そんなメッセージが、辻の温かくも力強い言葉を通じて伝えられた。