「何もない人なんていない」──自分を受け入れることから始まる、本当の美しさとは

2026-07-08 11:40

「私なんて何もない」「もっと頑張らなければ」。そんな思いから、自分を後回しにしてしまう女性は少なくありません。Bellissima Japan株式会社代表取締役 大島一恵氏は、2026年4月に出版した『自分を好きになる7日間ワーク』で、「自己肯定感」だけではなく「自己受容」の大切さを発信しています。また、ミセスユニバースジャパンを通じて、年齢や外見にとらわれない美しさや、一歩踏み出す勇気を届け続けています。書籍に込めた想いや、本当の美しさとは何か、そして女性が自分らしく生きるために必要なことについて伺いました。


プロフィール
Bellissima Japan株式会社 代表取締役 大島 一恵氏
ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校で応用社会心理学修士号を取得。香港・台湾・タイ・シンガポールで広告モデルとして活動後、IT企業やアパレル商社で広報職を経験。2015年に「World Beauty Queen」世界大会で日本人初のグランプリを受賞し、2016年にBellissima Japan株式会社を設立。ミセスユニバースジャパン ナショナルディレクターとして、多くの女性の挑戦を支援している。

「私は私でいい」と思えるきっかけを届けたい

――今年4月に出版された『自分を好きになる7日間ワーク』は、どのような想いから出版されたのでしょうか。
私はミセスユニバースジャパンを通じて、本当に多くの女性が自分自身と向き合い、変わっていく姿を見てきました。

一方で、「私なんて何もない」「自信が持てない」と、自分を小さく見積もってしまう方も少なくありません。特に優しい方ほど、自分のことより家族や仕事を優先し、自分自身を人生の主人公にできていないと感じていました。

コンテストに参加された方は大きく変わっていきますが、「コンテストはハードルが高い」と感じる方も多くいらっしゃいます。だからこそ、本を通して一人でも多くの女性に、「私は私でいい」と思えるきっかけを届けたいと思ったことが出版のきっかけです。

――本書では「自己受容」という考え方を大切にされています。どのような想いが込められているのでしょうか。
以前の私は、「自己肯定感を高めなければ」と思い込んでいました。嫌なことがあっても無理やり前向きに考えたり、「自己肯定感が低い自分ではダメだ」と自分を責めたりしていた時期があったんです。そんな時に、この本の監修をしてくださった精神科医のしょう先生から、「自己肯定感だけではなく、自己受容や自尊感情も含めて心の土台が整うことで、本当の意味で自分を好きになれる」というお話を伺いました。

その考え方に、とても納得したんです。

自己受容とは、「私はこうだから仕方ない」と諦めることではありません。今の自分を受け入れたうえで、自分の考え方の癖や現在地を知り、「これからどう成長していくか」を考えることだと思っています。

SNSの普及によって、周りと比べて自信を失ってしまう方も多い時代です。だからこそ、まずは今の自分を認め、「何もない人なんていない」ということを伝えたいと思いました。傷ついた経験も、できなかったことも、すべてが今の自分をつくっている大切な一部だと思っています。

海外で出会った「本当の美しさ」が人生を変えた

――ミセスユニバースジャパンを立ち上げたきっかけを教えてください。
大学生の頃にミスコンテストへ出場したことが、すべての始まりでした。それまでの私は、コンテストは選ばれた人だけが出られる特別な世界だと思っていました。しかし参加したことで、自分とは違う価値観を持つ人と出会い、一気に世界が広がったんです。その後、海外のコンテストへ参加した際、年齢や体型に関係なく挑戦を楽しむミセスたちの姿を見て、大きな衝撃を受けました。私の母より年上の女性たちが、おしゃれを楽しみ、堂々とステージに立ち、周りを笑顔にしている姿が本当に輝いて見えたんです。

一方で、私は専業主婦だった母を見て育ち、「女性は年齢を重ねると自由がなくなり、我慢するもの」というイメージを持っていました。だからこそ、日本にも年齢や立場に関係なく挑戦できる場所をつくりたいと思ったことが、ミセスユニバースジャパンを立ち上げた原点です。

――外見だけではない美しさを大切にされている理由を教えてください。
海外で出会った女性たちは、本当に一人ひとり違う魅力を持っていました。体型も年齢も関係なく、自分らしいファッションを楽しみ、人を笑顔にする方がたくさんいたんです。それまでの私は、「もっと痩せなければ」「審査員に好かれる答えを言わなければ」と思っていました。でも海外では、その人らしく生きていること自体が魅力になっていました。

さらに、世界大会で優勝した方の姿からも大切なことを学びました。当時は「きれいだから優勝したのかな」と思っていた方が、1年間を通して世界中でボランティア活動を続け、言葉が通じなくても翻訳アプリを使いながら多くの人と交流し、優勝者としての役割を果たしていたんです。その姿を見た時、「本当に美しい人とは、人に与えられる人なんだ」と考え方が大きく変わりました。だから私たちのコンテストでも、外見だけではなく、その人らしい生き方や周囲への思いやり、人柄も含めた美しさを大切にしています。

誰かと競うのではなく、自分らしく輝くために

――ミセスユニバースジャパンでは「競争」ではなく「共創の場」という言葉を掲げられています。その理由を教えてください。
一人ひとりが持っている魅力や経験は、それぞれ違います。私たちはビューティーキャンプの最初に「褒めワーク」を行っています。初対面同士でお互いを2分間見て、その人の印象や素敵だと思ったところを書き出し、伝え合うワークです。

驚くほど当たるんですよ。自分では気づいていなかった魅力を、周りの人が自然に見つけてくれるんです。参加者の皆さんは、相手の良いところを認めながら、自分自身の魅力にも気づいていきます。

年齢も職業も住んでいる場所も違うので、そもそも比べようがありません。だから私たちは「競争」ではなく、お互いの強みを生かしながら、一緒により良いものをつくっていく「共創」の場だと考えています。また、私たちは「優しさの循環」をとても大切にしています。例えば、子ども食堂への支援や女性シェルターへの寄付なども、一人では難しいことでも、それぞれの得意分野を持ち寄ることで実現できます。

何もできない人なんていません。誰もが誰かの力になれる。その積み重ねが、もっと優しい社会につながっていくと信じています。

母親が変わると、子どもも変わる

――これまで多くの女性をプロデュースされてきた中で、特に印象に残っているエピソードを教えてください。
30年間介護士として働いてきた女性が、2022年、2023年と続けてファイナリストになってくださいました。見た目が変わったこと以上に印象的だったのは、その方の表情や生き方が大きく変わったことです。

周囲から「変わったね」と言われるたびに、その方は「変わったんじゃなくて、元の自分に戻っただけなんです」と話していました。若い頃は旅行やイベントの企画が好きで、人を楽しませることが大好きだったそうです。でも、結婚や子育てを経て、「妻だから」「母親だから」という役割を優先するうちに、自分らしさを少しずつ失ってしまったとおっしゃっていました。子どもには時間もお金も使うけれど、自分のために洋服を買ったり、時間を使ったりすることには罪悪感があったそうです。ところが、コンテストに挑戦する姿を見た娘さんが変わりました。「どうせ無理」と言っていた娘さんが自らコンクールへ応募し、自分の意思で進路を決めるようになったんです。その方が「子どものために我慢してきたと思っていたけれど、娘はそんなこと望んでいなかった」と話された言葉は、今でも強く印象に残っています。

母親が自分らしく生きる姿は、子どもにとっても勇気になるのだと改めて感じました。

「全部自分で」を手放すことも、自分らしく生きる第一歩

――女性がライフステージや年齢にとらわれず、自分らしく生きられる社会にするためには、何が必要だとお考えですか。
私は、「女性が全部一人でやらなければならない」という考え方を変えていくことが必要だと思っています。仕事も子育ても家事も完璧にこなすことが理想のように語られることがありますが、それは現実的ではありません。大学卒業後に香港で暮らしていた頃は、共働き家庭では家事や育児を周囲の力を借りることが当たり前でした。特別なお金持ちではなくても家事や育児をサポートしてもらい、その分、自分の仕事や人生にも向き合っています。

一方、日本では「私がやらなきゃ」と抱え込んでしまう方が本当に多いように感じます。最近は家事代行などのサービスも以前より身近になりました。

まずは一度、人に頼ってみる。そうすると、「一人で頑張らなくてもいいんだ」と気づけると思うんです。真面目で責任感が強い方ほど、自分を後回しにしてしまいます。でも、自分を大切にすることは決してわがままではありません。誰かを幸せにするためにも、まずは自分自身が笑顔でいられることが大切だと思っています。

一歩踏み出した先に、新しい人生が待っている

――最後に、7月28日に開催されるミセスユニバースジャパン2026の見どころと、今後の展望を教えてください。
今年は初めてホテル椿山荘東京で開催します。例年以上に50代の参加者が多く、一人ひとりが歩んできた人生や挑戦への想いをスピーチに込めてくださっています。

私たちの大会には、83歳で出場された内科医の方もいらっしゃいました。年齢を理由に夢を諦める必要はないということを、多くの方が体現してくださっています。大会を通して、「私にも何かできるかもしれない」と感じてもらえたら嬉しいですね。

そして、挑戦する女性の姿を見て、誰かがまた新しい一歩を踏み出す。そんな優しさの循環が広がっていく場であり続けたいと思っています。

何もない人なんていません。誰にでも、その人だけの魅力や経験があります。だからこそ、自分には無理だと決めつけず、「やってみたい」という気持ちを大切にしてほしい。

これからも、一人でも多くの女性が自分らしく輝き、人生の主人公として歩んでいける社会を目指して、挑戦を続けていきたいと思います。

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