動物の食物残さがビールや和菓子に! 川崎発、行政×企業×市民でつくる新しい循環のカタチ「夢見ヶ崎プロジェクト」始動

2026-07-30 16:30

神奈川県川崎市幸区にある夢見ヶ崎動物公園で、2026年7月27日、機械製造・エンジニアリングメーカーである三菱化工機株式会社と川崎市による「夢見ヶ崎プロジェクト」の発足記者発表会が開催されました。

動物たちの食べ残しや、飼育の過程で出る野菜・果物の皮や芯といった、これまで「ごみ」として処理されてきたものを堆肥に変え、その堆肥で農作物を育て、地域の飲食店やブルワリーの力を借りてオリジナルブランド商品に仕立てる。そして生まれた収益の一部を、動物公園の運営に還元していく。「夢見ヶ崎プロジェクト」は、夢見ヶ崎動物公園を拠点に、廃棄物の利活用から商品化・収益還元までを一つのサイクルでつなぐ先進的な試みです。

実は川崎市は、政令指定都市の中で1人1日当たりのごみ排出量最少を2年連続で達成するなど、環境施策に力を入れている。そんな川崎の地で、行政・企業・市民が手を取り合って始動した「カワサキモデル」とはどのような挑戦なのか。

川崎市×三菱化工機が挑む! 地域発の「持続可能な循環モデル」

きっかけは川崎市×三菱化工機が挑む! 地域発の「持続可能な循環モデル」、川崎市と三菱化工機株式会社が2026年6月15日に結んだ「循環型社会の実現に関する連携協定」。夢見ヶ崎プロジェクトは、この協定のもとで最初に動き出した取り組みです。ごみを減らすだけでなく、資源の物理的な循環を地域の経済的な価値へと変えていこうというのが、このプロジェクトの狙いです。

川崎市の福田紀彦市長は、「今期の川崎市は『まわる・つながる・循環都市へ』をテーマに掲げています。市民に愛されているこの動物公園で、企業や市民の皆様と具体的な循環モデルを実現できることを大変嬉しく思います」と語り、川崎発のこの取り組みを「世界へ発信していきたい」と意欲を見せながら、行政主導のプラットフォーム「Kawasaki Future Co-Lab」を活用した共創の広がりへ期待を込めました。

タッグを組む三菱化工機株式会社の田中利一社長も、「当社は1935年に川崎区大川町で創業し、今年で91年目。長年培ってきた環境技術を生かし、持続可能な循環型社会の推進というビジョンのもと、川崎市の発展のために挑戦し続けていきたい」と、地元企業としての強い使命感を明かしました。

「捨てる」から「価値」へ! 1日2kgから始まる地域資源の循環システム

夢見ヶ崎動物公園では日々、動物たちの食事づくりの過程で多くの残さが発生しています。レッサーパンダには笹の葉をミキサーで粉砕しリンゴジュースを混ぜた食事を用意するなど、動物ごとに工夫した餌づくりや食べ残しで、1日約12kg(月間約360kg)もの残さが生まれているのです。この残さを捨てずに資源として活かすのが、夢見ヶ崎プロジェクトの出発点です。

まずは安定した品質管理を行うため、このうち1日2kg(月間約60kg)の残さをコンポストで堆肥化することからスタート。その堆肥を使い、地域の拠点で農作物を栽培していきます。


・ホップ(幸区日吉出張所など):年間約10kgを収穫予定。クラフトビール(東海道BEER)換算で約1,000〜1,200本分を製造
・レモングラス(北加瀬こども文化センター、VOVOなど):年間約3〜4kgを収穫予定。菓寮 東照等で約1,000〜1,500セット分のお菓子として活用


【循環のサイクル】
[資源化]動物の食物残さ(当初月約60kg)をコンポストで堆肥化
↓
[利活用]地域の拠点・子どもたちがホップやレモングラス等を栽培
↓
[ブランド化]地元の協力企業がオリジナル商品を開発・販売
↓
[還 元]収益の一部を動物公園の運営に還元

夢見ヶ崎動物公園の浅井威一郎園長は、「当園は今年、『いのちを感じる』をテーマとした再整備計画を策定しました。残さを堆肥化して収益に転換する仕組みは、地域・環境・教育をつなぐ素晴らしい取り組みであり、都市と自然が共生する姿を皆様と共有できる場所として努めていきたい」と、命の循環を実感できる現場としての想いを語りました。

「KAWASAKI SOUL」でひとつに!「オール川崎」で育む地域ブランド

本プロジェクトが面白いのは、企業の技術力だけに頼らず、地域に暮らす人たちが支え合いながら関わっている点です。

詳細説明を行った三菱化工機の山田宏一氏は、企業や行政が主導する脱炭素・カーボンニュートラルの取り組みは、一部の関係者だけで完結してしまい、広がりを欠きがちだと指摘します。だからこそ「KAWASAKI SOUL(カワサキ・ソウル)」を合言葉に掲げ、行政や企業だけでなく、地元の子どもたちや商店、住民の方々までも巻き込んでいきたいと言います。あわせて、この輪の広がりを川崎そのもののブランディングにもつなげていきたいという展望も語りました。

こうした商品化の裏側にあるのが、地域のコミュニティ「ゆめみらい交流会」を起点とした人のつながりです。先ほど触れた東海道BEER川崎宿工場や菓寮 東照に加え、ソウルフード「元祖ニュータンタンメン本舗」も、この交流会をきっかけに商品開発パートナーとして参画が実現しました。東海道BEER代表の岩澤克政氏は「川崎の街から生まれる素晴らしい体験を、皆さんと共に届けていきたい」と意気込みを語ります。

さらに、プロダンスリーグ(D.LEAGUE)参戦の「KADOKAWA DREAMS」、地元インフルエンサー「たくぽん|川崎グルメ」、ご当地アイドル「GABU」、クリエイター集団「ノクチ基地」もPRアンバサダーとして参入。KADOKAWA DREAMSのエグゼクティブプロデューサーKEITA TANAKA氏も「歴史あるものを未来の子どもたちへ還元するという循環の理念が我々の想いと重なった。川崎から世界へ発信していきたい」と熱弁するように、立場を超えたSOUL(魂)の共感がこのプロジェクトを支えています。

川崎から広がる「カワサキモデル」の未来

動物たちの食べ残しが土に還り、やがて作物となり、ビールや和菓子として店先に並ぶ。そこで生まれた利益が、また動物公園を支えていく。夢見ヶ崎プロジェクトが目指しているのは、誰もが楽しみながら「循環」に関われる未来のカタチです。

今後は子どもたちとの植え付けや収穫ワークショップ、高校生限定のロゴデザイン募集などを進め、2026年11月1日(日)に開催予定のイベント「Colors, Future! Summit」にて第一弾オリジナル商品を販売する予定です。

行政、企業、市民が手を取り合って育む一過性ではない持続可能なアクション「カワサキモデル」。小さな動物公園から生まれた循環の輪が、どのように地域へ広がっていくのか、今後の歩みに注目が集まります。


【夢見ヶ崎動物公園(ゆめみがさきどうぶつこうえん)】
所在地:神奈川県川崎市幸区夢見ヶ崎1-1
入園料:無料
開園時間:9:00〜16:00(年中無休)
規模・飼育数:51種274点(2026年6月末時点)
主な動物:レッサーパンダ、ペンギン、マーモセット、シマウマなど
アクセス:JR横須賀線・湘南新宿ライン「新川崎駅」より徒歩約15分、またはJR南武線「鹿島田駅」より徒歩約20分(バス利用の場合は「夢見ヶ崎動物公園前」下車)

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