フェイクニュース見抜く目を謎解きゲームで鍛える! 「東京ベイeSGプロジェクト」がメディアリテラシー学ぶワークショップを開催
東京の臨海地域を舞台に、自然と便利が融合した持続可能な都市の実現を目指す「東京ベイeSGプロジェクト」を推進している東京都が、その一環となる「謎解きゲームでAIフェイクを⾒極めよう!メディアリテラシーを育むワークショップ」を7月25日に開催した。東京・青梅の日本科学未来館内「Tokyo Mirai Park」で行われた本企画では、株式会社Classroom Adventure協力のもと、情報を正しく見極める力を養うゲームに小学生が挑戦。ゲームから与えられる情報だけでなく、地図や室内空間にある物など、さまざまなものから手がかりを得る謎解きを通じて、これからの時代に求められるスキルを実践的に学んだ。
日本科学未来館「Tokyo Mirai Park」でワークショップを開催
東京都が日本科学未来館内に設けている「Tokyo Mirai Park」は、未来を形づくる企業や大学等と連携し、未来の東京の都市像を創造する拠点として機能している。1階の「Park」と3階の「Lab」の2フロアに分かれ、前者は「未来の1日」をテーマに、朝起きてから夜眠りに着くまでの一日の流れで未来的な暮らしを体感できる展示が行われている。

33名の参加者を「Lab」に集めて行われたワークショップでは、まず始めに東京都で「東京ベイeSGプロジェクト」の推進担当課長を務める齋藤司氏が主催者を代表して挨拶。自然との調和(ecology)などを意味する「e」に、今から約100年前に現在の東京の基盤作りに尽力した偉人である渋沢栄一と後藤新平のイニシャルを合わせた「eSG」を冠した名称で50年、100年先の未来都市を描く同プロジェクトの趣旨を述べた後、「今日のワークショップを通じて、将来どういった街ができたらいいかなど、皆さんの声を聞かせていただけるとありがたいです」と話した。

ゲームを通じて“騙されない”メディアリテラシーを学ぶ
続いて、この日の講師を担う株式会社Classroom Adventure(クラスルームアドベンチャー)の今井善太郎さんが登壇。参加者を4つのチームに分け、約2時間にわたる学びの時間が始まった。

今井さんがCEOを務める同社は慶應義塾大学の現役学生と卒業生が立ち上げたスタートアップ企業だ。東京都が若手起業家の輩出を目的に主催する「TOKYO STARTUP GATEWAY」発の企業でもあり、ネット上のファクトチェックや、ゲームを応用した“学び革命”を主業としている。

その活動のひとつが、この日行われた『レイのブログ』というゲームを使った、メディアリテラシーの教育プログラムだ。こちらはスマホやタブレットでプレイできるミステリー形式の謎解きゲームで、ゲーム内の情報に潜んでいる嘘(フェイク)を見抜きながらゴールを目指すというもの。子どもたちはチームで協力、保護者や我々も自分のスマホにダウンロードして謎解きが始まった。

「レイのブログ」をヒントに謎の人物の正体を暴き出せ!

ゲームは、ある日の放課後、主人公のカバンに見覚えのない封筒が入っているところから始まる。それは「レイ」と名乗る謎の人物からの「“私”を見つけてください」という挑戦状だった。与えられた資料を見ると、どうやらレイの正体はクラスメイトの中にいるらしい。さらに別の資料に書かれているQRコードをスマホに読み取ると「レイのブログ」なるサイトに導かれ……。主人公は協力者・白石の助けを得ながら、レイのブログを頼りにその正体を解き明かしていく。

このゲームの特徴の一つが、ゲームの中だけでは謎解きが完結しないというところだ。プレーヤーは「レイのブログ」の中にある違和感に気付き、Google検索やGoogleマップ、室内空間にあるものなどを駆使して真偽を検証するための情報を集め、ゴールを目指すことになる。小学生にはハードルが高いのでは……と思う方がいるかもしれないが、今井さんによると、確かに中高生や大人向けに設計はされているものの、過去に最も早くクリアできたのは小学生だったという。

各クラスルームアドベンチャーのメンバーが各チームにサポートで付く中、最初のステージから謎に悪戦苦闘な様子の小学生たち。一見嘘っぽい情報が正しかったり、今流行りの生成AI絡みの極めて巧妙な嘘があったりと、騙し連続のゲームに自然と引き込まれていく。
すると、チームのテーブルを離れて、室内の書棚に走る集団が。どうやら謎を解く情報を得るために“ある本”が必要になったようだ。

一方で、謎解きに熱が上がっているのは子どもたちだけではない。周りにいる保護者たちもスマホ片手にゲームに必死。この手のイベントの場合、保護者は我が子を見守るのが基本的な過ごし方だが、保護者も子どもたちと同じ体験が楽しめ、保護者チームも子どもと競い合うところも画期的に感じた。これについて今井さんは「保護者の方にも一緒の目線でゲームに取り組んでもらい、普段、子どもたちがネットとどのように付き合っているかを分かってもらいたい」と狙いを語る。

中盤までは人数の数に勝る保護者チームがトップを走り、その後を各チームが追う情勢に。がんばれ、キッズたち!
今井さんが説く、フェイクニュースの恐怖
そして全チームが無事ゴールに辿り着けた後、プログラムの後半では今井さんから情報との付き合い方に関する講座があった。

世界経済フォーラム(ダボス会議)でネット上のフェイクニュース拡散が目下の脅威として議題に上がっていることを引き合いに、嘘情報を信じてしまうことの危険性について語り、この日『レイのブログ』で取り組んだ「疑い、調べ、判断する」ことの重要性を説いた今井さん。
加えて、災害時等にSNSで拡散されるデマのように、人から人に伝わることで少しずつ形を変える情報伝達の危うさも説く。
また、テレビのニュース映像のように見せかけて、実はまったく嘘の映像を使っているフェイクニュースの実例も紹介し、「普段使っているネットの中にも意外と嘘が多いので気をつけてください」と呼びかけ。ゲームの集中から開放された子どもたちからは「本当じゃないの!?」「怖~い」といった素直な反響があり、最後は今井さんが「全部の情報を疑うことはしなくてもいいけど、嘘を付くことは意外と簡単だから、騙されないように気をつけなきゃいけない。ちょっと怪しいものを見つけたら自分で調べてみるなど、自分なりの情報との向き合い方を考えてくれたら嬉しいです」と話して全体を締めた。

さて、 ここまで読んでいただいた方はぜひ本記事の最初に戻ってみてほしい。私が初めの文章の中で、日本科学未来館の所在地を「東京・青梅」と間違って紹介していることに気付いただろうか。正しくは「東京・青海」が本当に所在地だ。この日の企画に便乗して記事にもフェイクを交えてみたが、このように読者の方をミスリードしないよう、我々記者も改めて戒めを感じさせられる機会だった。