箱根・強羅に、心をひらく滞在をテーマにした宿「箱根強羅 KAIKA」がオープン! 全19室に温泉露天風呂

2026-08-03 09:00

箱根の急坂を登りつめた先、木々に囲まれた静寂の中に、2026年7月31日、全19室すべてに温泉露天風呂を備えた宿「箱根強羅 KAIKA(かいか)」がオープンしました。

今回、開業前のKAIKAに実際に1泊し、総支配人の亀山透氏、サービスマネージャーの譲原典子氏に話を伺ってきました。日常の喧騒や仕事に追われる現代人に、なぜ今ここが必要なのか。その魅力をお伝えします。

「開花」に込められた、休息のその先にあるもの

KAIKAという名前は、漢字で書くと「開花」。厳しい季節を越えた蕾が花開くように、滞在を通じて本来の生命力や感性が自然と呼び覚まされていく、そんな時間を表しています。

館内のコンセプトの核となっているのが「点てる」という言葉です。茶を点てる、火を点てる、心を点てる。静けさの中に命を灯すような所作を通じて、心と体に再び熱が戻り、めぐりが戻ってくる。KAIKAはこの「レジリエンス(再生と回復)」をテーマに据えた宿です。

譲原氏はこの名前の由来について、次のように話してくれました。

「KAIKAという名の通り、朝になるとつぼみがひらくように、お客様のお体やお気持ちが解き放たれてほしい。館内全体の静かな雰囲気が、ご自分をリセットしていく。気がつくと背筋が伸びていくような、そんな時間をKAIKAでお届けしていきます」(譲原氏)

滞在の流れは「整える、ひらく、満ちる」という三つの段階で設計されているそうです。一期一会の心を大切にしたおもてなしを通じて、ゲストが本来持っている生命力や感性を、滞在の中でゆっくりと呼び覚ましていく。そんな構想のもとに、館内のあらゆる体験がつくられていました。

チェックイン前に、まず一息。当たり前を疑うホテルづくり

到着してすぐに驚いたのは、フロントで慌ただしく手続きを済ませるという、いわゆる「ホテルらしい」流れがないことでした。これは意図的な設計なのだそうです。

「私どもはホテル経験者が少なく、全然違う業種から来ているスタッフもいるんです。ですので『常識をまずは疑おう』ということを大切にしたいと思っています。この業界が長いと、いらっしゃってすぐにフロントカウンターで立ってお手続きをいただくのが、つい当たり前になってしまう。でも、お客様にとっては、まずはしっかり休憩して寛ぎたい時間かもしれない」(譲原氏)

急な坂を上ってきたお客をまず休ませ、「楽しみだな」「これからいい時間になりそうだな」と感じてもらう時間をつくることを大切にしているといいます。

一人旅の方、夫婦での滞在、家族での滞在では、それぞれ求める過ごし方が異なるもの。都会で忙しく、なかなか休みが取れない人たちが、自分らしく自然に呼吸ができるような、ちょっと上質な時間を過ごしてほしい。その思いが、館内のあらゆる接客の端々に息づいていました。

客室にテレビはなし。全19室、すべてに温泉露天風呂

KAIKAの客室は全19室で、スイート・トリプル・ツイン・ダブルの4タイプ。すべての客室に温泉の露天風呂が備えられており、プライベート感を重視した設計で、静かに自分自身と向き合い、心身を休めるには絶好の空間です。

そして、印象的なのは客室にテレビが置かれていないことです。譲原氏によれば、これは一人の時間や会話を楽しんでほしいという思いからきているとのこと。ニュースやSNSから距離を置き、同行者との対話や、静けさそのものと向き合う時間を過ごしてほしいという意図が伝わってきました。かわりに、客室にはKAIKAオリジナルのリラクゼーションミュージックが3曲用意されていて、さりげなく流しておくだけで部屋の空気がふっと和らぎます。

実際に部屋で過ごしてみると、テレビをつける習慣がないだけで、思いのほか時間の流れ方が変わることに気づきます。何より贅沢だったのが、いつでも入れる客室露天風呂の存在です。チェックイン後に、夕食後に、朝起きてすぐに、そして朝食を終えたあとにもう一度と、一日の中で何度もお湯に浸かりたくなる環境が整っていました。都会での暮らしでは意識的に手放さないと得られない「何もしない時間」が、ここでは自然と、しかも何度でも手に入るように感じました。

ミシュラン料理人監修の茶懐石を、朝も夜も。レストラン「水(SUI)」

食事を担うのはレストラン「水(SUI)」。ミシュランの名店で腕を振るってきた料理人が監修する茶懐石で、地元の旬の食材を一皿ずつ丁寧に仕立て、出汁の効いた優しい味わいで、少しずつ感性がひらいていくような構成になっています。お酒のラインナップも充実していて、神奈川県内の蔵元による地酒をはじめ、ワインやビール、さらには入手が難しい銘柄の限定酒まで幅広く揃っています。夜はお酒を楽しむ方が多いこともあり、堅苦しさを抑えた、リラックスした雰囲気での案内がされていました。

一方、朝食は伝統的な「朝茶懐石」の形式。土鍋で炊き上げた白米と、季節のおかずを詰め込んだ二段重が並びます。器の扱いにも決まりごとがあり、漆塗りの椀に盛られた汁物を、まずは一口か二口ほどで食べきれる量だけいただいてから、あらためて汁に箸をつける、という順序が守られているのだそうです。

夜はお酒を楽しむための自由な時間、朝はこうした決まりごとを大切にする時間。譲原氏は、こうして朝と夜でスタイルを変えて案内することで、茶懐石という文化そのものを広めていきたいと話していました。

総支配人の亀山透氏によれば、料理は春夏秋冬で内容を変えていく予定で、取材時にいただいたのは夏のメニュー。9月以降は秋のメニューに切り替わるといいます。食材は近隣のものを極力使用する方針とのことですが、完全な地産地消というわけではなく、良いものは良いものとして仕入れるという柔軟さもあるようです。実際に、但馬牛の最高ブランドとされる「但馬玄」を、たまたまのご縁で仕入れることができ、提供していたと聞きました。前菜など周りに添えるものは地のものを中心にしつつ、主役となる食材にはこだわりを持って選んでいるとのことです。

箱根連山を望む天空茶室と、スタッフ手作りの散策案内

KAIKAの象徴とも言える空間が、最上階にある「天空茶室」です。箱根連山を一望できるこの茶室は、1組30分ごとの予約制。茶室と言っても、過ごし方は人それぞれ。お茶の道具を借りてお茶を点てる、心静かに瞑想をする、ただのんびりと景色を眺めるなど、使い方は自由なのだそうです。また予約が入っていなければ展望台のように昇って景色を楽しむこともできるとのこと。心地よい風が吹き抜けるので、リフレッシュにはぴったりの空間でした。

さらに、今後はスタッフが実際に強羅の街を歩き回って開拓した「30分」「1時間半」などのおすすめ散策ルートが、客室のタブレットで案内される予定とのこと。

「お客様が履き慣れない靴などでいらっしゃることも多いので、負担がなく楽しめて、観光ガイドには載っていないようなルートを、スタッフみんなでああでもない、こうでもないと言いながらタブレットの中にご案内として入れさせていただく予定です」(譲原氏)

都会の喧騒を離れ、心と体をひらく時間を

こうした一つひとつの心遣いの先に、KAIKAが見据えているのは何なのか。総支配人の亀山透氏は、これからのKAIKAが目指す姿について、こう語ってくれました。

「どうしても観光地に行くと『観光地がメインで、ホテル宿泊は二の次・泊まる場所』という認識になりがちですが、そうではなく『じゃあまた箱根強羅 KAIKA に泊まりたい』と思ってくださるお客様を増やしていくことが、一番の目標です」(亀山氏)

譲原氏も「どこかに行くついでにKAIKAに泊まるのではなく、『KAIKAに行きたいから強羅に来ました』と言っていただけるようなホテルを目指したい」と力を込めます。

テレビのない客室、何度でも浸かりたくなる露天風呂、朝と夜で表情を変える茶懐石、そして屋上の天空茶室。ひとつひとつの空間やサービスに、「ここを旅の目的地にしてほしい」という想いが込められているのを感じました。

日常を離れて自分らしさを取り戻したくなったとき、大切な人と何度でも立ち返りたくなる。そんな、本物の回復と優しさに満ちた宿が、箱根・強羅に誕生しました。


箱根強羅 KAIKA
所在地:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-475
客室数:第一期(本館)全19室、すべて温泉露天風呂付き
公式サイト:https://www.hakonegora-kaika.jp/

なお、今後は2026年冬に一棟貸しの別館(1室)、2027年夏にはインフィニティ露天風呂付きの客室を含む新館(8室)の開業も予定されており、最終的には総客室数28室規模へと拡張していく計画です。

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