カンロ、通期利益予想を下方修正、中東情勢による原材料高騰を「価格改定」と「成長投資」で巻き返しを図る

2026-08-05 08:00
カンロ、通期利益予想を下方修正、中東情勢による原材料高騰を「価格改定」と「成長投資」で巻き返しを図る

飴やグミを中心とした日本の老舗菓子メーカーのカンロは、「2026年度第2四半期決算説明会」を2026年7月31日に開催。当日は、国内キャンディ市場の動向に対するカンロの見解と今後の成長戦略や事業の見通しについて発表された。

中東情勢によるコスト増の影響で、9月より価格改定を実施

最初に、カンロ株式会社 取締役常務執行役員 CFOの佐藤光記氏が登壇。2026年度上期連結決算概要と、通期連結業績予想を説明した。

まず上期決算について、売上高は前年同期比で増収となった一方、利益面では減益となった。また、中東情勢による原材料コスト高騰の影響で、「自助努力のみでの対応には限界があることから、9月より価格改定を実施させていただく」と佐藤氏は述べた。

こうしたなか、キャンディ全体の規模は錠菓(タブレット)や清涼菓子等の伸長に支えられ、前年同期比プラス2.4%の1,978億円となった一方で、カンロの主力カテゴリーである「飴」は649億円(前年同期比マイナス1.8%)と「グミ」は683億円(前年同期比プラス2.8%)という結果に。

また、キャンディ市場全体におけるカンロのシェア率は図の通り。

佐藤氏は、「飴とグミの両市場ともに拡大ペースが鈍化する中で、自社の強みを活かして粘り強く売上を確保し、飴・グミともに市場シェアを向上させることができた」とコメント。

次に、カンロの主力ブランドの動向について説明した。

まず飴については、外部環境の影響を受けやすいのど飴の需要が減少。しかし、もう一つの主要カテゴリーであるグルメカテゴリーが大きく伸長した。ミルクキャンディブランドで売上No.1を誇る「金のミルク」は、季節限定商品が貢献し、前年同期比で増収を達成。さらに、「カンロ飴70周年プロジェクト」を展開する「カンロ飴」では、創業地である山口県光市との地域連携施策などが奏功し、こちらも前年同期比で増収となった。

グミについては、主力商品の「ピュレグミ」が他社との競争激化により前年比で減収したほか、ブランドリニューアルを実施した「カンデミーナ」も、回復は一時的にとどまり、減収となった。このように、主力3ブランドは上期でやや伸び悩んだものの、佐藤氏は「新商品や取り組み商品の展開を進めたことで、マイナス分を十分カバーすることができた」と説明。

「特に大きく貢献したのは、第4のブランドとして育成中の『カンロ ザ・ストロング』シリーズ。こちらは、予算を大きく上回る好調な業績を達成しています。また、『グミッツェル』は生産効率の改善により増産体制を強化し、販売増加につながりました。加えて、羽田空港や阪神梅田本店でのポップアップ、5月にオープンした伊勢丹新宿店の常設店も大きく貢献しています」(佐藤氏)

続いて、売上高と営業利益について説明し、売上高は、主力ブランドの伸び悩みを補完するため、「カンロ ザ・ストロング」等のブランドの展開を進めたものの、期初予想に対して約5.4億円マイナスと、わずかに計画未達となった。

営業利益は、2026年5月以降に本格化した中東情勢の影響による原材料・燃料費等のコスト増の影響が極めて大きいという。特にナフサを原料とする包材関連のコストが大きく上昇しており、一定水準のコスト増を余儀なくされているとのこと。それに加えて、保管配送費、広告宣伝費、人件費、システム関連経費など販管費の増加により、前年同期比で約5億円の減益となった。

佐藤氏は、「販管費においては事業領域・規模の拡大と今後の成長戦略に必要な重要な投資だと捉えている。原価率の改善に向けては、生産性向上の取り組みを継続するとともに、9月以降の価格改定による効果が見込まれる第4四半期以降に、原価率の回復を図っていく」と、今後の見通しを語った。

バランスシートマネジメントで資本コストの最適化に注力

そのほか、2026年度の連結業績予想の修正についても触れ、2026年2月に公表した期初予想と比較して、売上高は据え置きとする一方、利益項目については下方修正すると発表。売上高は期初予想通り365億円を維持し、営業利益42億円、経常利益42億円、当期純利益30億円を見込んでいるそう。

カンロはこれまで増収増益の順調な推移をたどってきましたが、昨今のインフレや金利上昇、中東情勢といった要因により、厳しい事業環境が続いている。こうした状況下では、資産効率の向上やROIC(投下資本利益率)の達成、資本コストの管理が肝となるため、直近では「バランスシートマネジメント」の強化にも注力しているとのこと。

「従来は手元資金を厚めに維持してきましたが、安定したキャッシュフローを踏まえ、必要な残高を見直し、余剰分を新グミライン投資に充当しました。また、2018年末時点で約23銘柄を保有していた政策保有株式は今上期末までに3銘柄まで縮減し、2026年度上期末時点の帳簿残高は約3,000万円弱までに落ち着いた状況です。

引き続き下期も、新グミラインへの投資や既存設備の更新・改善投資が継続するため、各金融機関との協議を開始しているほか、最適な資本コストの実現に向けて責任を持って取り組んでいきたい」

グミ市場は「急成長期」から「安定成長期」へ

後半は、カンロ株式会社 代表取締役社長 村田 哲也氏が登壇し、今後の成長戦略や中期経営計画の進捗について発表した。

カンロが長期ビジョン実現に向けて策定した「中期経営計画2030」では、2030年にグミ市場が1,500億円規模に達すると予測しているとのこと。そんななか、現在のグミ市場は「急成長期」から「安定成長期」へと移行しつつあり、「2030年の1,500億円規模の突破は十分に視野に入っている」と村田氏は語りった。

その一方で、現在のグミ市場は、店頭の棚スペースが拡大し商品数も増加したことで、単なる新規性だけでは継続購入につながりにくい環境になっている。

「今後グミ市場がさらなる成長を遂げるためには、“目新しさ”だけの商品開発ではなく、商品の提供価値を磨き上げ、生活者のニーズを的確に捉えた商品を生み出すことが重要だ」と村田氏は分析した。

次に、カンロの既存ブランドの戦略について説明。主力の「ピュレグミ」は、生活者の様々なシーンに寄り添う「ライフタイムピュレ」というコンセプトの提案とブランドの高付加価値化を通じて、国内No.1の地位はもちろん、グローバルブランドとしての成長を目指していくという。さらに「カンデミーナ」「マロッシュ」「カンロ ザ・ストロング」といったブランドについても、独自の食感訴求や提供価値の差別化を図ることで、ブランドポジションを確立していくとのこと。

そして、気温、風、ウイルス、花粉といった外的要因の影響を受けやすい飴市場においては「外部環境に左右されにくく、ユーザーの高齢化や若年層の飴離れといった課題も踏まえた新しい価値の創出に挑んでいく」と村田氏は方針を語った。

直近では、香りに特化した新感覚のキャンディ「KAORITO」という新商品をテスト展開しており、これまでとは異なる切り口での新たなカテゴリー創出に取り組んでいるとのこと。

「既存の主力ブランドに加え、2027年の生産体制強化を見据えた商品開発を通じて、新ブランドの育成と市場拡大を目指していく所存です。既存の棚を奪い合うのではなく、市場そのものの拡大に引き続き取り組み、成長を牽引していく存在にカンロがなれるように尽力していきたい」(村田氏)

カンロが掲げる成長戦略において、最も重要な鍵を握るのが長野県・朝日工場における「新グミラインの新設」。2025年10月の着工以来、工事は順調に推移しており、「今後は各種機械設備を段階的に導入し、2027年7月の稼働開始を目指す」と村田氏は説明。また、設備の整備と並行して、現場を支える製造人員の採用および育成にも着手していると進捗を明かした。

米国事業の成長の鍵は「店頭配荷の強化」と「認知度の向上」

続いて、米国事業の進捗について説明。海外市場における「ピュレグミ」の取り扱い店舗数は400店舗を超え、中期経営計画で掲げていた最低目標の300店舗を達成した。下期からは、新フレーバー「ウォーターメロン」とプレミアムライン「ジャパニーズストロベリー」を加えた6品体制へと拡充し、店頭配荷をさらに強化していくと村田氏は海外事業の手応えを示した。

加えて、認知拡大の施策として、2026年7月上旬にロサンゼルスで開催された北米最大級のポップカルチャーイベント「アニメエキスポ2026」に出展。公式Instagramのフォロワー数が1万人を突破するなど、大きな反響につながったことから、「今後はこうした実績を足がかりに、米国の主要小売チェーンへの導入を見据えたブランディングを加速させていきたい」と述べた。

事業基盤変革に寄与する「ヒトツブカンロ」事業は、伊勢丹新宿店の常設店と原宿店に加え、9月中旬にリニューアルオープン予定のグランスタ東京店と合わせて、年内には常設店3店舗体制となる見込み。2030年の売上高目標である25億円に向けて、事業は順調に推移している。

原材料高や中東情勢といったコストの逆風が続くなか、カンロは9月からの価格改定やバランスシートマネジメントの強化で、さらなる企業価値の向上に取り組んでいる。また、グローバル展開においては、北米市場での店舗拡大やブランディング施策を進めることで認知度向上を図り、中長期的な成長を見据えるなど、今後のさらなる飛躍が期待される。

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