「日本ワインコンクール 2026」の表彰式が山梨・甲府で開催! 甲州ワインが悲願の最高賞を初受賞

日本ワインを対象とした国内最大規模のコンクール「Japan Wine Competition 2026」(日本ワインコンクール 2026)の表彰式が8月3日に山梨県甲府市の山梨県庁で行われた。22回目の開催となる今年は、全国158ワイナリー計886点の応募の中からグランドゴールド賞4点、金賞37点、銀賞127点、銅賞183点などを選出。併せて受賞ワインセミナーも行われ、受賞した生産者がワイン造りのこだわりを語った。
日本ワイン始まりの地・山梨県に全国のワイナリー関係者が集結
日本ワイン始まりの地であり、国産ワインの生産量で全国一を誇る山梨県。「美酒美県やまなし」をキャッチフレーズに掲げ、特産のぶどう品種「甲州」などで造られる甲州ワインは、全国に知られる名産品だ。その県都・甲府市で毎年行われている「Japan Wine Competition 2026」(以下、日本ワインコンクール)の表彰式。山梨県庁の正庁を会場に厳かな空気の中執り行われた今年の式典でも、受賞者たちの晴れがましい姿が見られた。

表彰式の始めには、この日は別の公務のため欠席となった長崎幸太郎山梨県知事の祝辞が読み上げられ、「各地のワイナリーの皆さまがより良質なワイン造りを目指し、たゆまぬ努力を重ねてこられた成果が地域ごとの個性豊かな技術として見事に結実されたことに深く敬意を表します」といったお祝いの言葉があった。

続いて日本ワインコンクール実行委員会の会長で山梨大学副学長の奥田徹氏からグランドゴールド賞と金賞の受賞者に賞状と記念品の授与が行われ、その後の記念撮影には喜びの笑顔が並んだ。

気候変動を背景に広がる「日本ワインの多様化」を評価
今年は全国158ワイナリーから計886点の出品があり、グランドゴールド賞4点、金賞37点、銀賞127点、銅賞183点のほか、部門最高賞9点、コストパフォーマンス賞14点が選出された。このうちグランドゴールド賞(以下、GG賞)は、同コンクールの開催20回目を記念して2024年に創設されたもので、100点中92点以上の評価を受けたワインに与えられる最高賞だ。

表彰式の後、山梨県庁から場を移して行われたワイナリー向けの受賞ワインセミナーでは、共催の日本ワイナリー協会の大塚正光理事長が冒頭に挨拶。「全国的にワイナリーの増加傾向が続く中、新しいワイナリーと既存のワイナリーが切磋琢磨することで日本ワインの品質と多様性が向上しています」などと述べた同氏に続いて、今年のコンクールで審査委員長を務めた小山和哉氏(独立行政法人酒類総合研究所)による総評が行われた。

まず、過去最多の35都道府県から過去2番目の応募数があったことに触れ、その上でGG賞、金賞、銀賞が前年よりも増加している点に言及した同氏は、「応募数が増えているだけでなく、品質でも高評価のものが多く出ています」と全体を講評。その上で部門別の入賞ワインと第一原料品種の統計を紹介しながら「各部門でさまざまな品種の高品質なワインが生まれています」と話し、気候変動を背景に栽培品種を変えるワイナリーが増え、日本ワインの多様性が広がっている点を評価した。

一方で、審査で感じた課題としては、「程度差はあるものの、フェノレ、揮発酸、茎臭、還元臭、酸化臭、樽香過多などで評価を下げるワインが一定数あった点」「特に揮発酸の高いワインが散見され、温暖化によるpH上昇などの影響で微生物管理に問題が生じている可能性がある点」「品種特性が不足しているワインも散見された点」などの指摘があった。
山梨県特産の甲州ワインがグランドゴールド賞を初受賞!
今年は『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー』『シャトー・メルシャン片岡』(2品とも、シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原)、『ぶどう作りの匠 北島秀樹ケルナー』(北海道ワイン株式会社)、『シャンモリ 柑橘香 勝沼甲州』(盛田甲州ワイナリー株式会社)の4品がGG賞を受賞した。

この中で『シャンモリ 柑橘香 勝沼甲州』は甲州ワインとしてGG賞を初受賞。また、同じく甲州ワインの『甲州黄金色』(株式会社甲府ワインポート)が今年から新設された「オレンジ部門」の最高賞を受賞し、例年以上に甲州ワインに光が当たった点も今回の特徴といえる。
『シャンモリ 柑橘香 勝沼甲州』は、甲府市勝沼町岩崎地区の契約農家で生産される「甲州」のぶどうで造られた一本。「柑橘香」の名を冠するように、ボルドー駅の散布低減や早期収穫などにより、グレープフルーツやライムを思わせる香りを際立たせているのが特徴だ。

地元産スモークトラウトのカルパッチョとのペアリングで商品を紹介しながら取材に応じてくれた盛田甲州ワイナリーの盛田宏社長は、「若い世代はじめ新たな担い手の方も多く、地域全体の相乗効果ある環境が今回の成果に繋がったと思います。弊社のブランドへの信頼も高まり、今後の大きな励みになります」と喜びを表現。また、通算5度目の金賞受賞で輝いたことに「私たちが目指してきた醸造アプローチや味わいを支持いただけた結果だと思います」と感慨深げに語った。

一方で、琥珀色が美しい『甲州黄金色』は、甲府市北東部で栽培された完熟ぶどうを原料とする一本。味のおいしさもさることながら、甲府市と山梨大学が研究開発した“武田神社のお堀の酵母”を使った、地域ブランド「甲府之証」に認定されている点も特徴のプロダクトだ。

地元の老舗・清水家のいなり寿司、山梨銘菓・澤田屋の「くろ玉」とのペアリングで紹介してくれた久保寺慎史社長は、「“オール甲府市産”で作っているものなので今日こうして受賞できたことがとてもうれしいです。これを機に甲府が良いぶどうの産地であることがもっと広く伝わってくれたら」と喜びのコメント。

また、5年の歳月をかけて生産に至った商品だといい、「オレンジワインは渋みや香りが強いので、最初はそれらを減らしてぶどうの果実味を出したいと思いました。今は枇杷のような瑞々しさにちょっとした渋さのある味わいが理想的だと思っています」というこだわりも。さらに「甲府の人は湯呑でワインを飲む」という驚きのローカルネタも語られ、山梨県民のワイン愛を大いに感じさせてくれた。

なお、甲州ワイン初のGG賞受賞は毎年本コンクールに関わる山梨県の担当者にとっても喜びひとしおの様子で、県産業政策部産業振興課の山本聡一郎課長は「地元の生産者の方々が努力され、昨年も金賞の多くを県内のワイナリーが占めていた中で、こうして最高の賞を得るワインが出たことが本当に嬉しいです」と喜びを爆発させていた。
甲州ワイン、ひいては日本ワインの魅力を知ることができた一日。受賞ワインセミナーでは受賞作品を実際にテイスティングし、生産者のこだわりとその味わいを堪能することができた。「日本ワインコンクール 2026」各部門の受賞ワインは、山梨県の特設ホームページで紹介されているので、ワイン好きは次に味わう日本ワイン選びの参考にしてみては。