なぜ「墓じまい」は後を絶たないのか 創業101年の石材店の「残す」ための選択肢

2026-08-13 17:00

近年、少子高齢化やライフスタイルの変化に伴い、墓じまいを検討する家庭が増加傾向にあるとされる。遠方への転居や、管理の負担が主な要因だそうだ。そうしたなか、千葉県で100年以上の歴史を持つ有限会社近藤石材店は、「手入れのしやすさ」と「既存の石を活かすリフォーム」に注力し、墓を維持するための新たなアプローチを試みている。現代における供養のあり方と、次世代に負担を残さない墓づくりについて、同社代表の近藤洋氏に聞いた。

なぜ「墓じまい」は増え続けるのか。管理負担という現実

お墓参りは平均して年に数回、1回あたり30分程度というデータもあるとされる。しかし、野外に建てられた墓は常に雨風にさらされており、雑草の処理や汚れの清掃といった問題がつきまとう。 「管理ができない」「子どもたちに迷惑をかけたくない」といった理由から、やむを得ず墓じまいを検討するケースが増えていると見られる。 一方で、一度墓じまいをしてしまうと、先祖との精神的なつながりを感じる場所が失われるという指摘もある。物理的な負担の軽減と、精神的な拠り所をどう両立させるかが、現代の供養における構造的な課題となっている。

10年後を見据えた構造設計――目地を減らすという選択

近藤石材店は1920年に創業し、2026年で101年目を迎えた石材店である。同社代表の近藤氏は、完成後の納骨式などで自ら清掃を行う母親の姿から、「掃除しやすいお墓」の重要性に気づいたと話す。 同社では、見えない内部の構造にこだわり、墓所内に土を入れないほか、外柵の敷石を大判にする(1面1枚の設計)といった工夫を行っている。これにより目地を減らし、雑草が生えるリスクや隙間の汚れを抑えられると説明する。 ただし、こうした構造的な工夫を施したとしても、完全にメンテナンスフリーになるわけではない。経年劣化による自然環境の影響は避けられず、定期的な点検や清掃の必要性は依然として残されている。

「壊す」から「残す」へ。自社工場を活かしたリフォーム

石材業界全体では新規建立を重視する傾向があるとされるなか、リフォームにも力を入れている。 同社によると、石は本来100年以上持つ素材であり、自社工場を活用して古い石を加工し直すことで、既存の墓を新しい形に生まれ変わらせることができるという。2011年の東日本大震災時には、300件超の墓石修理を経験した実績も持つ。 もっとも、すべての古い石材がリフォームに適しているとは限らない。石の材質や劣化具合によっては再加工が困難なケースもあり、現場sの状況次第では必ずしも希望通りに再利用できるわけではないのが実情だ。

斜陽産業における生存戦略――「置かれた場所で咲く」意義

業界全体として、石材業は需要が減少傾向にある斜陽産業と位置づけられる。 その中で近藤氏は、時代の変化を嘆くのではなく、「今いる場所でどう咲くかを考えること」を重視していると語る。やむを得ない事情による墓じまいは仕方ないとしつつも、管理上の理由による墓じまいを減らすことを目指し、維持しやすい墓づくりを進めている。 一方で、人々の価値観が多様化し、樹木葬や散骨といった新たな供養の形が普及するなか、従来の墓という形にこだわること自体の持続性には不確実性が伴う。市場のニーズがどこへ向かうか、今後の推移次第で業界の輪郭がさらに変わっていくことになりそうだ。

【取材協力】 

有限会社近藤石材店
代表取締役 近藤洋
https://www.kondo-sekizaiten.co.jp/

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