トラタニが認知機能低下と脳の排出システムを解説する連載第10回を公開

トラタニは、睡眠中の呼吸低下が脳の老廃物排出システム「グリンパティック系」に与える影響を解説するシリーズ第10回「認知機能低下とグリンパティック(脳の排出)」を公開しました。
脳の排出システムと呼吸の因果関係
脳の老廃物を排出するグリンパティック系は、睡眠中に脳脊髄液の流れやグリア細胞の水チャネルなどが連動して機能する生理的な流路です。しかし、このシステムは単独で働くものではありません。本稿では、脳の排出機能が呼吸・酸素・毛細血管・自律神経といった上流構造に強く依存していることを体系的に解説しています。排出システムは、上流の環境が整わなければ流れが止まってしまう仕組みです。特に睡眠中の呼吸の質が最上流の決定因子であり、呼吸が浅くなると酸素供給の不安定化や自律神経の乱れを招き、結果として脳脊髄液の流れが弱まります。
老廃物蓄積による脳への影響
排出機能が弱まり脳内に老廃物が蓄積すると、神経細胞の隙間が奪われて情報処理速度が低下したり、代謝が重くなり慢性的な脳疲労を引き起こしたりします。また、脳の可塑性が低下して学習や記憶に支障が出るほか、自律神経の調整力低下や炎症反応の亢進、睡眠の質のさらなる悪化といった悪循環に陥るリスクがあります。こうした静かな劣化により、脳は休んでも回復しない状態へ向かうことになります。
呼吸構造学による環境改善
今回実施した15名の計測データでは、呼吸回数の減少や呼吸深度の増加、呼気時間の延長といった変化が見られました。呼吸はグリンパティック系が働きやすい環境づくりの入口となります。トラタニが提唱する「呼吸構造学」は、排出という下流の現象ではなく、その上流にある環境を整える学問です。今回の内容は、次回の第11回で扱う「回帰線(戻らない理由)」を理解するための重要な前提となります。
まとめ
グリンパティック系は脳の老廃物を排出する重要なシステムですが、呼吸をはじめとする上流構造の影響を強く受けます。老廃物の蓄積は脳の機能を静かに低下させるため、呼吸を整えて排出環境を維持することが脳の健康維持において不可欠です。