9月1日は「防災の日」 調査で見えた新しい備え「置いてく防災」とは

2026-09-01 08:00

2026年8月は、千葉県で「令和8年8月千葉豪雨」が発生し、月末には石川県でも大雨による浸水などの被害が確認されました。自然災害が相次ぐなか、9月1日の「防災の日」を迎え、家庭での備えを改めて考えておきたいところです。

防災というと、非常食や飲料水、防災バッグなど「持って逃げるもの」を思い浮かべる人も多いでしょう。一方で、避難するときに通帳や印鑑、大切な書類などが気になり、すぐに自宅を離れられないケースもあります。実際、被災経験者を対象とした調査では、67.8%が避難時や避難後に自宅に残した大切なものを気にした経験があると回答しています。

そこで注目したいのが、普段使っているものを災害時にも役立てる「フェーズフリー」と、大切なものを安全な場所に残して避難する「置いてく防災」という考え方です。今回は、マスターロック・セントリー日本が実施した「2026年防災にまつわる調査」をもとに、日常生活のなかで無理なく続けられる防災について考えてみます。

防災の必要性は約9割が実感 「備えている」との間にはギャップも

あなたは現在、地震などの災害に備える必要性をどの程度感じていますか

災害への備えを大切だと感じていても、実際に十分な対策を続けるのは簡単ではないようです。マスターロック・セントリー日本が全国の20~70歳の男女340人を対象に実施した「2026年防災にまつわる調査」では、災害への備えの必要性を「非常に感じている」「ある程度感じている」と答えた人は、合わせて89.7%にのぼりました。

あなたの家庭では、現在、地震などの災害に対して何らかの備えをしていますか

一方、家庭で災害に対して「十分に備えている」「ある程度備えている」と回答した人は62.1%でした。必要性を感じている人の割合と比べると差があり、防災への意識がそのまま日頃の備えにつながっているとは限らないことがうかがえます。

防災への備えを継続するうえで、負担や難しさを感じることを教えてください

さらに、防災への備えを続けるうえで感じる負担として、「費用がかかる」が43.4%で最も多く、「定期的に見直すのを忘れてしまう」が32.7%、「保管する場所がない」「食品や電池などの使用期限の管理が難しい」がそれぞれ31.1%となりました。

こうしたなか、「普段使っているものに防災機能を持たせ、日常的に使いながら災害にも備える」方法を無理なく続けやすいと答えた人は54.8%と半数を超えています。防災のためだけに特別なものを用意するのではなく、普段の暮らしのなかに備えを取り入れることも、無理なく防災を続けていく方法のひとつといえそうです。

普段の暮らしをそのまま防災に 「フェーズフリー」という考え方

あなたは「フェーズフリー」という言葉を知っていましたか

防災用品を用意していても、定期的な見直しや管理を続けていくことには負担が伴います。そこで広がりつつあるのが、日常と非常時を明確に分けず、普段使っている商品やサービスを災害時にも役立てる「フェーズフリー」という考え方です。

たとえば、普段は玄関で靴を履くための椅子として使いながら、中には防災用品を収納し、災害時にはそのまま持ち出せるスツールもそのひとつ。非常時のためだけに特別なものを備えるのではなく、日常生活で使いながら、もしものときには命や暮らしを守るために活用できるのが特徴です。

今回の調査では、「フェーズフリー」という言葉を「知っていた」「ある程度内容を知っていた」と回答した人は合わせて36.9%でした。一方、その考え方について「非常に共感する」「ある程度共感する」と答えた人は79.3%にのぼります。まだ広く知られているとはいえないものの、考え方そのものには多くの人が共感していることがうかがえます。

特別な防災用品だけに頼らず、普段の暮らしの延長線上で災害に備える。そんなフェーズフリーの視点は、防災を無理なく続けるための選択肢のひとつになりそうです。

避難した後に自宅へ戻った人も 「置いてく防災」で迷わず逃げる備えを

地震が発生した際、身の安全を確保した後、すぐに避難することができましたか

災害が起きたとき、まず優先したいのは自分や家族の安全です。しかし、いざ避難するとなると、自宅に残した大切なものが気になってしまうこともあります。調査では、被災経験者の16.7%が「迷いや準備に時間がかかり、避難が遅れた」、12.0%が「一度避難した後、自宅や建物に戻った」と回答しています。

避難時または避難後に、「自宅にある大切なものを取りに戻りたい」と思ったことはありますか

さらに、避難時や避難後に「自宅にある大切なものを取りに戻りたい」と思った経験について尋ねたところ、34.7%が「取りに戻ろうとしたが、やめた」、33.1%が「実際に取りに戻った」と回答。合わせて67.8%が、自宅に置いてきたものを気にした経験があることが分かりました。すぐに避難できなかった、または避難をためらった理由では、「通帳や印鑑、重要書類を持ち出そうとした」が34.2%で最も多くなっています。

こうした避難時の迷いを減らすため、マスターロック・セントリー日本が提案しているのが「置いてく防災」です。防災袋やリュックなど必要なものを「持っていく」備えに加え、普段から大切なものを耐火・耐水金庫などに保管しておくことで、災害時にはそれらを置いたまま避難するという考え方です。

災害発生時に、大切なものが守られているという安心感があれば、「取りに戻る」という行動を防げると思いますか

調査では、「大切なものが守られている」という安心感があれば、取りに戻る行動を防げると思う人が81.8%にのぼりました。「何を持って逃げるか」だけでなく、「何を安心して置いていけるようにするか」まであらかじめ考えておくことが、いざというときに迷わず避難するための大切な備えといえるでしょう。

現金や重要書類、思い出の品も 日常から始める「フェーズフリー保管」

「置いてく防災」を実践するうえでは、災害時に持ち出さなくてもよいものを、普段から安全な場所にまとめておくことがポイントです。マスターロック・セントリー日本では、金庫を単なる盗難対策としてではなく、日常と非常時の両方で大切なものを守る保管場所として活用する「フェーズフリー保管」を提案しています。

金庫に備えておきたいものとして挙げられているのは、少額の現金や重要書類、印鑑・通帳、予備の鍵など。さらに、家族写真や手紙、記念品といった思い出の品、家族の連絡先などをまとめた情報カード、デジタルデータのバックアップなども含まれています。しまったままにするのではなく、普段の暮らしのなかで定期的に中身を確認し、必要に応じて更新していくことも大切です。

同社では、こうした保管に活用できる耐火・耐水金庫を展開しています。火災時の高温や消火活動による放水、浸水などから内容物を守る性能に加え、落下や衝撃などによる損傷リスクを軽減する堅牢性や施錠機能を備えた製品もラインアップされています。また、持ち運びが可能なコンパクトタイプの保管庫も用意されています。

非常食や防災バッグを用意する「持っていく備え」と、大切なものを安全な場所に保管しておく「置いていく備え」。それぞれの役割を考えながら、日頃から必要なものを整理しておくことも、家庭でできる防災のひとつです。

「持って逃げる」だけではない 防災の日に見直したい家庭の備え

非常食や飲料水を備蓄したり、防災バッグを準備したりと、家庭でできる災害への備えにはさまざまな方法があります。今回の調査からは、多くの人が防災の必要性を感じている一方、費用や保管場所、定期的な見直しなどに負担を感じている実態も見えてきました。

また、被災経験者のなかには、自宅に残した大切なものが気になり、避難をためらったり、一度避難した後に戻ったりした人もいます。普段使っているものを災害時にも役立てる「フェーズフリー」や、大切なものを安全な場所に保管して「置いて逃げる」という考え方は、こうした避難時の迷いを減らすための新たな備えのひとつといえるでしょう。

「何を持って逃げるか」と同時に、「何を安心して置いていける状態にしておくか」も考えておく。9月1日の「防災の日」をきっかけに、非常時だけを想定するのではなく、普段の暮らしから無理なく続けられる防災について、家族で見直してみてはいかがでしょうか。

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