DX化したのに、なぜか仕事は減らない…8割の企業が抱える“あるある”の正体とは

2026-09-01 15:30
DX化したのに、なぜか仕事は減らない…8割の企業が抱える“あるある”の正体とは

「システムを入れたのに、結局業務が楽になった気がしない」——そんな心当たりがある人は、決して少なくないはずだ。DX(デジタルトランスフォーメーション=デジタルを活用した業務・企業変革)という言葉が当たり前になり、多くの企業が業務システムを導入してきた。それなのに、なぜか毎日の仕事量は変わらない。むしろ、新しいシステムの操作を覚える手間が増えただけ、と感じている人もいるかもしれない。

株式会社アイルが、販売・在庫管理などバックオフィス業務に携わる就業者587名を対象に実施した「バックオフィス業務実態調査」で、そんな多くの企業が抱える“DX化のあるある”が数字として浮き彫りになった。

DX導入企業の約8割が「業務量は変わらない」と回答

調査によると、バックオフィス業務のDX化を「実施・推進している」と答えた企業は64.6%にのぼった。人手不足や生産性向上への対応を迫られる中、多くの企業がすでに何らかの形でDXに着手していることがわかる。

ところが、そのDX推進企業に「DX化後の業務量」を尋ねたところ、78.6%が「DX化しているのに業務は減っていない」と回答した。約8割という、かなりの割合だ。システムを導入すること自体は進んでいても、現場の負担軽減にはつながっていないという実態が浮かび上がる。

電話、Excel、手入力…残り続けるアナログ業務

なぜ業務が減らないのか。その理由は、DX推進後も残り続けている業務の中身にある。

DXを進めた後も行っている業務を聞いたところ、「電話対応」が55.1%で最多。次いで「表計算ソフトによる作業」52.5%、「手入力」49.9%、「紙管理」48.5%と続いた。「手作業チェック」31.4%、「FAX対応」30.6%、「在庫照合」29.6%も約3割にのぼり、DX化が進んだはずの現場に、人の手による作業が色濃く残っていることがわかる。

DXが進まない理由としては、「Office・Googleソフトでの管理」27.7%と「現場運用が変わらない」27.7%が同率トップ。「システム連携不足」26.1%、「コスト問題」24.7%も上位に入った。システムを新しく入れても、現場のやり方自体が変わらなければ、業務量は減らないということのようだ。

半数以上が「入力ミス」を経験

アナログ作業が残ることの弊害は、単なる非効率にとどまらない。

過去に経験したミスを聞いたところ、「入力ミス」が54.2%で最多となった。「在庫ズレ」33.9%、「発注ミス」30.3%、「請求ミス」25.6%、「納期遅延」25.4%も一定数存在する。ミスの原因としては、「確認不足」61.4%、「手入力」48.8%が上位に挙がった。

こうしたミスが与える影響も見過ごせない。「再作業」が43.7%で最多となったほか、「残業・時間外対応の増加」33.1%、「売上損失」30.1%、「取引先からの信頼低下」28.5%、「顧客満足度の低下」25.2%と、業務負荷だけでなく、企業の売上や信頼にまで影響が及んでいることがうかがえる。

現場が求めているのは「システム連携」と「AI活用」

では、現場は次に何を求めているのか。今後強化したいこととして最も多かったのは「ミス削減」32.7%。「システム連携」30.3%、「業務自動化」27.9%、「DX推進」26.7%、「ペーパーレス化」26.1%も上位に並んだ。

AIに任せたい業務としては、「データ入力」が42.2%で最多。「照合作業」38.2%、「集計」33.7%、「レポート作成」32.2%も上位に挙がっている。単に新しいシステムを入れることよりも、ミスが起きやすい定型業務や繰り返し作業そのものを自動化してほしい、という現場の本音が見える結果だ。

【調査概要】
調査名:バックオフィス業務実態調査
調査対象:売上管理・在庫管理・受発注管理・出荷管理・納期管理・請求管理・仕入管理・営業事務・商品管理・店舗運営管理・EC運営・マスタ管理・データ入力・伝票処理のいずれかを担当する587名
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年6月
実施:株式会社アイル(https://www.ill.co.jp/)

単なるシステム化を超えて 「現場の表情を明るくする」DXへ

調査を実施したアイルのシステムソリューション事業部・青木健太郎部長は、一部をシステム化するだけでは本来のDXに至らないと指摘する。システム化はあくまで手段であり、業務プロセス全体の長期的な見直しやシステム同士の連携が重要だと語る。

「『業務をデジタル化する』のではなく、『現場の表情を明るくする』という視点で取り組むと、進むべき道が見えやすくなるのかもしれません」

現場が「業務が変わった」と実感し、前向きに働けるようになってこそ、本当のDXと言える。DXという言葉が独り歩きしがちな今、あらためて意識したい視点である。

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