
物流現場の安全対策は、これまで現場スタッフによる巡回や安全教育、監視カメラの映像確認など、人の経験や目視に頼る部分も少なくなかった。
そんな物流現場の安全管理を、IoTやAIによって「事後対応」から「事前防止」へと進化させようとしているのが、三井情報(MKI)だ。
東京ビッグサイトで9月8日から11日まで開催されている「国際物流総合展2026」に出展する三井情報のブースでは、フォークリフトの安全運用を支援する「FORKERS(フォーカーズ)」と、物流倉庫や工場などの映像をAIで解析する「画像AI現場支援システム」を紹介。
実際にブースを訪れると、フォークリフトの安全管理だけではなく、作業員の行動や施設への侵入まで、AI・IoTを活用して幅広く安全を支援する仕組みが見えてきた。
フォークリフトの危険運転を「記録する」だけでない「FORKERS」

まず注目したいのが、フォークリフトの安全運用を支援する「FORKERS」↓↓↓
https://www.mki.co.jp/lp/forkers/
FORKERSは、フォークリフトの作業状況を常時録画しながら、センサーによって危険な運転を検知。
危険を検知すると、オペレーターや周囲に警告音で注意喚起するとともに、その際の動画をクラウドへ自動アップロードする。
ここで大きなポイントになるのが、従来型のドライブレコーダーとは異なる「データの扱いやすさ」だ。
フォークリフトに搭載したカメラの映像をSDカードに保存するタイプでは、映像を確認するためにカードを取り出したり、大量の映像の中から必要な場面を探したりする作業が発生する。
FORKERSでは通信機能によって、必要な映像をWeb上から確認できる。
さらに、稼働時間や危険運転の頻度などをオペレーター別に集計できるため、「事故が起きた後に映像を確認する」だけではなく、日常の安全教育や指導にもデータを活用できる。
つまりFORKERSのメリットは、フォークリフトに“カメラを付ける”ことだけではない。
「危険な運転を検知する→記録する→データとして確認する→安全指導につなげる」という一連の流れをつくれることにある。
実際、三井情報の導入事例でも、フォークリフトの稼働状況やオペレーターごとの危険運転状況を可視化し、安全性の向上や資産の有効活用につなげた事例が紹介されている。
人による「注意してください」だけではなく、実際の運転データをもとにした安全指導が可能になることで、現場の安全意識を継続的に高めていくことが期待できる。
監視カメラはある でもずっと人が見続けるのは難しい…そこで画像AI


そして今回、より興味深かったのが「画像AI現場支援システム」だ。
物流倉庫や工場などでは、すでに監視カメラを設置しているケースも多い。
しかし、カメラが映像を撮影していても、それを24時間365日、人が確認し続けるのは現実的ではない。
そこで三井情報が提案するのが、既存の監視カメラ映像にAIを組み合わせるという発想だ。
画像AI現場支援システムは、既設カメラにAIサーバーを追加することで、倉庫や工場内の不安全行動や不正侵入などを検知し、アラームなどで即時通知できる。
例えば、作業員の「歩行帯以外の移動」「ながら歩行」「装備品未着用」といった行動や、フォークリフトなど車両の危険運転・一時不停止、さらに禁止エリアへの侵入や不審者の侵入なども検知対象になる。
「事故が起きてから映像を見る」から
「危険な行動をその場で知らせる」へ

ここが、画像AI現場支援システムの大きな導入メリットだ。
事故が発生した後、監視カメラの膨大な映像を人が確認して原因を探す――。
これはもちろん重要だが、できればその事故そのものを未然に防ぎたい。
画像AI現場支援システムでは、不安全行動をAIがリアルタイムに検知し、アラートで知らせることができる。
例えば、車両が一時停止すべき場所で停止しなかった場合など、ルール違反を検知して知らせることで、その場での注意喚起につなげられる。
さらに、転倒・倒れ込みなどの身体的な異常動作を検知することも可能。異常が起きた際の早期発見につなげることも期待できる。
「監視カメラを置いている」だけだった現場が、「AIがカメラ映像を見て、必要な情報だけを知らせてくれる現場」へ変わるわけだ。
これは管理者側の負担軽減という点でも大きい。
夜間や長時間の監視を人の目だけで行う必要がなくなり、映像監視にかかる工数の削減にもつながる。
しかも既設カメラを使用
新規導入ではなく既存ストックを活用しながらアップデート

画像AI現場支援システムのもう一つのポイントは、既存設備を活用できること。
新たにすべての監視設備を入れ替えるのではなく、既設カメラにAIサーバーを追加することで、安全監視の強化を図ることができる。
物流施設ではすでに多くのカメラが設置されているケースもあるだけに、これは導入を検討する企業にとって重要なポイントになりそうだ。
カメラはある しかし十分に活用できていない

そんな現場に対して、AIを組み合わせることで、これまで蓄積してきた映像設備を新たな安全管理の仕組みへと発展させられる。
さらに、検知した不安全行動や侵入について、検知日時とともに静止画を保存することも可能。
「いつ」「どこで」「どんなことが起きたのか」という情報を、PC画面から確認できるため、安全指導や構内ルールの順守にも活用できる。
これは単純な「監視」から一歩進んだ、安全管理のためのデータ活用ともいえる。
AIだからこそできる現場ごとの安全対策

そして、三井情報の画像AI現場支援システムで特に注目したいのが、現場に合わせた柔軟性だ。
AIというと、「決められたことしか検知できないのでは?」というイメージもある。
しかし同システムでは、汎用的な不安全行動を検知する学習済みモデルを標準搭載しているほか、現場環境や業務課題に応じて、検知対象や通知方法などを柔軟に設計できる。
つまり、「この倉庫では、ここが危険」「この工場では、このルールを特に重視したい」といった、現場ごとの事情にも対応しやすい。
また、AIシステムをクラウドだけでなく、社内インフラ上に構築することも可能。
通信環境やセキュリティポリシーに応じて、クラウド/オンプレミスを柔軟に選択できる点も、企業の現場導入を考えるうえで大きなメリットとなる。
三井情報では、導入前にPoC(トライアル)を実施し、事前に効果を確認することも可能としている。
「AIを導入したけれど、実際の現場では使えなかった」というリスクを抑えながら、実際の環境でどのような検知ができるのかを確認したうえで導入を検討できるわけだ。
移動カメラか固定カメラか クラウドかエッジか
その現場に合わせた最適構築が可能に


今回の国際物流総合展2026で三井情報が紹介しているのは、単一のAI製品だけではない。
同社は、「移動カメラ or 固定カメラ」「サーバ処理 or エッジ処理」を組み合わせた物流安全対策を提案している。
物流現場と一言でいっても、広大な倉庫なのか、限られた作業エリアなのか、屋内なのか屋外なのかなど、環境はさまざま。
だからこそ「どのカメラを置くか」「どこでAI処理をするか」まで含めて考える必要がある。
三井情報の強みは、こうした現場の条件に応じて、AI・IoT・ネットワークなどを組み合わせながら、実際の運用まで見据えた仕組みを考えられるところにある。
三井情報だからできる 安全対策のその先まで伴走


今回のブースを取材して感じるのは、FORKERSや画像AI現場支援システムそのものだけが三井情報の強みではない、ということだ。
例えばAIを導入するといっても、実際にはカメラやAIだけで完結するわけではない。
映像を安定して送るためのネットワーク環境、AIを処理するサーバー、クラウドや社内システムとの連携、さらに企業としてのセキュリティ対策やガバナンスなど、さまざまなIT基盤が必要になる。
三井情報では、ネットワーク強化、DX推進・IT戦略策定、セキュリティ対策・ガバナンス強化といった幅広い領域のソリューションを展開している。
そのため、「AIを入れたい」という相談だけで終わらず、「そもそも現在のネットワーク環境で大丈夫なのか」「既存設備をどう活用するのか」「DX全体をどう進めるのか」「導入後のセキュリティをどう守るのか」といったところまで含めて、総合的に相談できる。
国際物流総合展2026で紹介されているFORKERSと画像AI現場支援システムは、物流現場の「安全」をデジタル技術によってアップデートするソリューション。
そして、その背景にあるのが、ネットワークなどのインフラ整備からDX戦略、セキュリティ対策までを一気通貫で支援できる三井情報の総合力だ。
現場の課題を一つの製品だけで解決するのではなく、企業ごとの環境や課題を見ながら、必要なテクノロジーを組み合わせ、導入後まで伴走する。
物流現場の安全対策が「人が気をつける」だけのものから、「AIとデータで危険を見つけ、未然に防ぐ」ものへ変わっていくなか、三井情報の提案は、その変化を現場から支えるものになりそうだ。
