【獣医師執筆】犬の胃腸炎|原因や症状から治療法まで解説
胃腸炎とは、胃腸の粘膜が何らかの原因によって炎症を起こしている状態のことを言います。胃炎と腸炎に大別することができますが、同時に症状がみられる場合も多々あります。ここでは、胃腸炎の原因、症状、治療法を解説していきます。
犬の胃腸炎の原因

胃炎
胃炎の原因は、腐敗物や中毒性物質の摂食、化学的刺激物、グルココルチコイドやNSAIDsといった薬剤、食物に対するアレルギーや不耐性、犬パルボウイルスや犬ジステンパーウイルスによるウイルス感染症など、異物や抗原に対する過剰な応答である原発性のものが挙げられます。さらに、腎不全、肝不全、副腎皮質機能低下症ストレスなどによる栄養障害、代謝障害、血液循環障害といった続発性のもの挙げられます。
腸炎
腸炎の一般的な要因は、解剖学的な要因(異物、腸重積など)、食事性(アレルギー、不耐性、急な食事の変更、食中毒)、細菌性(カンピロバクター、ウェルシュ菌、大腸菌など)、寄生虫性(鉤虫、回虫、ジアルジア、クリプトスポリジウムなど)、ウイルス性(パルボウイルス、ジステンパーウイルス、コロナウイルス、ロタウイルスなど)、代謝性(副腎皮質機能低下症)、急性膵炎など多岐にわたります。
犬の胃腸炎の症状

胃炎
胃炎とは、胃粘膜の炎症に続発する嘔吐症候群を表す一般的な症候名です。獣医療では原因不明の急性嘔吐が48時間以内に治るものに対して急性胃炎と診断することがあります。また、治療に反応せず嘔吐が数週間持続している状態を慢性胃炎と診断することがあります。
胃炎の一般的な臨床症状としましては、摂食物あるいは胆汁の断続的な嘔吐です。急性胃炎では体重減少はまれです。
腸炎
腸炎の一般的な臨床症状としましては、食欲不振、活動性の低下、腹痛、血便、粘液便や粘血便などが挙げられます。便の量、粘液の有無、排便の頻度、しぶり、排便障害の有無、嘔吐の有無や全身状態などから、大きく小腸性の下痢と大腸性の下痢に分けられます。急性腸炎では、急性的な下痢が特徴ですが、時として嘔吐を伴います。3週間以上の消化器症状が続く場合は、慢性腸炎と診断します。
犬の胃腸炎の治療

胃炎
多くの急性胃炎では、治療を必要とせずに自然治癒しますが、基礎疾患があればその治療をおこないます。嘔吐の頻度が高ければ24時間以内の絶食をおこないます。低脂肪、低刺激性の高消化性フードや、新奇蛋白を蛋白源とした高消化性のフードを与えます。嘔吐が続くようであれば、対症療法や支持療法を行います。軽度な脱水であれば、経口的にブドウ糖加電解質を少量ずつ頻回に与えますが、中等度以上の脱水であれば、輸液によって水和保持します。嘔吐が消失しなければ、制吐薬、胃酸分泌抑制薬などを用いて治療します。
腸炎
急性腸炎の初期治療は、止瀉薬、制吐薬、輸液などの対症療法や支持療法を中心におこないます。臨床症状や脱水の有無に基づいて治療法が選択されます。
止瀉薬は、細菌やそれらによる毒素の結合や腸粘膜保護の目的で用いられます。重度な下痢や嘔吐を伴う場合には、脱水の改善、電解質異常に対する支持療法をおこないます。
食事を与えることによって嘔吐や下痢が悪化しないようであれば、少量の食事から開始します。低脂肪や高繊維の療法食または家庭で調理した低刺激性の食事を少量、頻回から開始します。
まとめ

胃腸炎は、自然治癒する場合もありますが、症状が長く続いてしまう場合もあります。愛犬が、嘔吐・下痢が続いてる、元気・食欲が低下している、などのような場合は、様子を見ず動物病院で診察を受けるようにしましょう。
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