フリーランスの実力はどう測る? 1,030人調査で見えた「アピール力」に偏る評価の壁

2026-10-20 08:00
フリーランスの実力はどう測る? 1,030人調査で見えた「アピール力」に偏る評価の壁

働き方の選択肢が広がり、専門的な知識や経験を持つフリーランスに仕事を依頼する企業も増えている。必要なスキルを持つ人材と柔軟につながれる一方、採用する側にとっては、限られた選考時間の中で相手の実力をどう見極めるかが課題である。フリーランス側にも、これまでの成果や得意分野を短い経歴書や面談だけで十分に伝えられない難しさがある。

では、企業とフリーランスは評価において何を重視し、どの部分に壁を感じているのだろうか。フリーランスや副業人材等のキャリア形成を支援するキャリアプラットフォーム「CareerChain」を展開する株式会社CareerChainは、フリーランス522人と、フリーランスの活用経験または活用予定がある企業の人事・採用担当者508人の計1,030人を対象に、「フリーランスの『実力評価』の実態と課題」に関する調査を実施した。調査からは、双方が見たい情報は似ているにもかかわらず、その情報を伝え、確かめる方法が追いついていない現状が見えてきた。

紹介が最多でも広がる案件探しの選択肢

フリーランスに現在の案件探しの方法を尋ねたところ、最も多かったのは「知人・友人・元同僚からの紹介」で44.4%だった。次いで「フリーランス向けマッチングサービス・求人媒体」が33.7%、「過去の取引先・クライアントからのリピート」が29.3%となっている。

人とのつながりが案件獲得の大きな入口である一方、外部サービスや過去の取引先も活用されており、複数の経路を組み合わせる働き方がうかがえる。紹介では過去の関係性が信頼の手がかりになるが、初めて接点を持つ企業との間では、実力を示す情報の分かりやすさがより重要になりそうだ。

案件を受ける際、フリーランスは「案件の内容・業務内容」や「自分のスキルや経験を活かせるか」を重視する傾向があった。企業側では「技術力・専門性の質」に加え、「現場での立ち回り・対応力」が重視されている。報酬だけでなく、フリーランスは能力を発揮できる環境を、企業は成果と現場への適応を求めていることが分かる。

面談での受け答えが評価材料のトップに

企業の人事・採用担当者がフリーランスの実力を評価する際、最も参考にしていたのは「面談での受け答え」で60.8%だった。「スキルテスト・実技課題」が46.5%、「経歴書・プロフィール」が44.5%と続いている。

経歴書に記載された経験だけでなく、対話や実技を通じて、実際の業務に対応できるかを確認しようとする企業の姿勢が表れている。ただし、面談での受け答えを重視するほど、限られた時間で自分を分かりやすく表現できる人が評価されやすくなる可能性もある。

一方、「経歴書や面談を通じて実力が伝わっている、または見極められていると思うか」という質問には、フリーランスの73.1%、企業の70.8%が肯定的に回答した。一見すると、現在の選考方法でも双方が一定の手応えを得ているように見える。

しかし、同社が過去に実施した別の調査では、プロジェクトの開始後に、コミュニケーション力や責任感といった「ソフトスキル」が原因となるミスマッチやトラブルを経験したとの回答が92.5%に上った。経歴書や短時間の面談で実力を確認できたと感じていても、実際の仕事の進め方や周囲との関わり方までは把握しきれない場合がある。選考時の評価と稼働後の実態には、なお隔たりが生じる可能性があることを示している。

双方が見えにくい「専門性」と「再現性」

実力を十分に伝えられていないと感じるフリーランスに、経歴書や面談だけでは伝えにくい情報を尋ねたところ、「技術力・専門性のレベル」が53.8%で最多となった。続いて「実務におけるスキルの再現性・応用力」が31.6%、「クライアント・関係者とのコミュニケーション力」が25.3%だった。

企業側でも、見極めることが難しい項目のトップは「技術力・専門性のレベル」で54.3%である。「実務におけるスキルの再現性・応用力」が43.1%、「プロジェクトで担った役割・業務内容」が36.5%と続いた。

伝える側と評価する側が、ほぼ同じ項目に難しさを感じている点が特徴的である。単に何ができるかを列挙するだけでなく、異なる環境でも能力を発揮できるのか、過去のプロジェクトでどの部分を担当し、成果にどう関わったのかまで示す必要がある。しかし、こうした情報は職種や案件によって表れ方が異なり、簡潔な書類へ落とし込むのが難しい部分でもある。

短い接点と自己申告に残る評価の限界

実力を伝えたり見極めたりすることが難しい理由では、「面談という短時間・限られた接点だけでは測ることができないから」が55.8%で最多だった。「実際に一緒に働いた人でないと分からない部分があり、その評価・裏付けがないから」も44.6%に上っている。

面談で話せる内容や経歴書へ記載できる実績には限りがある。チーム内での振る舞い、状況に応じた判断、仕事の進め方などは、一定期間一緒に働いて初めて見えてくる場合もあるだろう。

また、経歴書や面談は本人による自己申告が中心である。企業は書かれた内容をどこまで評価へ反映するか判断しなければならず、フリーランスも短い時間で選ばれるために、自身の強みを印象的に伝える必要がある。双方に悪意がなくても、「伝え方のうまさ」が結果に影響しやすい構造だといえる。

約8割が感じる「アピール力」の影響

企業が本来ほしい情報として挙げたのは、「技術力・専門性のレベル」が48.6%、「実務におけるスキルの再現性・応用力」が47.0%、「プロジェクトで担った役割・業務内容」が41.1%だった。

フリーランスが企業に見てほしい情報でも、同じ3項目が上位となっている。つまり、企業が知りたいことと、フリーランスが評価してほしいことは大きく食い違っていない。課題は、必要な情報を客観的かつ分かりやすい形で共有する方法にあると考えられる。

一方、「実際の実力よりも、経歴書や面談で自分をアピールする力が案件獲得や単価に影響していると思うか」という質問には、「とてもそう思う」が19.2%、「ややそう思う」が58.3%だった。合計77.5%がアピール力の影響を感じている。技術や経験があっても表現が得意でない人が、適切な評価へたどり着けない可能性を示す結果である。

<調査概要>
「フリーランスの『実力評価』の実態と課題」に関する調査
調査期間:2026年9月1日(火)~2026年9月4日(金)
調査方法:PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
調査人数:1,030人(①522人/②508人)
調査対象:調査回答時に①フリーランス/②フリーランスの活用経験・予定のある企業の人事・採用担当者と回答したモニター
調査元:株式会社CareerChain(https://www.career-chain.com/)
モニター提供元:サクリサ

「話すうまさ」を補う評価材料づくりへ

今回の調査で印象的なのは、企業とフリーランスが重視する情報そのものには、多くの共通点があることだ。双方が技術力や専門性、別の現場でも能力を発揮できる再現性、プロジェクトでの役割を知りたいと考えている。それでも評価が難しい背景には、短時間の面談と自己申告を中心とする現在の方法では、実務で発揮される力を十分に捉えにくい事情がある。

だからこそ、経歴書や面談をなくすのではなく、案件ごとの担当範囲や成果、仕事を共にした人からの評価などを補助的に積み重ねる視点が大切になりそうだ。株式会社CareerChainが展開するキャリアプラットフォーム「CareerChain」も、案件単位の実績や第三者評価を蓄積し、人材と企業の判断材料にする仕組みを掲げている。話すうまさだけに左右されず、経験の中身を確かめられる環境は、双方が納得できる出会いを増やす一歩になるのではないだろうか。

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