犬の「ガーガーする呼吸」…それ”逆くしゃみ”かもしれません!原因・症状や判断方法を獣医が解説
愛犬が突然、首を伸ばして「ガーガー」「ズーズー」と激しく息を吸い込む発作を起こしたら、多くの飼い主さんはパニックになるはずです。実はこれ、「逆くしゃみ」と呼ばれる症状かもしれません。この記事では逆くしゃみの基礎知識から原因、受診の目安まで解説します。
逆くしゃみってどんな症状?まずは正体を知ろう

逆くしゃみとは、鼻の奥が何らかの刺激を受けたときに起こる反射的な発作です。通常のくしゃみが「息を勢いよく吐き出す」動作であるのに対し、逆くしゃみは「息を激しく吸い込む」動作が繰り返されるのが特徴です。発作中は首を前に伸ばし、前足を踏ん張るような独特の姿勢をとることが多く、大きな吸気音や喘ぐような呼吸音が出ます。
発作は通常、数秒から数十秒で自然に治まります。基本的に命に直接危険が及ぶものではありません。ただし、見た目のインパクトが強いため、「窒息しそう」「心臓発作では?」と思って動物病院に駆け込む飼い主さんが後も多いです。
スペインの大学動物病院が行った30頭を対象とした調査では、小型犬やトイ種(体重5kg未満)での発症が全体の50%と特に多く、小型・超小型犬は鼻の奥の空間が小さいため、刺激を受けやすいと考えられています。性別や去勢・避妊の有無、年齢による偏りはとくにみられませんでした。
「ただのクセ」で済まないことも 逆くしゃみの原因と背景

逆くしゃみは、健康な犬でもたまに起こる生理的な反射として現れることがあります。興奮したとき、においを嗅いだとき、食後に起こることもあり、頻度が低く他に症状がない場合は経過観察で問題ないことが多いです。しかし前述の調査では、逆くしゃみが3か月以上続いた場合は、多くの犬で何らかの鼻の奥の病気が背景にあることが明らかになっています。
最も多かった原因は鼻炎や咽頭炎、鼻咽頭の炎症などで、全体の約57%を占めました。次いで軟口蓋の過長や気管虚脱といった異常が約27%を占め、鼻の奥への異物混入が約10%でした。異物の例としては、乾燥したひよこ豆が鼻の奥に詰まっていたケースも報告されており、異物が取り除かれると逆くしゃみがすっかりなくなったという報告もあります。
また、もともと嘔吐があった犬では、胃食道逆流が咽頭炎を引き起こして逆くしゃみにつながっていた例もありました。嘔吐や飲み込みにくそうな様子、過剰なよだれといったサインが同時にある場合は、胃腸の状態も調べる必要があります。
様子見でいい?受診が必要なサインと動物病院での検査

逆くしゃみが起きたとき、飼い主はどう判断すればよいのでしょうか。発作の頻度が非常に低く、他に体調の変化がなく、発作後すぐに普通の状態に戻るなら、しばらく経過を見るという選択肢もあります。ただし、咳、運動後の息切れ、鼻水、鼻詰まりといった症状が一つでも見られる場合は、早めに獣医師に相談することをお勧めします。
動物病院では、首や胸のレントゲン検査に加えて、内視鏡による気道の観察が診断などが実施されます。内視鏡検査は目視では気づけない粘膜の異常を発見するうえで非常に重要な検査です。治療としては、炎症に対してはステロイドや抗生物質が使用されることが多いですが、治療後も逆くしゃみが続いた犬が約61%いたという報告もあります。異物が原因の場合は除去によって症状が完全に解消しており、原因によって予後が大きく異なります。
逆くしゃみはよくあることとして見過ごされがちですが、繰り返す発作は鼻の奥の粘膜になんらかの問題が起きているシグナルです。まずは動画に撮って獣医師に見せることから始めてみてください。原因を特定することが、愛犬の快適な生活への第一歩になります。
まとめ

逆くしゃみは小型犬に多く、慢性化すると鼻咽頭の炎症や体の構造異常が背景にあるケースが多いです。頻度が高い・他の症状も出ている場合は、動画を撮って早めに獣医師へ相談しましょう。
(参考文献:Vet Sci. 2022 Nov 29;9(12):665.)
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