【獣医師執筆】犬の鼠経ヘルニア|原因や症状から治療法まで解説

2026-10-31 01:30

鼠経ヘルニアとは、お腹と後ろ足の付け根が交わる、人間で言う足の付け根にあたる場所である鼠径部に、ヘルニアができている状態を言います。ヘルニアとは、組織や臓器が本来ある場所から脱出してしまっている状態のことです。鼠経ヘルニアは、子犬の発育段階で見つかることもあれば、成犬になってから気づかれることもある身近な病気の一つです。ここでは、犬の鼠経ヘルニアの原因、症状、治療法を解説していきます。

犬の鼠経ヘルニアの原因

くっつき合って眠る生まれて間もない子犬たち

鼠径部には、お腹の中と外をつなぐ鼠経輪というトンネル状の生理的な隙間が存在しています。この鼠経輪から脂肪組織や腹腔内臓器が脱出してしまいます。鼠経ヘルニアの原因は、大きく分けて先天性と後天性に分類されます。

先天性

先天性の場合、多くは子犬の時期に発見されます。母犬のお腹の中にいる胎仔期あるいは発育の過程で、本来なら自然に閉じるはずの鼠経部の筋肉の隙間が閉じきらずに残ってしまうことが主な原因となります。生まれつきの体質や構造的な発育不全などが関係しているため、チワワ、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンド、ポメラニアンなどの特定の犬種で多く見られます。

後天性

後天性の鼠経ヘルニアでは、若い頃には問題が無かった場合でも、加齢に伴う筋肉の衰え、慢性的な肥満、お腹に強い圧力がかかる状態(激しい運動、強い力む動作、妊娠・出産など)などが原因となります。

犬の鼠経ヘルニアの症状

仰向けで寝転んでいる犬

初期症状

鼠経ヘルニアで最もよく見られる初期症状は、足の付け根や下腹部のあたりに見られる柔らかい膨らみができることです。初期の段階では鼠経輪が比較的ゆったりしているため、犬自身も特に痛がる様子はなく、元気や食欲に問題は無く日常生活を送れていることがほとんどです。飼い主さんが鼠経ヘルニアを優しく触ったときに、その膨らみがお腹の中に戻すことができるような状態であれば、強い痛みが見られたり命に関わるような状態にはならないと言って良いでしょう。

重症化する場合

軽度な鼠経ヘルニアの場合は生活に支障が出ることはありませんが、嵌頓と呼ばれる状態になると注意が必要です。嵌頓とは、飛び出してしまった脂肪組織や腹腔内臓器が鼠経輪に挟まってしまい、お腹の中に戻らなくなってしまう状態を指します。この嵌頓が起こると、挟まってしまった臓器の血流が悪くなり、激しい痛み、嘔吐、食欲不振、元気消失などの状態を引き起こすことがあります。場合によっては臓器が壊死してしまう可能性もあるため、鼠経ヘルニアが戻らない、大きくなった、固くなった、などの症状が見られる時は、一刻を争う緊急事態となる可能性があります。

犬の鼠経ヘルニアの治療

獣医師と手をつないでいる犬

経過観察

ヘルニア内容物が脂肪組織のみで非常に小さく、指で簡単に元に戻り、痛みなどの症状もない場合や、麻酔のリスクが高い高齢犬や持病がある犬などの場合では、経過観察が選択されることもあります。ただしこの場合は、過度の運動を控えたり、体重増加に気をつけたりといった日常生活における管理が必要になります。

外科的手術

根本的な治療を望んでいる、将来的な嵌頓のリスクを回避したい、などの場合には、外科手術が第一選択となります。脱出している脂肪組織や腹腔内臓器を正常な位置に戻して、緩んでしまった筋肉の隙間を縫合する手術を行います。

まとめ

動物病院で相談する飼い主に抱きかかえられている犬

鼠経ヘルニアは、経過観察で大きな問題が無い場合から、命に係わる可能性がある場合まで様々な症状が見られます。そのため、鼠経ヘルニアの状態と犬の年齢や健康状態などに合わせた治療が重要です。かかりつけの動物病院とよく相談しましょう。また、鼠経ヘルニアが戻らない、大きくなった、固くなったなどの場合は早急な対応が必要になる可能性があります。かかりつけの動物病院ですくに診察を受けることをお勧め致します。

関連記事

・超大型犬4匹と暮らしたら、諦めなければいけないこと→自分の大きさを理解していない『幸せの大渋滞』が36万再生「甘えん坊」「最高の生活」
・『まだ針刺さってませんけど?』健康診断で病院にきた大型犬→診察台に乗ると…大げさすぎる『子どものような光景』に反響「可愛い」「絶叫w」
・『赤ちゃん』を初めて見た犬→まさかの『母性』が爆発してしまい…とんでもなく尊い光景が191万再生「愛情深くて泣いた」「優しさに溢れてる」
・ダンボールで捨てられた『瀕死の赤ちゃん猫たち』を保護→家にいる大型犬と会わせた結果…母性に溢れた光景が11万再生「たまらなく愛おしい」
・犬が飼い主に体をこすりつけるときの心理とは?状況から考えられる病気も

  1. デジタル庁、国会答弁の作成支援AIアプリを提供開始 政府職員の業務効率化へ
  2. 日中関係悪化の一方で…「先が見えなくても、耳を傾け続ける」22回目の中国人日本語作文コンクール
  3. エヌビディアCEOに中国の女性工作員が接触か「製品情報が中国側に」米報道 会社側「機密情報などは提供していない」
  4. 「教育の中立性に問題」辺野古転覆事故受け『学校法人同志社』理事長が会見に初出席 武石知華さんの家族「“説明責任”を一度真剣に考えていただきたい」
  5. 年収119万円以下は年間5000円給付“所得に応じた支援金”政府が参考値提示
  6. 69人死亡のスペイン列車衝突事故 日本人2人は犠牲者リストに名前なし
  7. トランプ大統領 アイオワとカンザスで選挙演説へ 中止の方針を再転換
  8. 2027年干支記念貨幣「吉祥福未」が登場、純金・純銀製の小判形法定貨幣
  9. 狙われる「スマート家電」サイバー攻撃の約3割…見守りカメラから空き巣・ストーカー被害?加害者になるおそれも 個人でできる対策とは【Nスタ解説】
  10. 公明・岡本代表「必ず参加すると判断を下すのが総理の責任」 高市総理のG7オンライン会議欠席を批判
  11. 1日200個売れる“揚げどら焼き”&歯がいらない“とろける大福”!秋に食べたくなる「進化系あんこ和菓子」驚きの新食感【Nスタ】
  12. 【獣医師執筆】犬の鼠経ヘルニア|原因や症状から治療法まで解説