石破内閣は、きょう本格始動しました。石破総理はアメリカのバイデン大統領と電話で会談し、日米同盟の強化を訴えました。
【写真を見る】石破新総理誕生も 波乱の幕開け、発言に“ブレ”? 総理の本音は…【Nスタ解説】
石破内閣 閣僚が初登庁、日米首脳電話会談も
「総理、おはようございます」
けさ7時半過ぎ、総理官邸に姿を見せた石破総理。このあと、アメリカのバイデン大統領との電話会談に臨みました。
石破茂 総理
「非常に話が弾んだ感じがいたしております。日米間の連携の強化ということについても、私からお話をいたしたところであります」
岸田政権を引き継ぎ、日米同盟をさらに強化していくと強調した石破総理。
石破内閣の閣僚も、きょうから本格始動しています。
村上誠一郎 総務大臣
「どうもみなさん、おはようございます!みんなで力を合わせて頑張りましょう!」
初入閣の大臣も職員の拍手に迎えられました。
石破氏の側近、赤沢経済再生担当大臣は…
赤沢亮正 経済再生担当大臣
「賃金向上と防災庁の設置準備があるので、政権の目玉だと思うのでしっかり取り組みたい」
武藤容治 経産大臣
「重いですか」
齋藤健 前経産大臣
「1トンくらいある」
武藤容治 経産大臣
「いや本当に重責なんで、重いです」
新旧大臣の引き継ぎ式も行われ、新大臣には前任の大臣から激励の言葉がかけられました。
13人が初入閣となった石破内閣。きのうの就任会見で石破総理は…
石破茂 総理
「この内閣は納得と共感内閣というふうに考えております」
国民の「納得と共感」を得ながら政治を進めていくと強調。
政権の経済政策では、▼最低賃金を2020年代に全国平均1500円に引き上げるよう目指す他、▼物価高に苦しむ人のため、早期に経済対策の検討を指示すると強調しました。
さらに、衆議院を今月9日に解散し、27日に総選挙をおこなうと表明。自民党の派閥の裏金事件に関わった議員の公認については、再発防止策などを提出させたうえで判断していくとの考えを示しました。
総裁選の期間中、石破氏は…
石破茂 総理
「重複を認めないというのも一つの考え方だが、本当に公平な取り扱いなのかどうか。今ここで賛成とか反対とか言えるものではありません」
公認問題について、「選挙対策本部で適切に判断する」と話していた石破氏ですが、野党側は厳しく追及しています。
立憲 小川淳也 幹事長
「裏金に関与した議員を公認するのか否かを含め、国民は、私達は、厳しく見つめていることをゆめゆめ忘れることがないよう厳しく指摘しておきます」
総理就任から戦後最短での解散総選挙へと踏み切る石破総理ですが、課題は山積したままです。
「納得と共感内閣」名付けるも発言にブレ?
上村彩子キャスター:
10月1日、石破新内閣が発足し、就任会見で石破茂新総理は「納得と共感内閣」と名付けました。
2日、記者団に対し「国民の共感と納得なくして、何一つ出来ないことはよく承知している。あらゆる案件について、国民と誠実に向き合い、一生懸命、話をするよう努力していきたい」と語りました。
そして、石破内閣の基本方針として、5つのことを守ると話しました。
1つ目は、ルールを守る。第三者機関を早期に立ち上げる。議論を進める。
2つ目は、日本を守る。日米同盟を基軸に平和を安定。岸田政権の成長戦略を引き継ぐ。
3つ目は、国民を守る。2020年代に、最低賃金1500円(全国平均)を目指す。
4つ目は、地方を守る。地方経済生活環境創生本部を創設。
5つ目は、若者・女性の機会を守る。国民的議論を主導し制度改革に取り組む。
ただ、石破新総理の動きにブレともとれるようなものが相次いでいて、本当に守ってくれるのかという不安の声も上がっています。
衆院解散の時期について、就任前は「(総理になったら)解散前に国会で全ての閣僚が出席して質疑を行う」と予算委員会の開催を明言していました。しかし、9月30日に方針を変更し、10月27日の総選挙を表明しました。
そして、女性議員の登用について、就任前は「政策集に『女性活躍の指標(ジェンダー・ギャップ指数)の迅速かつ大幅な改善を図る」としていましたが、新内閣での女性閣僚は2人でした。阿部俊子氏を文部科学大臣に、三原じゅん子氏をこども政策担当大臣に登用しました。
さらに、マイナ保険証について、就任前は、『紙の保険証』の新規発行の廃止時期について見直す可能性に言及。「(マイナンバーカードと紙の保険証の)併用も考えるのが選択肢として当然」としていました。しかし、2日に石破総理と面会した平将明デジタル大臣(初入閣)は、「(現行の保険証廃止)方針は堅持したい」としました。
これまでの政府方針を踏襲する考えを示しました。このような動きが“ブレ”ともみられて、不安の声が上がっています。
「もう1人でやって」と言われたら…党内基盤の弱い石破氏 主張通りに進めるか
井上貴博キャスター:
石破氏が総理になる前は、党内野党という立ち位置で言いたいことを言っていた印象がありますが、やはり総理になると言えなくなるのでしょうか。党内基盤が強い方がトップになると党は変わらなく、党内基盤の弱い石破氏のような方がなると、すぐ手足を縛られてしまうとも思えます。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
まさに党内基盤が弱い中で、総理になったから今まで通り、言ってきたことをそのまま言って実現するかというと、なかなかそういかない現実に直面していると思います。
自民党は自民党でいろんなことを進めてきて、石破氏は少し離れたところにいました。自分が総理になったときに、動いているものを、そう簡単に止められないと思います。無理やり止めようとしたら、そこにいた人たちに「もう1人でやって」と言われたら政権が立ち行かなくなりますよね。
序盤で石破氏が戸惑っているのではと思います。
ホラン千秋キャスター:
石破総理は、総理・総裁としてトップに立つのは初めてだと思うので、経験者からいろいろなことを聞いて、考えが変わるといのはあることだと思います。「ブレているのでは」といわれている政策を見ると、こういうことはあると考えるべきなのか、大きいとみるべきなのか、どちらでしょうか。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
これらもそうですが、外交の話では日米地位協定の見直しを主張していて、本当にやろうとすると、アメリカとの関係もそうですが、かなり大変です。安保・外交の専門家からもかなり懸念の声が出ています。
そういった大きなテーマも、石破氏の主張通りに進めるのか、大きな問題になるとみられます。
「“石破カラー”出すと党内怒る」
上村キャスター:
石破新総理の党内の立ち位置に関して、1日、このようなやりとりがありました。
教育無償化を実現する会 前原誠司 代表
「“石破カラー”をちゃんと出して頑張ってください」
石破総理
「出したら打たれるでしょ」
教育無償化を実現する会 前原誠司 代表
「あんまり本音は言わないように」
石破総理
「出すと国民は喜ぶ。党内は怒る」
これはどのようにとればいいのでしょうか。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
(石破氏は)前原氏とはだいぶ古くからの付き合いで、本音で語り合えるような関係だと思います。カメラはありましたが、この発言は石破氏の今の心情が表れていると思います。
自分のカラーを出したら国民は喜ぶけれども、党内からは怒られてしまう。その中でどうしていったらいいのか、まだ悩んでいるところだと思います。
ホランキャスター:
まさに、こういう発言が石破氏らしいなどと思います。これを失ってしまうと、石破氏が石破氏がなくなってしまうような印象を持たれる方も多いかと思います。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
笑顔でこういう話をしている状況なので、まだ大丈夫なんでしょう。
ただ、またいろいろな自由な発言をして、党内からハレーションが起きたりすると、どうなってくるのか。やはり総理大臣の発言は、非常に重いです。一言一言、これからとても大事になってくると思います。
井上キャスター:
数日前に岩田部長は「石破氏は党内基盤が一番弱いので、選挙で勝って盤石にするしかない。その道を選んだのだろう」と言いました。
いわゆる永田町の論理をとるのか、国民をとるのかでいうと、永田町の論理をとり始めたとも思えます。そうであれば選挙に勝てるんですか。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
国民だけとなって、永田町に見向きされなくなったら、政権は成り立たなくなってしまいますよね。ある程度、協力を求めながら、その中で国民に向いてどれだけのことができるか、だと思います。
井上キャスター:
あとで国民の方を向けるかもしれないから、今はバランスを少しでも永田町の論理でと?
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
現状としては、そこもそことして理解してやっていかないことには、どうにもならない。それを周りから見ると「ブレているな」「大丈夫かな」と思われているのでしょう。
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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当