石破総理が派閥の裏金事件にかかわった議員の一部を公認しないという方針を表明。事件の震源地となった安倍派の議員らを直撃しました。一方、石破総理自身にも政治とカネをめぐる疑惑が浮上しています。
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“裏金議員”10人超が非公認か 石破総理の方針に安倍派議員は…
10月末に予定されている総選挙。
非公認リストに名前が挙がった議員たちは…
非公認の見通し 高木毅 元国対委員長
「公認していただけないならば、違う形で出ることになろうかと。(Q.無所属で?)そういうことでしょうね」
非公認の見通し 西村康稔 元経済産業大臣
「(Q.非公認となる見通しですが)頑張ります。(Q.どう戦っていきますか)初心に戻って一からやるだけです、はい」
非公認の見通し 萩生田光一 元政調会長
「党の方で正式に聞いてないので、決まったらきちんとコメントしますと応対したので。(Q.それ以外のコメントは)ないです」
6日、石破総理が表明した、いわゆる裏金議員の“非公認の方針”。
石破総理
「相当程度の非公認が生ずることとなるが、責任を持って最終的に判断をしていく」
派閥の裏金事件に関わり、党から重い処分を受けた安倍派の西村氏、萩生田氏、高木氏など少なくとも6人が非公認となる方針です。
そのうちの1人、平沢勝栄氏は総裁選で石破総理を支持していました。
非公認の見通し 平沢勝栄 元復興大臣
「石破さんに日本は期待してるんです」
一転、非公認の対象となった平沢氏に7日、話を聞こうとすると…
非公認の見通し 平沢勝栄 元復興大臣
「失言しちゃうと終わりだから」
カメラの前では語りませんでしたが、自身のFacebookでは不快感も…
平沢氏のコメント(自身のSNSにて)
「今回の党の判断を重く受け止めております。なお、この問題に関する決定プロセスには理解に苦しむものが多々あります」
石破総理は、処分を受けた議員のうち、地元から公認申請がない議員などについても非公認とする考えで、非公認となる裏金議員は10人を超える可能性も。
さらに、小選挙区と比例代表の重複立候補を認めないということです。
党の役職停止6か月の処分を受けた杉田水脈議員。7日、比例中国ブロックの単独候補として公認申請されましたが…
安倍派1564万円不記載 杉田水脈 衆院議員
「私自身処分を受けて、数日前に処分(期間)が明けた形になっていて、それは一つ決まった形がまた覆るのはどうかと思う部分もありますけど、今の石破総理のお考えだと思いますし、国民の反応をご覧になってのことだと思います」
「政見放送すでに撮った」…反発も
衆議院解散の直前となった今回の判断。反発の声も…
自民党都連会長 井上信治 衆院議員
「きのうは各候補者、政見放送もすでに撮らせていただきました。なぜ、もう少し早く決断をしていただけなかったのか」
非公認となる6人中2人が所属する自民党都連。7日の衆議院本会議中、井上都連会長が森山幹事長と話し込む場面も。
その森山幹事長。麻生最高顧問に呼ばれ、笑顔も見せながら3分ほど立ち話していました。
本会議場では石破内閣発足後、初めての国会論戦となる代表質問が行われていました。
日本維新の会 馬場伸幸 代表
「国民感情からすれば、裏金・脱税に関与した全員を非公認とするべきではないか」
石破総理
「公認権者は総裁であり、不記載があった議員については、引き続き適切な方法で地元の理解を得られているかなど判断してまいります」
立憲民主党 野田佳彦 代表
「相当程度に非公認が生じるのではなく、大半が公認されるのではないでしょうか。公認が本当に国民の理解を得ることができるかどうかよくお考えをいただきたい」
石破総理
「自民党総裁として公表した方針に基づき、公認に向けた手続きを進めているところ。現時点において公認となる方が誰かは具体的には確定いたしておりません」
非公認となり、無所属で立候補する見通しの高木元国対委員長。隣の席の松野前官房長官は公認される見通しです。
公認の見通し 松野博一 前官房長官
「(Q.公認・非公認について)本会議中だよ。(Q.本会議が終わったらお答えいただけますか) 答えられないから、この話は」
石破総理は自身の“裏金疑惑”に「記載ミスがあった」
裏金問題は石破総理自身にも浮上しています。
共産党 志位和夫 議長
「総理、石破派にも主要5派閥と同じ、深刻な裏金疑惑が問われているのであります」
疑惑を刑事告発したのは、神戸学院大学の上脇博之教授。
神戸学院大学 上脇博之 教授
「(石破氏は)『自分のところは違法はないよ』と胸を張って答えていたけど、石破氏のグループでも同じように(収入の一部を)書いてなかった」
疑惑の舞台は、石破総理らが代表を務めていた政治団体「水月会」のセミナーです。
こちらは政治団体Aの2019年の収支報告書。支出の欄には、水月会に対しセミナー会費という名目で合わせて48万円を支払ったことになっています。
しかし、水月会の収支報告書には政治団体Aからの収入は28万円となっていて、20万円分少ないのです。
翌年の2020年には20万円分、2021年は40万円分が記載されておらず、3年間で合わせて80万円分の収入が少なく記載されていました。
7日の国会で石破総理は、「収支報告書に記載のミスがあった」と認めた上で、こう説明しました。
石破総理
「記載の誤りがあったのは内訳の金額であり、支払い、収入総額の誤りは確認をされておりません。『水月会』自体は既に解散をしておりますが、訂正可能な過去の収支報告書については、既に訂正手続きを行った」
“裏金”衆院議員45人 誰が「非公認」に? 線引きに“狙い”
小川彩佳キャスター:
自民党の調査で不記載が確認された衆院議員は、現時点で既に不出馬を表明している人などを除くと45人ということになります。
5日(土)、6日(日)に行ったJNNの世論調査では、いわゆる裏金議員を公認することについて、19%が「理解できる」、75%が「理解できない」と答えています。
こうした中、6日、石破総理は裏金議員について「相当程度の非公認が生ずる」と発言。ここにはどういった狙いがあるのかを見ていきたいと思います。
藤森祥平キャスター:
まず、今の時点で非公認の方針が示されているのが、党員資格停止1年の下村博文氏、西村康稔氏。党員資格停止半年の高木毅氏。党役職停止1年の萩生田光一氏、三ツ林裕巳氏、平沢勝栄氏の6人です。
ただ、萩生田氏や三ツ林氏などと同じ党役職停止1年の処分を受けている武田良太氏と松野博一氏に関しては非公認にはなりません。
小川キャスター:
この線引きは何なのでしょうか?
そして、そもそも先週末には一定の条件を満たせば原則公認する方向という一部報道もありましたが、この数日で何があったんでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
順を追って説明しますと、当初は、党員資格停止1年間と半年の人を非公認にするという案があったんです。
党員資格停止なので、もちろん公認ができないのは当たり前なんですが、それではいくら何でも世論の評価を得られないということで、役職停止の人に対しても非公認を考えようということでしたが、その線引きはどうしようかということでした。
国会の政治倫理審査会で「説明をした人」と「説明していない人」にするということで、武田氏と松野氏は政倫審に出ているので、それ以外の政倫審に出ていない人たちを非公認にするということで決着したわけです。
これは一応、政倫審という線を引いたわけですが、具体的に言うと、萩生田氏はこの前の総裁選で高市早苗氏に近かったと言われていて、武田氏と松野氏は石破総理に近かったと言われています。
平沢氏は石破総理の応援をしましたが、石破総理に近い人を守るために政倫審という線引きをしたんじゃないかということで、かなり私意的な線引きという指摘はあります。
小川キャスター:
あおりを受けてしまった議員もいるという中で、裏金事件に関わったとして非公認になる議員というのは少なくとも10人という可能性が出てきていますが、「相当程度」と石破さんも発言しています。これは大体どのぐらいになりそうなんですか?
星さん:
選挙が近づいているので、今、自民党では盛んに情勢調査という形の世論調査をやっていて、そこで当選の可能性がない数字が出た人に対しては今回は非公認にするということになり、最終的には10数人が非公認になるということで落ち着くと思いますが、45分の10数人なので、厳しい処分とは言えないと思います。
小川キャスター:
処分内容に関わらず、裏金議員には比例代表の重複立候補を認めないという方針も示されましたが、自民党としては、議席を減らしてでもという覚悟の表れと言えるんですか?
星さん:
重複を認めないということになると、非常に厳しい議員も出てきます。実際、中身をよく見てみると、安倍派の議員や高市氏を支援した議員が多いんです。
なので、自民党としては選挙でかなり苦戦を強いられて、勢力が伸び悩んだ場合、高市氏やその周辺がおそらく石破下ろしをするのではないかということも考えられるので、それを考えて高市氏の勢力を弱めておこうという政治的な思惑もあるんじゃないかというふうに見られていて、今後もちょっと、しこりが残る可能性あると思いますね。
小川キャスター:
ただ党内でも不満の声が吹き荒れていますが。
星さん:
そもそもこの問題は1年前から続いているのに真相解明が十分じゃなかった。それから、再発防止も不十分なものしかできなかったということのツケがここにきて回ってるということだと思いますね。
小川キャスター:
この事態を招いてしまったのは誰なのか、何なのかということに向き合っていただきたいですね。
『“裏金議員”の公認』について「みんなの声」は
NEWS DIGアプリでは『“裏金議員”の公認』について「みんなの声」を募集しました。
Q.“裏金議員”の公認めぐる総理の判断 どう思う?
「妥当だ」…25.9%
「妥当だが判断が遅い」…21.0%
「全員非公認にすべき」…49.6%
「厳しすぎる」…1.9%
「その他・わからない」…1.5%
※10月7日午後11時09分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは8日午前8時で終了しました
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年