「お金に苦労した経験から」配布?石破総理“10万円商品券”めぐり追及続く 議員出席の会食は政治活動?【Nスタ解説】
国会ではきょうも石破総理の商品券問題をめぐり、野党による追及が続いています。吹き荒れる逆風に与党内からは「石破総理では選挙でたたかえない」との声が強まっています。
議員出席の会食は「政治活動」か?
齋藤慎太郎キャスター:
石破総理が一人10万円相当の商品券を配っていた問題について党内からは「石破おろし」の声も上がっています。
3月3日、当選1回の衆議院議員15人と石破総理は会食を行いました。この15人に、総理側から一人10万円相当の商品券が配られたということです。
政治活動に関して、金銭や有価証券などの寄付は禁止されていますが、石破総理はあくまで「労い」であり「政治活動に関する寄付ではない」と、法律に抵触しないと説明しています。
ただ、この説明には野党から疑問の声もあがっています。
16日、立憲民主党の野田佳彦代表は「政治活動にあたる寄付に十分なるんじゃないか」と指摘。「(会食の出席者は)全部政治家でしょ?そこでご飯食べながら何喋るんですか?アイドルの話ですか?鉄道のお話ですか?そんなわけないでしょう。政治に決まってるじゃないですか。政治活動でしょ」と発言しています。
ホラン千秋キャスター:
商品券の問題、今どのような風向きになっているのでしょうか。
TBS報道局政治部 中島哲平 官邸キャップ:
与党・野党双方からかなり強い風当たりになっています。
石破総理が「労い」で商品券を渡したというのは本音・事実だと思いますが、会食に出席した議員も「政権のさまざまな政策について話した」「選挙区について話した」と発言しているので、これを政治活動ではないとするのは、なかなか理解を得られないだろうと思います。
“商品券”配布は“永田町の常識”なのか?
井上貴博キャスター:
石破総理は、裏金問題などに対して敏感でお金にクリーンなイメージがあっただけに、やはり石破総理も“そっち”なのかと感じてしまいました。“永田町の常識”では、こういったことはよくあるのでしょうか。
TBS報道局政治部 中島 官邸キャップ:
最近は「商品券を渡した」という話を聞くことはあまりありません。ただ、石破総理も「昔そういうものをもらったことがある」としていたので、以前、例えば昭和の時代などには、あったのだろうと思います。
産婦人科医 宋美玄さん:
一般人の金銭感覚からは離れているのかなとは思います。商品券を受け取った新人議員は返還しているということで、新人議員の方が真っ当な感覚を持っているのかなという印象です。
もちろん良くないことではありますが、国会議員のみなさんにはもっと大事なことを議論していただきたいので、「徹底的に追及します」というのもどうなのだろうと思ってしまいます。
個人的には、高額療養費制度の負担上限額引き上げという提案が出たことさえ許せないと思っているので、今議論するべきことはもっとあると思います。この問題を、トップを変えてリニューアルするきっかけにしないで欲しいです。
齋藤キャスター:
高額な商品券は、慣習的に行われていた面もあります。
14日、過去にも商品券の配布があったのか問われると、石破総理は「常にそういう会合は少ないとお叱りを受けている人間でございますので、両手で数えて足りるか足りないかぐらいではないか」と説明しました。10回程度は商品券を配っていたのだろう解釈することができます。
「お金に苦労した経験から…」商品券を配布か
齋藤キャスター:
石破総理はなぜ10万円相当の商品券を配ったのでしょうか。
中島官邸キャップによると、石破総理が新人議員時代に、支援で金銭的に助けてもらったことがあったことから、総理に就任して新人を支援したいと“10万円商品券”を渡したとみられています。
ただ、10万円相当の商品券ということで、世間の感覚とズレがあるのではないかと問題視されています。
ホランキャスター:
こういった会合は、政治家が後輩の面倒を見るという意味で開催が求められる傾向にあるのでしょうか。
TBS報道局政治部 中島 官邸キャップ:
若い議員にとって、総理などの立場の議員からこれまでの知見などを聞くことは、政治活動を行う上で大切な機会なので良いことだとは思います。
また、石破総理は新人時代に自分がお金に苦労した経験があり、今の若い議員や苦労している家族を何とか手助けしたいという思いから今回の行動に出たのだと思います。しかし、それが時代とずれてきてしまったのでしょう。
新人議員は少し前まで一般人だったということもあり、違和感を持つ議員も多かったようですね。
これまでと真逆…「退陣」「追及」与野党の思惑は?
井上キャスター:
本来議論すべきことが議論できず、国会が浪費されていくことになると思います。
少数与党のトップとして石破総理のままで行くのか、与党と野党の思惑はどうなのでしょうか。
TBS報道局政治部 中島 官邸キャップ:
自民党内は、石破総理のままでは参議院選挙を戦えないということで、どのタイミングで辞めさせるかというのが焦点になっています。
本来、野党は不信任案を出すところなのですが、むしろ石破総理のままの方が戦いやすいので、辞めさせないようギリギリまで戦っていきたいという思いがあり、普段と逆の状況・立場になっています。
ホランキャスター:
石破総理はどういう気持ちなのでしょうか。
TBS報道局政治部 中島 官邸キャップ:
石破総理は、商品券を渡したことについて、世間の常識とずれてしまったことは反省していますが、法律に違反していないとしています。
悪いことしたわけではないので、丁寧に説明して理解を得ながら何とかこのまま続けていきたいというのが今の状況です。
井上キャスター:
「石破おろし」はあるのでしょうか?
TBS報道局政治部 中島 官邸キャップ:
今の状況が続くようであれば、「石破おろし」はどこかのタイミングで必ず起きてくるのではないかと思います。
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<プロフィール>
TBS報道局政治部 中島哲平
官邸キャップ
2017年から石破氏を担当
過去に石破氏のドキュメンタリー映画を制作
宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信