「私たちは目の前で殺人を見ています」 ガザで死亡した朝日新聞の通信員を務めていた男性が生前現地から伝え続けたメッセージ
パレスチナ自治区ガザで朝日新聞の通信員などを務めたムハンマド・マンスールさんがイスラエル軍の攻撃により死亡しました。マンスールさんはかつて、JNNに現地の惨状を伝えていました。
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「みんな、これは夢?夢なの?」
2023年10月、ガザ地区南部の街ハンユニスでの映像。私たちJNNに送ってくれたのが、イスラエルの攻撃で死亡したジャーナリスト、ムハンマド・マンスールさん(29)です。現場からガザの惨状を伝え続けてくれました。
ガザ地区ジャーナリスト ムハンマド・マンスールさん
「イスラエルは避難民を保護している家、病院、学校など、目に見えるものすべてに攻撃してきます」
当時、ガザは北部だけでなく、南部の都市でも攻撃にさらされており、マンスールさんはその現場にいました。
しかし、電気がなく、ほとんどの通信などが破壊されたなか、マンスールさんはエジプトなどの通信回線を使用して、かろうじて我々と電話でつながり、無差別攻撃の様子も伝えていました。
ガザ地区ジャーナリスト ムハンマド・マンスールさん
「これまで何百もの攻撃について話しているのですが、50機の飛行機が一つの都市の空を旋回するのを初めて見ました。爆撃方法も前例がない、話しているのは単一の爆撃ではなく、火災帯のことです。都市全体、住宅街全体、または病院全体を爆撃しているのです。ガザ地区のイスラエルに対する一般的な見方は、イスラエルは怪物だということです。何でも殺す怪物。パレスチナ人は、昼も夜も人を殺すイスラエル軍に恐怖を感じています。戦闘機は24時間爆撃する、軍の砲撃は24時間続く、軍艦は24時間砲撃する。パレスチナ人は、イスラエルを望むものなら誰でも殺す怪物だとみなしています。この怪物はこの世の誰も気にしていないのです」
イスラエルとハマスの停戦は事実上崩壊し、そのなかで、マンスールさんは亡くなりました。しかし、関係者によりますと、一緒にいた妻と乳児の長男はハンユニスの病院の集中治療室で治療を受けています。
一向に行方が見えないガザの和平交渉。マンスールさんは私たちにこんな問いを残しています。
ガザ地区ジャーナリスト ムハンマド・マンスールさん
「私たちは目の前で殺人を見ています。戦争、定住、避難、入植地や土地を奪う。そして、祈りの妨害を目の当たりにしています。これはすべて大規模な違反です。このあと、世界は私たちに何を期待しているのでしょうか?世界はパレスチナ人が殺されている間、黙っていてほしいと思っているのでしょうか?」