備蓄米放出に大臣交代でも変わらず…史上最高値近くで高止まりするコメ価格「おこめ券」配布進める自治体も【Nスタ解説】
政府が物価高対策として推奨する「おこめ券」。
何かと批判が多いですが、「それでも配る」という自治体で発送に向けた作業が始まりました。なぜ「おこめ券」を選んだのでしょうか。
【画像で見る】備蓄米放出に大臣交代…コメ価格はこの1年間でどう変わった?
“年内に全町民に” 進む「新・おこめ券」の配布作業
埼玉県吉見町の町役場では、急ピッチで「おこめ券」の配布作業が進められていました。すべての町民に1人あたり440円を7枚=3080円分、配ります。
「有効期限:2026年9月30日」と書かれた政府の経済対策用の「新・おこめ券」。全米販が新たに発行するものです。
吉見町が「おこめ券」の配布を決めたのは、経費率が高いとの批判が増えた11月下旬だったと町のトップは話します。
吉見町 神田隆 町長
「12月中に町民の皆さんに届けたい、おこめ券が一番早い」
町は約5400万円分のおこめ券を配布するため、現時点では6700万円あまりの予算を計上していますが、町長は「スピードを重視した」と強調していて、年内に全ての町民に届ける考えです。
吉見町では、店舗によって他の食料品も買うことができるといいますが、町民からは――
埼玉・吉見町民
「嬉しいですよ。お米は欠かせないものなので、『おこめ券』でありがたい」
「おこめ券」と「現金給付」自治体で分かれる判断
一方、「おこめ券」は配布しないという自治体も。
2025年10月に、「おこめ券」を独自の家計支援策として配った台東区。国の経済対策で交付されるお金について、今回は「現金給付」にするといいます。
台東区・企画財政部 三谷洋介さん
「全世帯に対して1人あたり5000円を現金給付する予定。現金であれば自由に利用することができ、店舗側でも新たな事務負担が発生しない」
さらに、「おこめ券」が速やかに納品されるか不透明であることなど、総合的に判断したといいます。
しかし「おこめ券」をめぐっては、街からこのような声も。
街の人
「やめたほうがいい。たいして意味がない、一時的なもので。今だけ『おこめ券』をもらっても、別にどうしようもない」
「『おこめ券』を配るだけじゃなくて、コメ自体を安くしてほしい」
街から聞こえてくるのは、「コメの価格を根本的に下げて欲しい」という声です。
2025年を振り返ると、備蓄米の放出や農政の大転換、そして大臣の交代もありましたが、結局は史上最高値近くで高止まりするコメ。
いったいいつ、手に取りやすい価格になるのでしょうか。
“買い控え”受け、利益度外視で値下げする企業も
井上貴博キャスター:
コメのスーパーの販売平均価格は、12月第2週で4331円となっています。1年前(2024年12月第2週)は3485円でした。
コメの価格が上がり始めた2025年春、政府は備蓄米の入札を始め、5月に入ってから農林水産大臣に小泉進次郎氏が就任しました。この頃、増産に舵を切ろうという話もありましたが、備蓄米放出したこともあり平均価格は下がっていきました。
ところが、秋の新米のシーズンにまた上がっていきました。その頃、農水大臣のポストに就いたのが鈴木憲和氏です。増産から今度は減産に舵を切るような発言もありました。そして鈴木大臣が打った手が「おこめ券」です。
さらに振り返ってみると2023年(12月第2週)のコメの価格は2028円、2022年(12月第2週)は1894円でした。
もちろん「安ければいい」ということではないですが、落としどころをどこにするのか、大臣が変わって(方針が)ころころ変わるのは、現場も大変だろうなと思います。