高市総理「当選祝い」3万円超カタログギフト配布は「軽率」か「問題なし」か、党内の反応は? 街の声は?【Nスタ解説】
高市総理が「当選祝いの名目」で自民党の衆院議員に配った「カタログギフト」。1冊3万円を超え、当選議員315人に送ったといいます。受け取った自民党議員を取材しました。
3万円超カタログギフト 配布は個人から?支部から?
高柳光希キャスター:
高市総理が当選祝いとして3万3390円のカタログギフトを配ったことについて、▼「法律的な問題」、▼「庶民感覚とのズレ」、この2つの視点でみていきます。
そもそも政治資金規正法では、個人から政治家に対する金銭などの寄付は原則禁止となっています。
そのため、今回のカタログギフトの配布が高市総理個人によるものなのか、そうではないのかが一つの争点となります。
今回のカタログギフトについて、高市総理は自身のSNSでこのように説明しています。
高市総理のXより
「奈良県第二選挙区支部(高市早苗支部長)として品物を寄付させていただきました」
ただ、実際に配布されたカタログギフトには「高市早苗」の名前のみが書かれています。奈良県第二選挙区支部長という肩書きがないので、個人から配布されたものなのか、支部から配布されたものなのかわかりませんが、政治資金規正法には抵触しないのでしょうか。
若狭勝弁護士によると「疑問は残るものの、政党支部からだと主張されると法律違反と言うのは難しい」と話しています。
カタログギフト配布について党内の反応は?
高柳キャスター:
自民党関係者はどのような反応を示しているのでしょうか。
TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長:
カタログギフトには高市総理の名前だけが書かれているわけですが、高市総理としてはあくまでも「奈良県第二選挙区支部」として配布したもので、会計上もそのような形で支出しているということです。
尚且つ、カタログギフトという品物であることも一つのポイントです。これが金銭や商品券だった場合、問題が大きくなる可能性もありますが、「あくまで品物である」という説明をしているわけです。
自民党内では、擁護派と懐疑派からさまざまな意見が出ています。
【擁護派】
官邸関係者
「政党支部からなら法的になんら問題ない」
自民党議員
「金銭ではなく全く問題ない。お菓子と一緒だよ」
【懐疑派】
自民党議員
「これはダメだと思って受け取らなかった」
自民党関係者
「やはり議員は特別なのかと、国民からは理解されない」
出水麻衣キャスター:
ここ最近は代表質問など重要な質疑が始まっています。
2026年度の当初予算も、今年度中の成立を目指すと明言している中で、誤解されかねない行動ですよね?
ニュース解説メディア「The HEADLINE」編集長 石田健さん:
現状の高市政権は非常に自信がある状態だと思います。
高市政権側からは、「“庶民感覚とのズレ”や“誤解を招きかねない”といった曖昧な概念によって揚げ足取りをするメディアや野党」という反論が出てくるのではないか。
今の風の状況を見ていると、「問題ではない」と正々堂々、はっきり主張する高市総理と、まるで揚げ足取りをしているようなその他、という構図に見えるということで、政権側としては自信をもって対応しているのだと思います。
カタログギフト配布について、街の声は…
高柳キャスター:
今回のカタログギフトの配布について、街の人はどのように感じているのでしょうか。
――高市総理側がカタログギフトを贈ったが問題だと思いますか?
20代
「財源によると思います」
「税金を使ってたら国民のお金なんであまり良くないかなと思うんですけど、お祝いとして高市さん(事務所)が払ったんだったらいいのかなと」
――1人、3万3990円相当ですが
40代
「結構な。そんなの会社からももらったことない。法に触れてないにしても、そういう使い方するんだな」
50代
「やらなくてもよかったんじゃないかなと思っちゃいますね」
「もうちょっと国民に還元してほしい」
70代
「石破さんの時にもいろいろ批判がありましたよね。あの時も『え?』という気持ちでしたけど、そういうこともあったうえで、高市さんの今の行動にちょっと不信感を抱いています」
1年前には石破前総理が謝罪も…なぜ同じようなことを?
高柳キャスター:
一番の疑問は、過去にもこのようなことがあり謝罪もあった中で、なぜまた起きてしまったのかということです。
2025年3月、石破前総理が初当選した自民党議員15人に10万円相当の商品券を配っていたことが問題となりました。
「法的には問題がない」としていましたが、その後、国民の感覚からかけ離れていたということで委員会で謝罪をするに至りました。
1年前にもこのようなことがあった中で、なぜ高市総理は同じようなことを繰り返してしまったのでしょうか。
TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長:
高市総理側も「法律的には何の問題もない」という立場ですが、自民党内でも「だからといって良いのか」という声も出ています。
自民党の閣僚経験者は「あまりにも軽率だ。この政権の弱点は高市さんに対してモノを言える人がいないことだな」と話していました。
つまり、この時期にこういった形で配ればいろいろな波紋が広がり、反発も起きる可能性が高い。そうした中で「これはどうなのでしょうか」と総理に進言をした人が果たしていたのかどうなのか。
そのあたりが、今の高市政権の一つの弱点じゃないかと閣僚経験者は話しています。
いろいろな場面でこのような問題が起きると、「政権として本当に大丈夫なのか」という心配が広がりかねないので、その辺りが今回の問題の一つの焦点なのかなと思います。
今後の国会運営への影響は?
出水キャスター:
26日以降の国会運営には、どの程度の影響があるのでしょうか。
TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長:
25日、衆議院・参議院それぞれで本会議がありましたが、この問題について、野党側が大きく質問したという状況ではありませんでした。
法律違反ではない以上、野党側もいつまでもこの問題を追及することができるかというと、なかなか厳しくなっています。
ましてや今、「予算審議を早くしなければいけない」と言われている中で、これだけでずっと国会が停滞することになってもいけないという状況はあります。
出水キャスター:
擁護派・懐疑派の双方からいろいろな意見があります。高市総理は今後、こういった弱点もある中で、どのように国会運営をしていけばいいとお考えですか?
ニュース解説メディア「The HEADLINE」編集長 石田健さん:
「庶民感覚と違う」「国民感覚とずれている」という批判をされて、政治家がすぐに謝罪をするという流れを、パラダイムとして高市政権は変えたいのだと思います。「我々は説明します。あとは決めてください」と。自信があるからこその振る舞いだと思います。
その感覚に関しては、例えば、私も会社の社員に数万円の食事をおごるということはあります。それなのにも関わらず「これは庶民感覚と離れている」と言って批判しても、それはダブルスタンダードであると言われてしまいます。
そういうときに、我々は政治家に何をして欲しいのか。
「正当な報酬、お金を払ってでもいい仕事をしてくれたら良い」ということを一貫して主張するのか。その上で、「政策の議論がおざなりになっていないか」と政策論争を求めていくのか。
こういうことを我々がもっと提起していかなければ、ふわっとした議論のまま物事が進んでいきます。少なくとも、政治に関する議論の形というのは、我々自身も変えなければいけないと思います。
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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局政治部長
元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
石田健さん
ニュース解説メディア「The HEADLINE」編集長
鋭い視点で政治・経済・社会問題などを解説