商品の“価格”は誰が?定価4950円のバッグが“言い値”に あえて「不完全なB品」を売る新しい“寄付”のカタチ【Nスタ解説】
商品の値段が決まっていないという、ちょっと変わったイベントが東京・渋谷で行われました。どんなイベントだったのでしょうか。
“不完全”も個性 モノの価値を問うイベント
出水麻衣キャスター:
ガーナで作られた、少し訳ありのB品の価格は「???円」。3月20日~22日の連休に、モノの価値について考えさせられるイベントが行われました。
アフリカのガーナで作られたバッグなどを販売するイベントで、お客さんがお会計に行くと…
お客さん
「3つで2万円というのもアリですか」
店員
「ありがとうございます」
なぜか、お客さんが価格を決めていました。実は…
NPO法人 CLOUDY 柿野優衣さん
「価格をお客様に決定していただくところがイベントの特徴」
商品には4段階の価格が設定され、お客さんが商品の価値を決めて購入することができたのです。
お客さん
「むちゃくちゃ嬉しい。いくつも買っちゃうよね」
お客さん
「日本だと定価って決まってますけど、それより(価格を)上げ下げする経験がないので、決めるの難しいです」
NPO法人 CLOUDY 柿野優衣さん
「(価格を決めるのが)難しいっていうお客様もいらっしゃるんですけど、むしろ楽しむお客様も結構多い」
なぜ、お客さん自身が価格を決めることができたのでしょうか?
出水キャスター:
「値段を決めてください」と言われたら、戸惑う方もいらっしゃいますよね。
こちらのイベントはNPO法人のCLOUDYが主催し、「I'm NOT perfect」(=私は完全ではない)というタイトルがつけられていました。
「モノの価値は誰が決める?」を問うイベントで、売られている商品はガーナで作られており、カラフルで可愛いもの。しかし製造過程で一部、不完全なものが出てきてしまうため、それを商品として売っていたのです。
客が価格を決めるというのはなかなかできないことで、日本では慣れていない方が多いと思います。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
究極の選択ですよね。B品は「質がよくないもの」ととるのか、あるいは「唯一無二の価値のあるもの」ととるのかで、価値は違います。ここからまず考えさせられるということですものね。
出水キャスター:
主催のNPO法人の方いわく、最初にガーナに商品を発注した際、ファスナーが開かなかったり、少し歪んでいたりと、たくさんB品があったそうです。
しかし「それも個性なんじゃないか」と愛着が湧いたところから、こういったイベントの着想を得たといいます。
B品、どこが不完全? よく見ると…
出水キャスター:
では、どのようなものが売られているのでしょうか。
たとえば、非常にカラフルなバッグ。ピンクと黄緑の組み合わせは、なかなか日本では珍しいものです。
しかし、よく見ると、ロゴが「AFRICA←→TO O」となっています。正しくは「AFRICA←→TOKYO」なのですが、柄にプリントが被ってしまい「K」と「Y」がないということで、B品扱いされているのです。
定価は4950円のところ、今回のイベントでは★1つ~4つの4段階から価格を決められました。★1つは3000円、★2つは3500円、★3つは4000円。
そして、★4を選んだ「その個性も私は大好きだよ」という客は、“エクストラサポート”として、本人が好きな金額を払っていいことになっていたのです。
ほかには、Tシャツも売られていました。胸ポケットの位置が少し歪んでいるためB品扱いとなり、定価は6000円台ですが、★1つだと2500円ぐらいで購入できたということです。
井上貴博キャスター:
我々は普通の生活で、完璧なものに慣れすぎている気もします。たとえば野菜や農作物も、今は徐々に不揃いなものを販売しようという流れになっていますが、もっと振り切っていいのかもしれません。
胸ポケットの位置がずれているTシャツも、むしろデザインとしてかっこいいです。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
「完璧ではない」ということを知ることこそがとても大事で、人の魅力だと思い、私も「I'm NOT perfect」に参画しています。
新しい“寄付”の形も実現 商品の売り上げはガーナでの活動費に
出水キャスター:
今回のイベントで、新しい“寄付”の形も実現しているといいます。
実は「I'm NOT perfect」の売り上げは、全額ガーナでの活動費として寄付されます。たとえば学校を建てるほか、給食費などにも使われるそうです。
主催のNPO法人はガーナで約600人、女性や障害のある方を中心に雇用しています。洋服などを作る過程ではどうしてもB品が出てしまうため、こういったイベントで販売しているということです。
消費者庁や環境省も伝えていますが、今アパレル業界が抱えている問題として廃棄が多いことがあるため、メスを入れていくべき課題だと思います。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
商品を持つだけではなく、「この商品に対して私は何の意味を持たせるのだろう」ということを自分たちで考えると、いろいろなことに価値を見出せます。
出水キャスター:
マイナスの部分も個性として認めて価値を見出していく、そんなイベントでした。
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<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士) 五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰