ブルーインパルスが熊本の空に…「ふるさとの力になりたい」実家が被災したパイロット“不死鳥”で復興へのエール 熊本地震10年【news23】

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2026-04-18 16:31

熊本地震から10年の節目に、航空自衛隊の「ブルーインパルス」が熊本の空を飛びました。「ふるさとの力になりたい」。熊本市の出身で実家が被災した男性パイロットが、この特別飛行に臨みました。

【写真で見る】機体同士が90センチまで近づくことも…繊細かつド迫力なブルーインパルスの操縦

“時速800キロの世界” パイロットは意外にも高所恐怖症?

一糸乱れぬ華麗な編隊飛行。航空自衛隊の専門飛行チーム・ブルーインパルスです。

熊本地震から10年の節目に送られた復興へのエール。6機のうち1機を操縦していたのは、熊本市出身の松永大誠さん(33)です。

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「ブルーインパルスに来たからには、あの時(地震で)衝撃を受けた熊本の空を飛んでみたいという思いがあった」

宮城県東松島市にある松島基地。ブルーインパルスの所属基地です。

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「こちらがブルーインパルスで使用しているT-4練習機」

国民的な行事などでアクロバット飛行を披露するブルーインパルス。時速は約800キロ。パイロットの体にかかる負荷は体重の5~6倍にもなります。

そうした中でも求められるのが、繊細な操縦。機体同士が90センチまで近づくこともあります。

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「血液が下がってこようとする。血液が脳から無くならないように、失神してしまうので、血液を呼吸でぐっと上げながら操縦しているような感覚」

空を自由自在に飛び回る松永さんですが、意外な一面も…

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「高所恐怖症なので、高いところは苦手。普通の飛行機に乗るときは、窓側でなく通路側を取っている。外を見られない」

実家が被災「直接手伝いたかったが、自分の置かれた立場で…」

そんな松永さんがブルーインパルスのパイロットを目指すきっかけとなったのが、熊本地震でした。

2016年4月14日。戦闘機パイロットとして山口で養成期間中だった松永さんは、テレビに映し出された光景に言葉を失いました。

実家の家族も被災し、一時避難生活を余儀なくされました。

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「家族が家に住めない状態だったので、私も直接行って支援したい、直接手伝いたいという思いはあったが、自分の置かれた立場で精いっぱい頑張ることが自分のやるべきことかなと思い、ぐっとこらえた」

松永さんが葛藤を抱える中、熊本地震の翌年、ブルーインパルスが熊本の空を飛んだのです。

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「みんなを感動させたり笑顔にさせたり、そういった力がある部隊だなと」

狭き門をくぐり、3年前、ブルーインパルスのパイロットとなった松永さん。地震直後から胸に抱き続けてきた、「ふるさとの力になりたい」という思い。それを形にするときが訪れました。

熊本地震から10年の節目に、再びブルーインパルスが熊本の空を飛ぶことが決まったのです。

“不死鳥”をかたどり…再び熊本の空を飛んだブルーインパルス

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「熊本出身ですので、熊本の皆さんに、知り合いや家族に見てもらって、少しでも復興の力になれれば」

熊本入りしたこの日は、当日の飛行ルートなどを協議しました。

熊本市担当者
「前回が地震発災して間もない時期に飛んでいただいたので、入れないエリアがあったが、今回それが入れますので。例えば天守閣前とか」

実際に天守閣にも上って、飛行エリアを丹念に確認します。

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「天守閣は上ったことがあるが、(地震後)初めてなので、すごくきれい」

ブルーインパルスのパイロットの任期は原則3年。ふるさとを飛ぶ機会は、これが最後になるかもしれません。

アクロバット飛行や編隊飛行で見せることができる演技の数は50以上。その日何を披露するかは、天候などを見て組み合わせていきます。

松永さんには、熊本で見せたい演技があります。

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「復興を祈って、不死鳥をかたどった隊形で上空を飛行する。フェニックスローパスを見ていただいて、復興への思いや、これからの未来に進む一つの糧になればと思っている」

ブルーインパルスが再び熊本の空へ。

轟音とともに現れた6機の編隊が、真っ青な熊本城の上空に白い軌跡を描きます。

熊本城周辺に集まったのは約7万5000人。9年前は復旧工事中で入ることができなかった天守閣や広場にも、空を見上げる人たちの姿がありました。

そして、松永さんが見せたいと話していたフェニックスの演技。

観客
「すごく感動した」
「来てよかった」
「しっかり元気はもらったので、これからも前を向いて歩いていきたい」
「ここまで10年、みなさんそれぞれの10年があったと思うが、これからの10年を希望を持って生きていけるようになったのでは」

空から届けたふるさとへのエール。

ブルーインパルス パイロット 松永大誠 3等空佐
「いつか熊本のために恩返しをしたいという思いを胸にブルーインパルスに入って、なんとか自分のラストフライトで熊本のみなさんにエールを送ることができて、ありがたいなと思いながら飛行しました」

青空に描かれた軌跡とともに、熊本は地震から11年目へと歩みを進めます。

上村キャスターが語るブルーインパルスの魅力

喜入友浩キャスター:
松永さんは自衛官ということもあって、発災直後は地元に行って直接支援をしたいという思いと、今自分が置かれた場所で頑張るという思いの間で相当揺れたと思いますけれども、ぐっとこらえて技を磨き続け、今回熊本の空を飛びました。飛び終えたあとの松永さんは、噛みしめたような表情でしたね。

上村彩子キャスター:
私も2021年の東京オリンピックのとき、ブルーインパルスを実際に見たことがあります。ちょうどそのときはコロナ禍で、不穏な情勢の中だったのですが、青空を飛ぶブルーインパルスを見て、すごく心が晴れやかになったのを覚えています。

体に響くような轟音があって、広大な空が広がっていて、そして何より、その場にいる人たちがみんな同じ方向を見て感動を共有し合って。そんな体験が、ずっと自分の記憶に残っています。

この10年、懸命に歩き続けた熊本のみなさんにも、松永さんの空からのエールはしっかりと届いているのではないでしょうか。

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