高市総理が「裁量労働制」の対象見直し検討を指示 柔軟な働き方などの実現へ 「裁量労働制」どんな働き方?【news23】
高市総理は22日夜、柔軟な働き方などの実現に向け、「裁量労働制」の対象の見直しなどを検討するよう指示しました。高市政権「肝いり」の裁量労働制見直し。私たちの働き方に影響はあるのでしょうか?
高市総理の“肝入り” 裁量労働制見直し検討を指示
22日夜に開かれた日本成長戦略会議。
高市総理
「裁量労働制については経済界として、健康確保、長時間労働防止、処遇改善にしっかり取り組まれるとの発言も踏まえ、こうした濫用防止措置を前提に、制度対象のあり方について見直しの検討を進めてください」
柔軟な働き方などの実現に向け、高市総理は上野厚生労働大臣に対し、裁量労働制の対象の見直しなどを検討するよう指示しました。
裁量労働制とは、実際に働いた時間ではなく、企業と労働者であらかじめ決めた時間を働いたとみなし、賃金を支払うもの。
現在は、弁護士やデザイナーなど20の職種が対象の「専門業務型」と経営に関する企画や立案などを担う人が対象の「企画業務型」で分かれていて、制度の対象を拡大するかどうか議論が進められています。
余裕ある日もあれば労働時間を超える日も… 裁量労働制で働く人の一日は?
ウェブサイトのデザイナーとして、裁量労働制で働くピクスタ株式会社の浅川さん(仮名・30代)。自宅でリモート勤務をする1日に密着しました。
夫を見送り、8時30分から業務開始。
この日は午前中、AIを活用するための動画編集などを実施。仕事の進め方は大体、自身の裁量で決めています。
裁量労働制で働く浅川さん(仮名)
「ミーティングには出ないといけないが、それ以外は比較的自由に仕事してます」
「1日のスケジュールを組みやすいです」
裁量労働制では、企業側と労働者側で決めた「みなし労働時間」で賃金が支払われ、浅川さんは1日8時間で設定されています。
Q.きょう仕事は落ち着いてる?
「落ち着いています。昨日までが忙しかった」
この日は、午後1時に1時間の休憩をとり、近くの惣菜店で昼食を買いました。
午後2時、仕事を再開。社員同士でAI導入のオンラインミーティングを行い、退勤ボタンを午後5時半にクリック。
この日の実労働時間は8時間で、「みなし労働時間」と同じでした。
浅川さんは、忙しい日はみなし労働時間を超えて1日11時間以上働くことも。
一方で、仕事に余裕がある時期は、6時間勤務の日もあります。
どちらも支払われる賃金は原則同じです。
裁量労働制で働く浅川さん(仮名)
「会社的に必ずやらなければいけない仕事もありますし、逆に自分がもっとクオリティを上げたい場合は残業することもあります」
「仕事が終われば趣味の時間が持てるということを意識して仕事ができるので、おのずと効率化を目指している」
浅川さんの会社の労務担当は。
ピクスタ労務担当 高林海気さん
「(業務量を)調整ができるような協力体制は、会社として整えておく必要があると思う」
「過労死は全然減っていない」 裁量労働制の対象拡大には反対の声も
裁量労働制めぐっては、経団連が対象の拡大を求めていますが、労働者側の連合が「長時間労働を招きかねない」と反対しています。
こうした議論を受け、16日、裁量労働制の夫を過労で亡くした女性がこう訴えました。
裁量労働制の夫が過労死 渡辺しのぶさん
「(夫は)毎日毎日残業しても終わらないほどの仕事を割り振られていた。誰一人自分のスケジュールで動けるような状態ではありませんでした」
「過労死は減ってないんです。全然減ってないのに、なぜ今、裁量労働制の見直しをしなければいけないのか」
高市総理は、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて検討を加速するよう、指示しています。
背景に人手不足 “裁量労働制”の必要性と課題
小川彩佳キャスター:
なぜいま制度の見直しが検討されているのでしょうか?
Podcastプロデューサー 野村高文さん:
背景にあるのは人手不足で、これまでの“長く一定期間働く”という働き方が、だんだんとそぐわなくなってきています。より多様で柔軟な働き方を、社会全体として認めていく必要があります。
特に最近ではAIを使った働き方やリモートワークなど、色々な働き方を認めて、色々な人を戦力にしていく必要があります。
小川キャスター:
一方で、高市総理の発言の中には、“濫用防止措置を前提に”という言葉もありましたが、裁量労働制といっても、働き手自身に裁量がない場合もあります。
どのような働き方を選択するか自由に決められない場合に、本人が望まない形で長時間労働に繋がるのではないかという不安も根強いと思います。こうした懸念をどう見ていますか。
Podcastプロデューサー 野村高文さん:
裁量労働制で働いた経験がありますが、職種が裁量でも、経験がある上の人たちは裁量があり、若手は事実上、裁量がないということがよくあります。この部分は会社によってばらつきがあります。
私は比較的、守られていたと思いますが、そうではない現場もあるとよく話を聞きます。
例えば、伸び調子の企業で楽しく働いた結果、長時間になっていくこともあるので、会社が歯止めをかけたり、仕組み作りは必要だと思います。
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<プロフィール>
Podcastプロデューサー 野村高文さん
Podcast制作会社の代表
経営者への取材多数
外資系ファームでコンサルタントの経験も