医療機関での性被害を国が初の実態調査 「日本版DBS」開始前に…専門家「数にあがらない被害も」子どもを守るには【news23】
子どもと接する仕事に就く人に性犯罪歴を確認する「日本版DBS」が12月に始まるのを前に、国が医療機関を対象に初めてアンケート調査を実施し、その結果を公表しました。
【画像で見る】医療機関で性被害を受けた患者の年齢層 19歳~30代が半数以上を占める
「過去に性的トラブルがあった」15.5% 医療機関での性被害アンケート
歯科医師の男が犯行に及んだのは、ほかのスタッフがいない休診日でした。
「治療中に患者の目を隠すように顔の上半分にタオルをかけ、犯行に及んだ」
今年1月、治療のため来院した当時16歳の女性患者にわいせつ行為をし、その様子をスマートフォンで撮影したなどの罪に問われている歯科医師・原田孝行被告(50)。
28日、初公判が静岡地裁で開かれ、原田被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。
こうした性犯罪から子どもをどう守るのか。
日本では今年12月から教員や保育士などを対象に性犯罪歴を確認する「日本版DBS」が導入されますが、病院などの医療機関は確認の対象外です。
しかし、患者が性被害を受ける事例が報告されていることから、こども家庭庁は、全国の医療機関を対象とした実態調査に初めて乗り出し、29日にその結果を公表しました。
5000の医療機関を対象にしたアンケート調査では、「過去に医療従事者と患者の間で性的トラブルがあった」と回答した割合が15.5%となり、被害を受けた患者の年代を見てみると、19歳~30代が半数以上(66.7%)を占め、13歳~18歳の被害は3.3%でした。
「日本版DBS」に医療機関を含める必要性
この結果について専門家は…
チャイルド ファースト ジャパン 理事長 山田不二子医師
「幼ければ幼いほど、医療職という専門の人から受けた行為がちょっと変だなって思っても、それを性被害だと認知できるのか。幼い子どもが全然数にあがってこないというのは、被害がないということを意味するのではなく、医療機関が認知するところまで到達していないことを表している」
そもそも「日本版DBS」は、子どもと日常的・継続的に接する教育・保育の現場を念頭に議論されてきました。
山田医師は、医療機関を対象に含める必要性をこう訴えます。
チャイルド ファースト ジャパン 理事長 山田医師
「医療職は子どもにとって信頼の対象。優位な立場の大人と子どもの関係性が成立する現場であるということ。土台はできたので、ここから制度を改築していき、本当に子どもを性暴力・性虐待から守る制度にブラッシュアップしていかないといけない」
12月施行の「日本版DBS」で医療機関は対象外
小川彩佳キャスター:
日本版DBSの施行が12月に迫っています。医療機関を対象に含めるかどうかは今後の課題となる中で、今回初めてアンケート調査が行われました。
小説家 真山仁さん:
子どもの入院患者や小児科、心療内科といった病院の場合、密室で先生と2人きりになる場合もあります。さらに夜間の場合だと、親の付き添いができない病院もたくさんあって、一番危険かもしれません。
最近は日本版〇〇というのが多いのですが、外国から制度をコピーしておしまいになっています。本来、子どもがいる施設に「大丈夫ですか?」という問いかけから始める必要がある制度だと思います。今からでも遅くないので、病院は大丈夫かどうかしっかりともう一度検証すべきだと思います。
小川キャスター:
診療や診察の一環と性加害の線引きがわからず、被害を受けている方もいらっしゃるかもしれません。
小説家 真山さん:
お医者さんがみんな怖い人ではありませんが、ごく一部性加害をする人がいるとすると、法規制をするのはいいことかもしれません。
しかし、「サービス業」だとも言われている病院側が、性加害防止のためどのようなケアができるか、監視カメラの設置や子どもの見守りなど、制度を決める前に、病院・クリニックが現在、性加害を防ぐために何を大切にしているかも考えるべきです。
小川彩佳キャスター:
大半の医療従事者の皆さんは、使命感を持って患者の子どもたちに向き合っています。そうした方々の尊厳を守るためにも、環境を整えるべきです。
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<プロフィール>
真山仁さん
防衛費倍増で揺れる政権を描いた「アラート」
最新作は「ウイルス」