【“トリプル安”暮らしに影響は…】なぜ“いま”補正予算案の検討を指示?「長期金利」急騰で一時2.8%に上昇 日本経済への警戒サインか【news23】
新年度が始まって2か月足らず…18日、異例のタイミングで補正予算案の検討を指示した高市総理。一方、市場では「長期金利」が急騰しました。一時およそ29年半ぶりの高い水準をつけましたが、私たちの暮らしには、どのような影響があるのでしょうか?
予算成立直後になぜ?止まらぬ物価高に高市総理が“異例の対応”
それぞれが工夫をして、この事態を乗り切ろうとしていました。
2児の父親
「普段、安いスーパーに行って、週末にまとめ買いして冷凍パックして、食費を節約するってことはやっています」
50代 母親
「なんでも、食料品からしても高いですし、育ち盛りの子どもがいるので、食品をたくさん買ったりすると、『こんな値段、今までしてなかったな』とか」
物価高は、日々の私たちの暮らしに重くのしかかり、先行きへの不安を一層強めています。
こうした中、政府は…
高市総理
「引き続き中東情勢が不透明である中で、今後の物価動向や経済に与える影響、しっかり注視をいたします」
18日、中東情勢によって「経済や国民の生活に支障が生じないよう必要に応じて対応する」と強調した高市総理。
その備えとして言及したのが、「補正予算案の検討」です。
高市総理
「補正予算の編成を含め、資金面の手当を検討するよう(GW)連休前には事務方に対して、先週には財務大臣に指示をしました」
4月、2026年度予算が成立したばかりで、これは異例の対応です。
高市総理は与党幹部に対し、電気・ガスの使用量が多くなる7月~9月の3か月間、2025年の夏の料金水準を下回るような支援策をまとめるよう指示しました。
今後の焦点は、補正予算案を編成した場合の規模です。
自民党幹部からは…
自民党 萩生田光一 幹事長代行
「夏の電気・ガス代への対応や、中東情勢等を踏まえた国民生活の安全・安心を確保するために十分な予算額を確保する必要がある」
家計にとってはありがたい支援の一方で、心配の声も聞かれます。
“ありがたい支援”の裏で…長期金利が約29年半ぶりの高水準
都内にある国債を売り買いする現場です。
18日、長期金利は一時2.8%まで上昇。約29年半ぶりの高い水準をつけました。
市場では、補正予算を編成した場合、財政が悪化するのではないかとの懸念が高まったことから、国債を売る圧力が強まりました。
岡三証券 チーフ債券ストラテジスト 長谷川直也さん
「そもそも中東情勢の緊迫化を受けた原油高が続いていて、それによるインフレ懸念が内外で高まっているのが大きな要因。その中で、補正予算を組んで、電気代・ガス代・ガソリン代の補助の方針が報じられ、財政に対する懸念も強くなってきている」
長期金利の上昇は、「住宅ローンの固定金利」などに影響するほか、「企業が資金を借り入れる際の利息の増加」にもつながります。
30代夫婦(賃貸)
「(住宅の購入は)ちょっと様子見って感じ」
「子どもがいま0歳。小学校上がる6歳の時には(家を)買っておきたいとは思っているが、その時に物件がどうなるかわからない」
40代 1児の母(賃貸)
「(住宅よりも)子どもの学費とかにちょっとかけたりしている。完全に貯金がない感じ」
長期金利の上昇に加え、外国為替市場では1ドル=159円台まで円安が進んだほか、株価も一時1000円以上、値下がりする事態となりました。
株安、円安、債券安の“トリプル安”です。なぜこのタイミングでの補正予算なのでしょうか。
このままでは八方塞がりに? 高市総理に立ちはだかる“壁”
小川彩佳キャスター:
高市総理は「万全の備えをとる」ということで補正予算案の編成を指示したわけですが、2026年度予算が成立したのが4月のことですよね。このタイミングでの補正予算というのは異例のことですよね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
まだ1か月ちょっとですから、異例中の異例だと思います。
ガソリン補助金が月3000億円くらいかかっているので予算が足りなくなるというのが表向きの理由なんですが、政権幹部に聞くと、20日に党首討論があり、そこで野党側から「補正予算組め」と言われるので、そこで組むようだと少しかっこ悪い。なので、「自分から機先を制して打ち出したんだ」という、一種の“面子”のようなものですね。
藤森祥平キャスター:
5月上旬まで総理は「この状況では補正予算を組む必要はない」とずっと話していましたが、党首討論の予定が決まったから補正予算案の編成を指示したわけですか?
星浩さん:
党首討論の要素は非常に大きいと思います。
藤森キャスター:
実際に、物価高で苦しんでいる私たちにとっては、家計の負担を考えればありがたいですが、財源はどうなるんでしょうか。
星浩さん:
まだはっきり決まっているわけではありませんが、かなりの部分は「国債」になると思います。補助金が出ると当面は心地はいいですが、長い目で見ると、国の借金が増えて、将来世代にツケを残すということになります。
自民党の中からも、萩生田幹事長代行のように、「ガソリン補助金をまったく見直しをせずに延々と続けるのはかなり無理がある」といったような声が出始めています。
小川キャスター:
持続可能ではないということですよね。
今後、高市総理に立ちはだかる“壁”はどういったところになりますか?
星浩さん:
補正予算の規模がどうなるかですね。財源をどう確保するのか。また財源を国債に頼るようですと、長期金利が上がってきます。
それから、食料品の消費税8%をゼロにすると言っていますが、これにも5兆円規模の財源がかかります。これも国債を発行するとなると、また長期金利が上がっていきますので、非常に難しい状況になります。
それから、例えば、「ガソリン代が高いから節約しよう」とか「ガソリン代が高いからEVに変えよう」などの市場原理で動いていますが、補助金をどんどん出していくとそれが効かなくなっていきます。いくらガソリン代が上がっても170円で抑えるということは経済の原則にも反してくるので、これは持続可能ではありません。
なので、そろそろ路線転換して、「節約」をどのように打ち出していくかというところがポイントになってくると思います。
それができないと行き詰まりますし、長期金利もじわじわ上がっていきますから、八方塞がりということだと思いますね。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年