“副首都構想”って何?今国会最大の焦点も野党反発「設計図のない契約」 “大阪ありき”の指摘も【Nスタ解説】
会期が延長された国会で、最大の焦点となるのが「副首都法案」の扱いです。
与党が成立を目指すなか、野党からは批判が相次ぎ成立が見通せない状況ですが、何が問題になっているのでしょうか。
今国会の最大の焦点“副首都構想”とは
高柳光希キャスター:
25日まで会期を延長した今国会で、与党が成立を目指す4法案のうち、最大の焦点となっているのが“副首都構想”を実現するための法案です。
そもそも、この法案が想定している“副首都構想”とは、東京以外の地域に政治・経済・行政などの重要機能を持たせる構想です。
目的は主に二つです。
▼災害時に備え首都機能のバックアップ
▼経済・人口など東京の一極集中の是正
どこが副首都になるのかはまだ決まっていない状況です。
この副首都にはどういった条件が必要なのでしょうか。
TBS報道局 政治部 青木孝仁 記者:
与党が想定しているのは主に二つです。
▼東京と同時に被災しない立地
災害の多い日本で、東京一極集中のリスクを低減させるため、首都機能の分散は長年の課題となっています。
そのため、「首都直下地震」「富士山噴火」などを念頭に、災害リスクが分散できる都市
▼高度な都市基盤
東京で有事が発生した際に、首都機能を担える人口や都市基盤が十分にあり、経済活動が活発な地域
必要性では与野党一致 衆議院で通過するも野党からは批判
高柳キャスター:
この「副首都法案」は衆議院を通過しており、参議院でも7月22日から審議入りすることが決まりました。
ただ、野党は反発しているということです。
青木孝仁 記者:
“副首都構想”は、とりわけ首都機能のバックアップの必要性では与野党一致しています。しかし、野党は法案について▼制度設計が甘い、▼審議時間が短いなどと指摘しています。
「副首都が何をやるのか」「副首都を整備する際にどのくらい予算がかかるのか」などの詳細は、与党は法律施行後に決めるとしており、具体的なことは現状決まっていないということです。
これに対し、野党側は「家を建てる時に設計図はないが、まず契約してくださいという内容の法案だ」と批判しています。
首都機能の分散は国の根幹に関わる話であり、詳細な制度設計を決めた時に議論を行い、相当の審議時間を確保すべきなどと強調しています。
“大阪ありき?” 与党「あくまで全国的な制度」
高柳キャスター:
さらに、野党から“副首都構想”は実際には“大阪ありき”なのではないか?との指摘もされています。
副首都の主な要件は▼相応の人口規模、▼東京圏との同時被災が少ない、▼省庁など国の出先機関があることなどです。
これらの要件に当てはまり、地政学的な議論が不十分であることから、“大阪ありき”だと批判されています。
この点に関して、与党はどういった反応をしているのでしょうか。
青木孝仁 記者:
政府与党は、副首都に指定される要件は「必要な機能的観点から整理されたものであり、恣意的なものではない」と反論しています。
また、大阪のためだけではなく、他都市も関心を示しており、「あくまで全国的な制度」と反論しています。
高柳キャスター:
与党は、まず成立させてから詳細を決めていく姿勢の一方で、野党は先に詳細を決めてから成立させるという姿勢のようです。
井上貴博キャスター:
東京一極集中のリスクを分散させることは非常に重要な論点だと思います。
しかし、法案の中身を見ていくと、ただ大阪都構想を実現させるための法案に見えてしまいます。
どの省庁や機能を持ってきて、どういった手立てで手続きをするのかという詳細が見えないと、維新と自民の利害が一致していることから進めているように感じてしまいます。
華道家・写真家 池坊専宗さん:
副首都の決定は、国にとって重要な位置づけだと思います。
財源や権限も含めてどういった戦略をとるのが国にとってベストなのか、整理したほうがいいと思います。拙速であり、維新の主張によって誘導されているようなきらいがあることなどが支持を得にくい理由ではないかと思います。
文化庁は京都に移転しました。京都や文化を知ってもらうという意味では非常にいいと思いますが、移転までもだいぶ時間がかかりました。
何をどのくらい持ってくるかという割合の問題や、コストもかかるので、そういった詳細を決めずに、最初に成立させてしまうのはどうなのかと思います。
法案は「複数設置を想定」 当事者の名古屋市長に聞いたメリット
高柳キャスター:
法案では、副首都は複数設置することを想定しているということで、大阪府以外にも福岡県や愛知県が前向きに考えているようです。
青木孝仁 記者:
当事者である名古屋市の広沢一郎市長に、副首都になることのメリットを聞いたところ、「国からの財政支援などが受けられること」などを見込んでいました。
「首都機能のバックアップになるには、国からある程度、財政的な投資もされると思う。どれだけ投資が行われるかは未知数だが、大きなメリット」と語っていました。
高柳キャスター:
「具体的な制度設計は法律の施行後に行う」としていますが、この法案をなぜ今国会で成立させたいのでしょうか。
青木孝仁 記者:
この法案は、2025年に自民党と日本維新の会が連立合意をした際に、今国会で成立させると与党間で約束したことが、一番大きな点です。
そのために会期を延長しており、メインテーマが「副首都法案」の成立となっています。
井上キャスター:
国のあり方について様々な議論がありますが、関西圏では大きく報道されているのでしょうか。
華道家・写真家 池坊専宗さん:
大阪では盛り上がりは一定程度あると思いますが、私のいる京都では、また熱が違うので、近畿でも一枚岩ではないと思います。
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<プロフィール>
池坊専宗さん
華道家・写真家
室町時代から続く華道家元池坊に生まれる
慶應大理工学部を経て東大法学部に入学・卒業