「焼け石に水」新米豊作で価格下落の懸念…なぜ今?政府が備蓄米21万トン買い戻す背景と今後の影響【Nスタ解説】
鈴木農水大臣は9月1日、2025年に放出した備蓄米のうち21万トンを買い戻す方針を明らかにしました。コメの価格にどのような影響があるのでしょうか。
【写真を見る】倉庫内に所狭しと積まれているのは「去年産のコメ」
コメ収穫量が平年「やや上回る」見通し
きょうから9月。「実りの秋」が近づくなか、千葉県の水田では稲刈りが始まっていました。
ここで20年以上コメを育てる多田さん。
たわら農芸 多田善光さん
「ここ数年に比べれば100点ですよね。収量的には去年と同等か、少し多いぐらい」
農水省は8月31日、2026年のコメの収穫量について、24の道府県で平年を「やや上回る」見込みだと発表しました。
しかし、多田さんにはある心配が…
たわら農芸 多田善光さん
「(新米の)価格としては去年の4割5割ダウン。肥料も燃料も全て上がってますからね、機械代も」
前の年と比べて、新米の価格が大幅に値下がりするというのです。
新米豊作でもコメ価格の下落続く 頭を抱える生産者
今年の新米が届き始めた神奈川県の倉庫を訪れると…
ちから米穀 山下力 社長
「だいたいこの辺に見えるのは、まだほとんど7年産(去年産)ですね」
所狭しと積まれているのは、去年穫れたお米。
ちから米穀 山下力 社長
「新米のほうが安いわけですから、仕入れ価格は。7年産(去年産)はとんでもなく高いわけですよね」
深刻なコメ不足と価格の高騰に見舞われた“令和のコメ騒動”。
その渦中に高値で仕入れた去年のお米はいま「古米」となり、仕入れ値を大幅に下回る価格で販売せざるを得ないといいます。
去年のコメが残るうえ、豊作となった新米で在庫が積み上がり、下落が続くコメの価格。
政府が備蓄米21万トンの買い戻しを発表
鈴木憲和 農水大臣(9月1日午前10時ごろ)
「政府備蓄米の買い戻し手続きを開始いたします」
鈴木農水大臣が、去年放出した備蓄米のうち、去年穫れたコメ21万トンを買い戻すと明らかにしたのです。
しかし、現場からは…
ちから米穀 山下力 社長
「焼け石に水みたいな」
大臣の買い戻し表明を受けて、自民党は会合を開きました。
森山裕 食料安全保障強化本部長
「政府の備蓄放出量59万トンに近づけていくことが、生産者の皆さんの安心につながる」
そのうえで緊急決議をまとめ、1日午後5時過ぎに鈴木農水大臣に手渡しました。
今後、コメの価格にはどのような影響が及ぶのでしょうか。
買い戻しで市場への影響は大丈夫?
井上貴博キャスター:
2025年に放出した政府の備蓄米ですが、なぜ今、買い戻す事を明らかにしたのでしょうか。
TBS報道局 経済部 和泉砂絵 記者:
農水省が気にしていたことは、備蓄米を買い戻すことで再びコメ不足に陥って、米価が高騰することにならないようにという点です。
そんな中、8月31日に新米の作柄が公表されました。それによると、2026年もある程度のコメが収穫できるだろう、いま備蓄米を買い戻しても市場に大きな影響は出ないだろうということで、今回のタイミングでの買い戻しが決まったということです。
井上キャスター:
本来ならば、こういった小手先の対応ではなく、根本的な政策を変えないと同じことの繰り返しになるのではないかと思います。
スーパー販売平均価格を見るとどんどん下がっています。価格が下がり続けると農家が大変だという中で、備蓄米の買い戻しになりました。
【コメのスーパー販売平均価格】
2025年12月29日~2026年1月4日:4416円
2026年8月17日~8月23日:3156円
※(株)KSP-SPが提供するPOSデータに基づき農林水産省にて作成
TBS報道局 経済部 和泉砂絵 記者:
民間在庫の量を見ると、今年6月末は243万トンと、6月末時点として過去最大の数量になっており、今後も上がっていくと見られています。
そのため、今回21万トンを買い戻したとしても、市場にはそこまで大きな影響が出ないのではないかという見方になっています。
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<プロフィール>
和泉砂絵
TBS報道局 経済部
農水省担当