“超学歴社会”の韓国に異変 「大学進学より10代で就職」 空前の“半導体バブル”大手メーカーでボーナス7000万円も【news23】
韓国で学生たちの進路にある“変化”が起きています。狙うのは、名門大学への進学ではなく、10代での「半導体大手への就職」です。韓国が取り組む新たな人材育成の戦略とは?
【写真を見る】専門家「国の競争力にはプラスだ」と評価しつつ、警鐘を鳴らす
韓国“半導体専門学校”に人気殺到 学歴より「10代で就職」目指す理由は
8月末、ソウル近郊で開かれた専門高校の合同説明会。生徒たちのお目当ては、2027年3月に新しく開校する、「半導体」を専門に学ぶ高校です。
龍仁半導体高校
「13の専門実習室を1つの学校で備えるのは、相当な規模です」
韓国は空前の半導体バブル。大手半導体メーカー「SKハイニックス」では、来期のボーナスが1人あたり平均7000万円規模とも試算されています。(韓国メディア 来年の従業員1人あたりの平均)
中学3年生
「お金を一番たくさんくれるから」
「大学に行けば4年遅れてしまう。(半導体企業は)お金もボーナスもたくさんくれる」
「超学歴社会」の韓国で、王道の“成功ルート”である「名門大学」への進学ではなく、「10代での大企業就職」を希望する学生たち。背景にあるのは、続く「深刻な就職難」です。
名門大学を卒業しても、財閥系の大企業に入れるのは、ほんの一握り。半導体高校なら、「確実な就職」が約束され、将来性があるとして人気が殺到しているのです。
こうした熱狂を後押しするのが、国を挙げた「メガプロジェクト」です。
国家主導の“半導体”人材育成 AIや半導体の専門学校を4校から10校に
李在明大統領
「最も重要な課題は、最先端産業大国(半導体・AI大国)への大躍進です」
合わせて約200兆円を投じ、計画では国内2か所に巨大な「半導体メガクラスター(拠点)」を整備。一部地域では、工期を最大で12年前倒す方針で、韓国は「半導体産業大国」に向けて大きく舵を切ったのです。
そのメガクラスターの足もとで進められていたのが…
記者
「こちらで建設しているのが半導体専門の高校です。韓国では今、国をあげての半導体の人材育成が始まっています」
韓国は、2028年までにAIや半導体の専門学校を、現在の4校から10校に増やす計画です。そして、2030年までには30万人の専門人材の育成を目指しています。
大手出身のプロが指導&就職率95% 外国からも入学の問い合わせ相次ぐ
すでに開校している半導体専門学校「忠北半導体高校」には、SKハイニックスの実際の工場で使われていた生産設備が並んでいます。
全国でこの設備を持つ学校は他になく、講師も元SKハイニックス出身のプロです。
講師
「ウェハーを見れば、表面はすべすべで、裏面は粗いです」
生徒は3年間を通じ、回路の形成から製品の組み立てまで、全工程を徹底的に学びます。学校は生徒数よりも多い118社と提携していて、就職率は常に「95%以上」。
サムスン電子に内定 高校2年生
「(授業の)レベル自体も、インターネットに出回っているようなものでは得られない現場の知識をたくさん身につけることができました」
忠北半導体高校 カン・スジン マイスター部長
「即戦力として現場に入れるよう、現場に最も近い教育課程を運営しています。(内定者には)その企業が求める放課後授業や特別講座を実施しています」
今、アメリカやインド、中国など外国からも「韓国の半導体高校に入学できるか」と、問い合わせが相次いでいるといいます。
専門家は、「国の競争力にはプラスだ」と評価しつつも、こう警鐘を鳴らします。
大邱大学社会学科 イ・スンヒョプ 教授
「技術集約型産業は、景気変動や技術変化の影響を大きく受けるため、この好循環がそう長く続くとは考えていません。
実際に勉強を終えて社会に出たとき、自分が望んでいた仕事に就けない可能性が非常に高いと見ています。目先のことに囚われるより、自分の好きなことを職業として考える必要が、若者たちにはあるのではないかと思っています」
「手に職」は“堅実な選択肢”になるか “AIの普及”による仕事の変化も
藤森祥平キャスター:
背景にあるのが、韓国の若者の就職率の低さです。
2024年度の大学・大学院の卒業者の就職率は約7割に留まっているため、若者はトレンドの半導体などの専門学校を選ぼうとしています。
トラウデン直美さん:
AIの進化によって、ホワイトカラーの仕事も変化しているという指摘もあります。
韓国では、国を挙げて半導体産業に向かっているため、きっと若い人たちも厳しい学歴社会をくぐり抜けても就職できないリスクがある中で、専門学校を堅実に選ぶ選択肢が増えていると感じます。
小川彩佳キャスター:
一方で専門家は、半導体などの専門人材を若いうちから育てることについて、「技術集約型産業は景気・技術変化の影響を大きく受ける」ということで、リスクも指摘しています。
トラウデン直美さん:
半導体の分野は、まさに今成長や進化が目覚ましく、3年かけて一生懸命学んだことが3年後には大きく変化してしまっている可能性もあります。
一方で、ホワイトカラーの仕事と技術職の比重がフラットになることは、手に職をつけるという意味でも、良い面はたくさんあると思います。
時代が変化していく中、自分自身が学び続けられるのかどうか、学び続ける環境を整えることも大事だと思います。
藤森キャスター:
日本はどうなっていくのでしょうか。
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<プロフィール>
トラウデン直美さん
SDGsなどの社会課題に関心
特技は乗馬 初級馬術指導者の資格も