思想や言動などが自由であることを「天馬行空(てんばこうくう)」と言います。
これは「天馬」、つまりは天を駆ける馬に例えた四字熟語です。
しかし、そもそも「天馬」とは何を指しているのでしょうか?
今回はそれら「天馬行空」という言葉について解説します。
ここではその意味はもちろん成り立ちや類義語についても説明します。
「天馬行空」とは
まずは「天馬行空」の意味について見てみましょう。
「天馬行空」の意味
「天馬行空」とは思想や言動などが自由であることの例えです。
その読みは「てんばこうくう」もしくは「てんまこうくう」となります。
これら「天馬行空」は「天馬」と呼ばれる馬が大空を勢いよく駆け回るように自由である様子から来た言葉です。
これらは詩文や書物などの文章がのびのびとしている様子のことも表します。
要は「天馬」が自由に駆け回る様子に例えた言葉なのです。
そのため、近年は着想などが自由で常識にとらわれない様子を表現する際にも使用されます。
それら何者にも縛られずに自由にやっている人物や物事を意味するのが「天馬行空」です。
「天馬行空」の由来
では「天馬行空」はどこからやってきたのでしょうか?
ここからは「天馬行空」の成り立ちについて見てみましょう。
「天馬」とは
「天馬」は天上界にいる天帝が乗る馬のことを言います。
天帝とは天界に住んでいる帝のことで、それら帝が乗る馬を「天馬」と呼びます。
これら「天馬」は空を駆けることができるのです。
それが「天馬行空」のそのままの意味に繋がっています。
ちなみに、近年の「天馬」は名馬を意味することもあるとか。
なお、この「天馬行空」は古代中国の詩集「劉廷振-薩天錫詩集序」の一節から来ているそうです。
その一節というのが「殆猶天馬行、空而歩驟不凡」というもの。
この一節から「天馬行空」という四字熟語が広まったとされています。
「天馬」と「ペガサス」の違い
「天馬」とよく似た存在に「ペガサス」があります。
では「天馬」と「ペガサス」にはどのような違いがあるのでしょうか。
「天馬」は古代中国から伝承される幻獣とされています。
「ペガサス」はギリシア神話に登場する幻獣となります。
情報によっては「ペガサス」を訳したものが「天馬」というものもあるようです。
確かに、どちらも「翼で飛べる馬」という点では同じです。
そもそもどちらも「空想上の生物」という点でも共通していることも多いと言えるでしょう。
ただし「ペガサス=天馬」と表現できるかどうかは微妙なラインとも言えます。
「天馬行空」の類義語
最後に「天馬行空」の類義語について見てみましょう。
「天馬行空」の類義語には「不羈奔放」や「自由闊達」などがあります。
不羈奔放
「不羈奔放」とは思うままに振る舞うことの例えです。
「不羈」は他者からの束縛を受けないことを意味します。
「奔放」は伝統などを無視して思うままに振る舞うことを意味します。
つまり、何者にも束縛されず思いのままに振る舞うことを言った四字熟語となるわけです。
これは世間の決まりやしきたりにとらわれないことも指します。
それらの点が「天馬行空」と重なるかもしれません。
自由闊達
「自由闊達」とは思いのままにのびのびとしていることの例えです。
「自由」は他者から束縛を受けず、自分の思うままに振る舞うことを意味します。
「闊達」は心が広く細かいことにはこだわらない様子を意味します。
つまり、周囲の影響を受けることなく心のままに振る舞うことを言うわけです。
それらの点が「天馬行空」と似ているのではないでしょうか。
まとめ
「天馬行空」は空を飛ぶ馬のように自由な発想や言動をすることを言います。
これらは古代中国から生まれた言葉とされています。
近年では文章などが自由であることの表現として「天馬行空」と表現されることも多いです。
あまり日常会話では聞くことがありませんが、ぜひ覚えておきたい四字熟語の1つです。