「恐れ入谷の鬼子母神」とはどんな意味の言い回し?どんな時に使う言葉?

2023-05-05 03:30

「恐れ入谷の鬼子母神」は「恐れ入りました」を洒落て言った言葉です。
このような言葉は江戸時代に生まれ、地口と呼ばれます。
しかし、なぜ「恐れ入谷の鬼子母神」と表現するのでしょうか。

今回はそれら「恐れ入谷の鬼子母神」について解説します。
同じく地口とされる言葉についても説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

「恐れ入谷の鬼子母神」とは

まずは「恐れ入谷の鬼子母神」の意味を見ていきましょう。

「恐れ入谷の鬼子母神」の意味

「恐れ入谷の鬼子母神」とは「恐れ入りました」を洒落て言った言葉となります。

特に相手の言うことには同意するものの、そのまま認めるのは癪に障るという意味で使用される軽口を言います。
これらは承諾しながらも反発したい感情を表した言葉です。

嫌味や皮肉の意味が込められた表現とも言えるかもしれません。

ちなみに、読みは「おそれいりやのきしもじん」となります。
これらは「恐れ入谷」と略されることもあるので、どちらを使用しても問題ありません。

「恐れ入谷の鬼子母神」の成り立ち

では「恐れ入谷の鬼子母神」はどこから来たのでしょうか。
ここからは「恐れ入谷の鬼子母神」の成り立ちについてまとめます。

「恐れ入る+入谷」から来た言葉

「恐れ入谷の鬼子母神」は「恐れ入る+入谷」にちなみます。
事実「恐れ入る」の「入る」に地名としての「入谷」に掛けた表現となっているのです。

そこから転じて「入谷の鬼子母神」という表現となりました。
これはいわば江戸時代に流行った軽口の一種となります。
それら軽口は地口と呼ばれ、江戸時代に一種のブームとなったそうです。

入谷の鬼子母神とはどこのこと?

鬼子母神とは東京入谷真源寺に祀られている御神体のことです。
真源寺は東京都台東区下谷にある法華宗本門流の寺院です。

その御神体として祀られているのが鬼子母神となります。
なお、鬼子母神は出産・育児の女神とされています。
実際に妊娠など子育ての恩恵にあやかるために訪れる参拝者も多いです。

「恐れ入谷の鬼子母神」は地口のひとつ

「恐れ入谷の鬼子母神」は江戸時代に流行った地口の1つです。

地口とは江戸弁の言葉遊びの一種とされています。
これら地口は成句や熟語、ことわざなどをもじった遊びの一種です。

特に似通った発音の語句を掛けた語呂合わせのことを言います。
現代風に言えば、ダジャレやジョークのようなものに近いです。
要は特定の表現を洒落て言った言葉となります。

他にもある江戸の町にから来た地口

最後に江戸の町から来た地口について見てみましょう。

びっくり下谷の広徳寺

「びっくり下谷の広徳寺」はびっくりすることを言います。
これは「びっくりした」の「した」に「下谷」を掛けた地口となっています。

なお、広徳寺は現在の台東区役所付近にあったそうです。
それが関東大震災により崩壊して練馬区へ移転したのだとか。
現代でも残っている寺院なので、気になる方はぜひ見に行ってみてください。

情け有馬の水天宮

「情け有馬の水天宮」は情けがあることを言います。
これは「情けあり」の「あり」に「有馬」を掛けた地口です。

水天宮とは中央区日本橋にある寺院のことです。
ただし、この水天宮は全国各地にある神社とされます。
中でも福岡県久留米市にある水天宮が総本宮とされています。

なんだ神田の大明神

「なんだ神田の大明神」はなんだかんだという意味の言葉です。
これは「なんだかんだ」の「かんだ」に「神田」を掛けた地口となっています。

ここで言う大明神は千代田区外神田にあるものを指します。
ただし、単なる大明神も日本各地にあるので注意しましょう。

まとめ

「恐れ入谷の鬼子母神」はいわゆる地口の一種です。
これら地口は江戸弁で行う言葉遊びのことを言います。
実際に江戸時代にはある特定の表現を洒落て言う軽口が流行ったとされています。

現代では「恐れ入谷の鬼子母神」のような言葉は使用しないものの1つの文化として覚えておくのは面白いかもしれません。

関連記事はこちら

  1. 「はて?」「はいよろこんで」「界隈」…2024年の新語・流行語 30語がノミネート、今年を象徴する言葉は?【Nスタ解説】
  2. 世界初! 100%食品廃棄物で作る“食べられるコンクリート”とは?【SDGs】【Nスタ解説】
  3. 田中雅美さん(45) 「おばあちゃんになりました」 姉に孫が誕生 「私にとっても孫ですよね」
  4. 子猫が大好きなおにいちゃんのもとに走っていくと…尊すぎるやり取りの様子が103万再生「目をシバシバさせてる」「ずっと笑顔になったw」
  5. 【吉岡里帆】過去のタイ旅行のスナップを掲載 「今日は映画"正体"チームと」と告知しつつ フォロワーからは共感集まる
  6. 2歳の女の子が『超大型犬と一緒に育った』結果…まさかの『完全に従えてしまう光景』が5万再生「可愛すぎる」「永遠にみてたいコント」と絶賛
  7. 「103万円の壁」見直しに向け、自民・国民民主が8日も協議へ
  8. 『自分を人間だと思いこんでそうな猫』の行動5つ あなたの愛猫も勘違いしているかも!?
  9. 犬が『幸せ』を感じているか判断する方法はあるの?5つのチェック項目や必要なことまで
  10. 「ホワイト案件、高額バイト、即日即金」リクルーターに直撃してわかった事、役割は?人物像は?【Nスタ解説】
  1. 時速194キロは危険運転か 遺族「うっかり過失なわけない」
  2. 「夫から何度もお願いされて引き受けてしまいました」 横浜市緊縛強盗殺人事件 奪われた現金の回収役の女は夫を介して犯行に加わったか 夫は特殊詐欺事件ですでに逮捕
  3. 支持率はハリス氏48.7%・トランプ氏48.6% 歴史的な大接戦 アメリカ大統領選、投票まもなく
  4. あす以降今シーズン初の“強い寒気”流れ込む 秋が深まり、冬の訪れを感じる所も
  5. 【速報】東京・江戸川区の2階建て建物で火事 1人死亡 もう1人救出し状況確認中
  6. 「箸、差し押さえね」無人ホルモン店で菜箸使った窃盗犯、現行犯逮捕の瞬間
  7. 「彼氏が強盗に関与したかも」男の交際相手が交番に訴え “実行役”2人目の男(23)を逮捕 東京・葛飾区の強盗傷害事件 警視庁
  8. なぜ?郵便局窓口に昼休み導入 「出願書類が…」現場では混乱も
  9. 東京証券取引所 取引時間を30分延長 取引終了きょう(5日)から午後3時半に 海外取引所との差を埋め市場の活性化を狙う
  10. 浜崎あゆみさん 「上海公演が無事に終了いたしました」 SNSに想い 「ストイックにエンタメに向き合っていきます!!!」
  11. 田中雅美さん(45) 「おばあちゃんになりました」 姉に孫が誕生 「私にとっても孫ですよね」
  12. さかなクンと考える「外来種」 駆除ザリガニを“えさ”に 外来生物と共存しながら生きるには…【news23】
×