何から何までやってもらうことを意味する「上げ膳据え膳」。
この言葉は、何もしなくていい状況から生まれた言葉です。
ここでは、この「上げ膳据え膳」という言葉について、その意味や成り立ち、類義語について解説します。
「上げ膳据え膳」とは
ここでは「上げ膳据え膳」の意味や成り立ちについて見ていきましょう。
上げ膳据え膳の意味
「上げ膳据え膳」は、すっかり全部を世話してもらうことや人任せにしている状況を意味します。
何もしなくてよい、そんな境遇から着た言葉となっています。
上げ膳据え膳の由来
「上げ膳据え膳」の「上げ膳」とは、食事の膳を出してもらうこと、そして「据え膳」は食膳を整えて人の前に据えることをあらわしています。
自分は何もしていないのにもかかわらず、食事の準備が進みお膳が前に出てくるし、食べ終えたら下げられていく状況をあらわしています。
実際の状況に置き換えると、温泉旅館などで部屋に食事が運ばれてくるし、食事を終えたらお膳を下げてくれる上に夜には布団まで敷いてくれる一連の状況が「上げ膳据え膳」です。
実家で起きてくれば先に起きていた親が用意してくれていた朝ごはんが出てきて、食器も洗うことなくお昼になれば昼食が、夜には晩ごはんまで用意してもらっているそんな状況も「上げ膳据え膳」の実際の状況と言えます。
「上げ膳据え膳」の用い方・例文
「上げ膳据え膳」は、どのような場面で使う言葉なのか、例文と併せて見ていきましょう。
上げ膳据え膳の用い方
「上げ膳据え膳」を用いるのは、すべて人任せにしている境遇であったり、何もしなくても済んでしまう状況を表現する際です。
状況によって捉えられ方が異なるので、単純にネガティブな意味合いともポジティブな表現とも決めつけることはできない言葉となっています。
上げ膳据え膳の例文
・風邪を引いて寝込んでいたら、旦那が食事の用意もしてくれたうえに家事も全部終わらせてくれた。頭が痛いのは辛いけれど、こんな上げ膳据え膳な暮らしも悪くない。
これは、まともに動けない状況で食事の準備や片付けをしてもらっている事を「上げ膳据え膳」と表現している一文です。
風邪という状況こそマイナスの要因ですが、看病してもらっている感謝が込められているので、ポジティブな表現とも言えます。
・父は家では上げ膳据え膳の生活を送っていて、週末だからといって掃除のひとつもしないで家のことは母に任せっきりだ
これは、父親が家事に関わることを一切しないという姿を描写しています。
褒め言葉としては用いられていないので、ここでの「上げ膳据え膳」はネガティブな要素といえます。
「上げ膳据え膳」の類義語
「上げ膳据え膳」の類義語としては、「至れり尽くせり」や「下にも置かない」などがあげられます。
それぞれどのような意味の言葉なのかを見ていきましょう。
至れり尽くせり
「至れり尽くせり」は、十分に心を込めて対応すること、すべてに細かく配慮が行き届いていることを意味します。
「至れり」が最高の状態に至っていることを、「尽くせり」は最善を期していることをあらわしています。
サービスなどが完璧に提供されていて、申し分ない状態にあることを指している状況を指して用いられます。
下にも置かない
「下にも置かない」は、とても丁寧なもてなしを意味します。
物に対してなら、非常に丁重に取り扱っていることとなります。
ここで言う「下」とは「下座」のことです。
格上の人や目上の人を「上座」につき、立場が下なら「下座」に座ります。
「下にも置かない」は、相手を下座につかせることなくもてなすという様子からきた言葉となるのです。
まとめ
「上げ膳据え膳」は、人に全部世話をしてもらうことや人任せにしている様子をあらわす言葉です。
何もしなくてよいという状態にも用いられます。
食事を出してもらい、食べ終えたら片付けをしてもらうことまで、すべてをやってもらうという状態から来た言葉です。