漢字で帆を立てると書かれる二枚貝、それが「ホタテ」です。
実はこの「帆立」という漢字表記、勘違いから来た名前です。
今回はそんな「ホタテ」がどのような貝類なのかを解説します。
併せて漢字表記についても説明するので、気になる方はぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
「ホタテ」とは
まずは「ホタテ」がどのような貝なのか見てみましょう。
「ホタテ」の生息域
「ホタテ」はイタヤガイ科に分類される二枚貝です。
本来は「ホタテガイ」という名前だが「ホタテ」と呼ばれるのが一般的となります。
日本では食用とされる二枚貝の中でも最もメジャーな貝類の一種です。
その生息域はアジアの海、特に浅海の砂底とされています。
分布は日本の北海道・東北地方、朝鮮半島北部などアジアが中心となります。
日本での南限は日本海側が能登半島、太平洋側が千葉です。
ただ、大規模な商業的漁業が可能なのは東北地方の三陸海岸以北なのだとか。
海外ではロシアのカムチャッカ半島、千島列島、サハリンにも分布することで知られています。
一部、中華人民共和国やアメリカ合衆国でも養殖されているそうです。
「ホタテ」の生態
「ホタテ」は浅い海の砂地で暮らしています。
その殻径は20cmほどになる大きな二枚貝が特徴です。
貝殻は膨らみの強い殻と弱い殻とが合わさっています。
なお、殻の中央には大きな閉殻筋を持つことでも知られます。
外套膜の周囲には約80個の小さな眼があり、明るさを感じることができるのも特徴となるでしょう。
水管や砂に潜るための足は発達せず、砂底で右殻を下にして砂に潜らずに生きている姿が確認されています。
なお、天敵はヒトデやオオカミウオ、ミズダコなどなど。
その天敵に襲われた時は海水を吹き出して泳いで逃げるのも「ホタテ」の習性と言えるでしょう。
ホタテの漢字表記「帆立」
ここからは「ホタテ」の漢字表記について見てみましょう。
「帆立」という名前は勘違いから
「ホタテ」の漢字表記は「帆立」となります。
日本では古くから「帆立貝」と呼ばれることもあります。
この呼称は貝殻の一片を帆のように開いて立つ姿から来たとか。
特に帆掛舟さながらに風を受けて進むという俗説にちなむとされています。
この説は「和漢三才図会」においても記載が見られます。
実際にかつて「ホタテ」は一方の殻を船にしてもう一方の殻を帆のように立てて進んでいると信じられていたのだとか。
その勘違いから生まれたのが「帆立」という漢字表記となります。
「ホタテ」のもう一つの漢字表記
「ホタテ」には別の漢字表記もあります。
その漢字表記というのが「海扇」です。
これは殻の形状が扇形をしているところから来たのだとか。
中でも「ホタテ」は見事な扇形の殻を持っているところから「扇貝」「海扇」などと書かれることもあるそうです。
その他、秋田藩主だった佐竹氏の家紋が扇形で殻の形と似ていることから「秋田貝」という別名も持っています。
「ホタテ」の旬
最後に「ホタテ」の旬について見てみましょう。
「ホタテ」はいつが旬?
「ホタテ」は夏が旬とされています。
海水温によっても変わるものの7月上旬~中旬がピークです。
この時期の「ホタテ」は濃厚な味わいと大きな貝柱を持ちます。
そのため、嚙むほどに深い旨味が出てくるのが特徴です。
独特の甘味もこの時期が一番強くなると言われています。
貝柱の旬は異なる?!
「ホタテ」は通常7月頃が旬ですが、貝柱に関しては6月が旬とされています。
この時期の貝柱は成長途中ではあるものの甘味が強いです。
まだ成長途中ではあるものの、逆に成長真っ只中ということでより美味しく感じられるのだとか。
ちなみに、卵を楽しみたいなら冬の個体もおすすめです。
つまり「ホタテ」は1年中楽しめる貝類と言えるのではないでしょうか。
まとめ
「ホタテ」は勘違いから生まれた名前を持つ貝類です。
その漢字表記は帆を立てると書いて「帆立」となります。
かつて「ホタテ」は片方の貝を船に、もう片方の貝を帆にして進んでいると考えられていたのだとか。
「帆立」はそこから付けられた漢字表記だったわけです。