「次の総理にふさわしい人」3位に急浮上 仕事師・上川陽子外務大臣に迫る 女性総理の誕生はあるのか?【「ポスト岸田」候補の素顔】

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2024-02-11 06:03
「次の総理にふさわしい人」3位に急浮上 仕事師・上川陽子外務大臣に迫る 女性総理の誕生はあるのか?【「ポスト岸田」候補の素顔】

2月3、4日に実施したJNNの世論調査で、「次の総理にふさわしい人」を聞いたところ、上川陽子外務大臣(70歳)が石破元幹事長、小泉進次郎元環境大臣に次いで3位に急浮上した。

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自民党・麻生副総裁の「このおばさんやるね」発言で、注目度が増したから、と見る向きが大勢だ。

ただ、去年夏ごろから政治家や秘書、官僚からしきりに「上川さんは次の総裁候補」という声が聞こえるようになった。

上川氏本人はこれまで総理を目指すかどうか明言していない。果たして総理を目指すのか?これまでの行動や、本人をよく知る関係者への取材から可能性を探った。

「男性でも躊躇する決断」法務大臣を3度経験 オウム真理教事件で死刑執行

上川氏は東京大学卒業後、三菱総研からハーバード大学大学院に留学した。2000年に衆議院静岡1区で初当選。落選した時期もあったが現在までに当選7回、法務大臣を3回務めている。

世襲議員ではない。2人の子どもを育て、海外経験も豊富という上川氏について、ある男性同僚議員は、「情熱の人、仕事師」だと評する。上川氏は2018年、安倍政権下で法務大臣としてオウム真理教の麻原彰晃元死刑囚らの死刑執行を命令した。同僚議員は「男性でも躊躇する決断をし、政治家としての覚悟を感じた」と話す。

麻生副総裁“ルッキズム”発言にどう対応?答弁の背景は

「このおばさんやるね」「少なくともそんなに美しい方とは言わんけれども」

波紋を広げた、自民党の麻生副総裁による発言(のちに撤回)。

趣旨としては上川外務大臣の手腕を評価するものだったが、容姿や年齢を揶揄した、などと批判が集まった。これに対し、上川氏は次のようにコメントした。

「様々なご意見や、またお声があるということは承知をしておりますが、どのような声もありがたく受け止めております」

コメントは事前に上川氏や周辺が相談してまとめたものだ。関係者によると、当初は「どのような声も受け止める」だったのだが、上川氏自身の発案で「ありがたく」の一言が加わったという。麻生氏の発言に対して無視しても反発しても、一定の批判が予想される中で、「どのような声も受け止める」と泰然自若に構える様子、そしてそこに感謝の一言を添えるところに、上川氏の政治信条や人柄が透けて見える。

「ユリコ」と「ヨーコ」の違いとは

政治手法という点で、上川氏とは対極にいるとも言えるのが、東京「初」の女性知事となった小池百合子氏だ。2005年、環境大臣としてクールビズを普及させたのをはじめ、2016年の都知事選では、自民党東京都連と対決し、”古い自民党体質に立ち向かう”という構図を自ら作り上げ、当選へと結びつけた。情報発信力やパフォーマンス力には定評がある。

小池「ユリコ」と上川「ヨーコ」2人をよく知る男性議員は、両者の違いをこう評する。

小池氏の長所は「自己PRが上手い」「タイミングのつかみ方が上手く政治センスに長けている」、短所は「前しか見ないこと」

一方、上川氏の長所は「決断力があり、やりたいことが明確」「優秀でコツコツ型で能力高く、与えられた仕事をしっかりやるタイプ」だが、短所は「前に出ない。側近が誰なのか、分からない」ことだという。

ライフワークは「女性活躍」

そんな上川氏が一貫してこだわってきたテーマが「女性活躍」だ。

上川陽子衆院議員(2008年10月・上川氏のHPより引用)
2008年にはこのような発言も・・・「21世紀は命の時代。『全国のかあちゃんになりたい』を掲げて現場の声を政治に訴えてきた」

「日本は子供を育てながら働く風土になっていない。若い女性が皆抱いている仕事、結婚、子供を生みたい、という希望を阻んでいる壁を取り除くことが政治の力

2014年には、自民党の女性活躍推進本部長に任命された。

「国会議員の女性の比率は約11%で、(自民党の目標)30%に対してもなかなか厳しい状況にある。できるだけ倍加できるようにしていくことは非常に大事なことだと思っております。壁があってなかなか実現できないという方に対しては、いろいろな勉強会等を積み上げながら、ためらいなく立候補することができるような状態をつくっていくということが党としての役割ではないかと思っています」

この答え方でも「壁を取り払い、環境を改善する」という上川氏の姿勢が見えてくる。

注目は選択的夫婦別姓?上川氏の出馬はあるか

上川氏は2024年9月の自民党総裁選に出馬できるのか。投票数などのデータから政治学を科学的に分析する「計量政治学」が専門の拓殖大学政経学部・浅野正彦教授に聞いた。

浅野教授は、上川氏について「一度落選した経験もあるが、着実に得票率を伸ばし選挙基盤は盤石」という。加えてこれからの総理に必要な資質として3つの条件を挙げた。「1つ目は選挙が強い、2つ目は実行力、3つ目は国際的な活躍。上川氏はこれらの条件を満たしている」と指摘する。 

しかし、上川氏の総裁選出馬にはもうひとつ高いハードルがあると言われてきた。「派閥」の問題だ。

岸田派に所属する上川氏は、岸田総理、そしてその後継を狙う林芳正官房長官の2人の意向を無視して総理を狙うことはできないと言われてきた。しかし、岸田総理が派閥解消を決めたことで、足かせはなくなった。

「党の鬱屈した空気を変えるため、選挙の顔は女性に」「上川氏は適任だ」

党内からはこんな声が聞こえてきていて、麻生副総裁だけでなく、幅広い層が支持にまわる可能性がある。中でも注目されるのは菅前総理の動向だ。

実は菅前総理と上川氏には、ある繋がりがある。
自民党内でも意見が分かれる選択的夫婦別姓制度について、前向きな姿勢を示しているのだ。

菅前総理(2022年8月23日・中高生向けの特別講義にて)
「これ以上先送りしないで、お困りの方がいるのが現実ですから、そこはやはり、政治の責任で議論して方向性を作っていく時期だと思ってます」

上川陽子衆院議員(2007年11月・上川氏のHPより引用 情報誌のインタビュー)
「私も選択的夫婦別姓については賛成で、そのために議員として活動してきました。それぞれの時代にふさわしい形で、法律を見直していかなければならないと思っています。やはり社会の意識が『熟していく』ことはとても大事なことだと思うのです」

「仕事師」として菅氏とタッグを組み、選択的夫婦別姓の推進をテーマに掲げる、ということがあるかもしれない。

自民党は「政治とカネ」の問題で信頼ががた落ちの状態だが、秋の総裁選は党としての「変化」を国民に示す場でもある。国会議員や党員の思惑が交錯する中、上川氏がどのような判断をするのか。注目していきたい。

TBS政治部 官邸クラブ サブキャップ 加納沙也香

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