世界自然遺産である北海道の”知床”、世界遺産に認定され、観光客は大幅に増えました。知床では知床の自然を守る為、多くの自然維持活動がされています。自然あふれるこの地には様々な野生動物が生息しています。その中には”ヒグマ”も。観光客のエゴにより野生動物に餌付けしてしまう事案が発生し、その事案が最悪の形で幕を閉じた事件が以前に知床で起こったそうです。その事件を紹介し、野生動物への餌付けをしないでほしいと訴える知床のパンフレットがTwitterで紹介され大きな反響を呼んでいます。
※こちらの記事は2016年の7月に公開した記事を再編集したものです。
自然動物への餌付けは厳禁
▼反響を呼んでいる”川Φ@takeshikawanaka”さんの投稿
餌付けというエゴが招いた悲劇。 pic.twitter.com/MVsRTXIeIU
— 川Φ (@takeshikawanaka) 2016年7月28日
以下にパンフレットの文章を転記しておきます。
コードネーム97B-5,またの名はソーセージ。
初めて出会ったのは 1997年秋、彼女は母親からはなれ独立したばかりだった。翌年の夏、彼女はたくさんの車が行きかう国立公園入口近くに姿を現すようになった。その後すぐ、とんでもない知らせが飛び込んできた。観光客が彼女にソーセージを投げ与えていたというのだ。それからの彼女は同じクマとは思えないほどすっかり変わってしまった。人や車は警戒する対象から、食べ物を連想させる対象に変わり、彼女はしつこく道路沿いに姿を見せるようになった。そのたびに見物の車列ができ、彼女はますます人に慣れていった。
我々はこれがとても危険な兆候だと感じていた。かつて北米の国立公園では、餌付けられたクマが悲惨な人身事故を起こしてきた歴史があることを知っていたからだ。我々は彼女を必死に追い払い続け、厳しくお仕置きした。人に近づくなと学習させようとしたのだ。しかし、彼女はのんびりと出歩き続けた。
翌春、ついに彼女は市街地にまで入り込むようになった。呑気に歩き回るばかりだが、人にばったり出会ったら何が起こるかわからない。そしてある朝、彼女は小学校のそばでシカの死体を食べはじめた。もはや決断のときだった。子供たちの通学が始まる前にすべてを終わらせなければならない。私は近づきながら弾丸を装填した。スコープの中の彼女は、一瞬、あっ、というような表情を見せた。 そして、叩きつける激しい発射音。ライフル弾の恐ろしい力。彼女はもうほとんど動くことができなかった。瞳の輝きはみるみるうちに失われていった。
彼女は知床の森に生まれ、またその土に戻って行くはずだった。それは、たった 1本のソーセージで狂いはじめた。何気ない気持ちの餌やりだったかもしれない。けれどもそれが多くの人を危険に陥れ、失われなくてもよかった命を奪うことになることを、よく考えて欲しい。
観光客があげてしまった”ソーセージ”を引き金に悲劇が起きてしまったのです。観光客も餌付けすることの危険性を知っていたならソーセージをあげるという行動はしなかったかもしれません。
これからの観光シーズン
投稿主の”川Φ@takeshikawanaka”さんは、後にこのように投稿されています。
おはようございます。大勢の方々に昨晩の投稿を読んでいただけたようで、びっくりやら恐縮やらです。私は既成のパンフを紹介したに過ぎませんが、知床に行くと公共施設など至る所でこれを読むことができます。皆さんも知床に訪れる機会があれば、この地の雰囲気も合わせて読み取ってみてください。(続
— 川Φ (@takeshikawanaka) 2016年7月28日
続)ひとつだけ補足すると「クマで観光客を呼んでいるのだからそれは必要な犠牲だ」という意見もありましたが、それは違います。ここは、人に餌をもらうためにクマが山から出てくることを目指した観光地ではないからです。目的が違います。世界遺産に指定されたのは伊達ではない、ということです。
— 川Φ (@takeshikawanaka) 2016年7月28日
皆さんも様々な場所に旅行に行かれることがあると思います。その際は、必ずその場所の”ルール”を把握し”ルール”に則り、楽しい観光を心がけましょう。軽率な行動が尊い命を奪ってしまう事もあるという事を考えなければなりませんね!