場所の個数などをあらわす際に用いられる「かしょ」。
その漢字表記には、「箇所」や「個所」があります。
また、「かしょ」には、他にも「か所」「カ所」「ヶ所」と、いった表記も用いられます。
このように豊富なバリエーションがある「かしょ」ですが、正しい表記はこの中にあるのでしょうか?
そこでここでは、「かしょ」の表記について解説していきます。
「箇所」と「個所」とは
まずは「箇所」と「個所」それぞれの使い方を見ていきましょう。
「箇所」と「個所」の意味は同じ
「箇所」と「個所」に意味合い的な違いはありません。
どちらも、なにかしら特定のものが存在する部分やある場所を指し示す場合やその存在を数え上げる際に用います。
「箇所」と「個所」の用い方・例文
①修正してほしいのは、コメントを添えてあるその箇所(個所)だ
この例文は、「特定のものが存在する部分やある場所を指し示す」という形で使用しています。
コメントを添えてある場所というのが、修正して欲しい部分だということを指し示しています。
②駅のそばにはスーパーが4箇所(個所)ある
この例文は、「特定のものが存在する部分やある場所を数え上げる」ための単位として使用しています。
スーパーという特定の存在の数をカウントするために用いています。
公用文やフォーマルな場では「箇所」を用いる
公用文など多くの公の場では、「個所」が用いられることはありません。
「箇所」を使用します。
常用漢字表に載っているのは「箇所」
1981(昭和21)年に内閣告示された当用漢字表は、1981(昭和56)年の常用漢字表、さらに2010(平成22)年に告示された現在の常用漢字表に引き継がれました。
当用漢字表そして常用漢字表含めた「箇」には、「カ」という読み方が振られていましたが、「個」に「カ」という読みが振られたことはありません。
そのため、法令など公用文では「箇所」が用いられます。
「個所」という表記が存在する理由
一部メディアでは、「個」に「カ」という独自の読みがあるという解釈を行い「個所」という表記がされてきました。
テレビ放送や新聞といったメディア媒体は多くの人がチェックしているものですから、世間一般層も当然それに影響されて「個所」という表現が使用されるようになりました。
そのため、「個所」という表現は広まって現在に至るのです。
メディアによっては、現在も「個所」を「かしょ」と読ませていることがあります。
他にもある「か所・ヶ所・カ所」という表記
「かしょ」には、他にも「か所」というかな表記ややカナ表記である「カ所」、そして「ヶ所」という表記もあります。
「か所」「カ所」という表記を用いる場面
「か所」という表記は、放送業界では助数詞として用いる「箇所」の表記とされることがあります。
例文として前述した②駅のそばにはスーパーが4箇所(個所)あるの場合ですね。
そして、「カ所」というカナ表記に関しても同様の扱いがされています。
「ケ」「ヶ」「ヵ」は略字
「かしょ」の表記には、「ヶ所」というカタカナの「ケ」を思わせる表記もあります。
この「ヶ」は、カタカナの「ケ」を小さくしたものではありません。
「箇」の竹冠から来た略字「个」を記号化したものであったり、「箇」自体の略字であるともされています。
そのため、本来は「ケ所」という表記はなかったのですが、「ヶ所」の「ヶ」がカタカナと勘違いされたことで使用されるようになりました。
まとめ
「かしょ」の漢字表記としては、「箇所」と「個所」があります。
常用漢字表に「カ」の読みがあるのは、「箇」の方であることから、公用文などでは「箇所」が用いられています。
しかし、メディアが「個所」という表記をしていたこともあり、表現上「個所」を使用することもあります。
また、メディアによっては助数詞としての表現には「か所」「カ所」が用いられることもあります。
そして、「ヶ所」の「ヶ」は「箇」の略字となっています。